Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

造影剤腎症と重炭酸ナトリウム

2014年05月05日 | 腎臓
さっさと連続記録が止まった(34日)。
海老蔵がどうしたって?
またやり直し。

Kooiman J, Sijpkens YW, de Vries JP, et al.
A randomized comparison of 1-h sodium bicarbonate hydration versus standard peri-procedural saline hydration in patients with chronic kidney disease undergoing intravenous contrast-enhanced computerized tomography.
Nephrol Dial Transplant. 2014 May;29(5):1029-1036. PMID: 24578471.


オランダ4施設のopen RCT。CKD患者が造影CTを受けるときに、1000mlの生食をCT前後に投与するのと、1.4%の重炭酸ナトリウムを250mlをCT施行前だけに投与するのとを比較(548例)。AKIの発生は生食群で5.1%、重炭酸ナトリウム群で3.0%(p=0.23)。ただしRRTを必要とするほどのAKIは両群で発生ゼロ。

造影剤腎症の予防と言えば、造影剤投与前後12時間の生食投与がスタンダード。でも最近は投与期間が短くても大丈夫とか、重炭酸ナトリウムを使えば水分量が減るよとか、いろいろ言われるようになってきたので、それじゃあ造影剤投与前にちょろっと重炭酸ナトリウムを投与して、投与後は何もしないというのでもいいかも、というのがこの研究の仮説。
で、結果は生食と同程度(数字の単純比較では低いくらい)。

ふむ。悪くないじゃん。
オープンラベルだし、AKIの重症度は低いけど、介入の程度も軽いので、臨床応用しても少なくとも害は無さそう。
1.4%の重炭酸ナトリウム250mlに近い組成を簡単に作る方法。
8.4%メイロン20mlを100mlの5%糖液を混ぜると、

8.4 x 20 / (100 + 20) = 1.4

なので、1.4%溶液が120mlできる。
これを2つ作って造影CTに行く前にポタポタっと落とせばほとんど同じ。簡単、安い、害もほとんど無し。

ふむ。悪くない。
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