Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

Kinetic eGFRを用いてAKIの改善度を予測する

2019年05月20日 | 腎臓
Khayat MI, Deeth JM, Sosnov JA.
A bedside clinical tool using creatinine kinetics to predict worsening renal injury and early recovery.
Clin Kidney J. 2018 Jul 31;12(2):248-252. PMID: 30976404.


まず、KeGFRというのがある(詳細はこちら)。
一般に使用されるeGFRの式は、腎機能が安定していて、かつ筋肉量が平均的な人にしか使えない。そこで、いくつかの仮定を置いた上で、クレアチニン値の変化(例えば24時間前と今の値とか)を利用してeGFRを計算するというもの。
(ちょっと前に研究に使ってみたことがあって、あまりうまくいかなかったのだけど、有用だよという報告もあり、自分の研究は横に置いとく。)

この文献は、この式からクレアチニンを逆計算して、予測されたクレアチニンよりも実際の値が高ければ、前回KeGFRを計算した時(つまり前回クレアチニンを測定した時)よりも腎機能が悪化している、つまりAKIが悪くなっていることがわかるよ、というアイデアを示していて、おおそれは考えたことがなかったな、と思った。

AKIが改善傾向、つまりGFRが低下傾向にあっても、定常状態に達していないクレアチニンは数日上がり続けることもあるから、そういう時は上がるスピードを見て判断する必要があるけど、クレアチニン値が上がっているとAKIが悪くなっていると思っちゃう人は少なくないので、そういう人に状態が良くなっていることを理解してもらうには便利かも。
コメント
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