Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

乏尿が補液に反応するかを機械学習で予測する

2019年05月11日 | AI・機械学習
しばらく前から、趣味で機械学習関係の文献を集めている。
あまり紹介してこなかったけど、この文献はちょっと臨床に近いので紹介。

Zhang Z, Ho KM, Hong Y.
Machine learning for the prediction of volume responsiveness in patients with oliguric acute kidney injury in critical care.
Crit Care. 2019 Apr 8;23(1):112. PMID: 30961662.


ICU入室後6時間の尿量が0.5ml/kg/hrで、その後の6時間で5L以上補液された6682例が、乏尿後の18時間で尿が0.65ml/kg/hr以上出るかを、機械学習と通常の多変量解析のどちらがより正確に予測できるか検討。結果は機械学習の勝ち(AUROC:0.860 vs. 0.728)。

乏尿患者のうち6時間で5Lも補液された患者さんが7割もいるとか、いくつかツッコミどころはあるけれど、それは置いといて。
普通の多変量解析よりも機械学習の方が予想性能が高いのはもう間違いない。
補液に反応する乏尿はあるし、反応しなかったら補液は有害かもしれないし、それが補液前に高い確率で分かるなら、確かにその方が良いかも?

機械学習を臨床応用した文献はそれなりの数を読んだけど。
多変量解析じゃなくて臨床判断と機械学習を比較したという研究は記憶がないし、それで予後が変わるかを比較した研究は少なくともICU関連ではない気がする。
そこをクリアしたら、それこそ車の自動運転のように、補液も機械が決める時代が来るんだろうか。
麻酔ロボットが売られる時代だし。

いやー、想像できないわ。
とりあえず、注視しております。
コメント
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