Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
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重症患者における広域抗生物質投与に伴う腎毒性

2023年08月30日 | 腎臓
Chen AY, Deng CY, Calvachi-Prieto P, et al.
A Large-Scale Multicenter Retrospective Study on Nephrotoxicity Associated With Empiric Broad-Spectrum Antibiotics in Critically Ill Patients.
Chest. 2023 Aug;164(2):355-368. PMID: 37040818.


eICUのデータベースを用い、救急外来からICU入室し、入室初日にVCM+P/T(N=27459)かVCM+MEPM(N=1824)で治療を受けた患者を比較。PSマッチングして比較したところ、VPT群はVM群に比べてAKI stage II以上の発生率が高いだけでなくRRTの必要率も高かった(オッズ比1.56)。

ふーん。
何度か紹介した話(これとかこれとか)だけど、ちょっと違う結論だね。さすがにRRTの必要性はクレアチニンの血中濃度とはほとんど関係ないだろうから。

ただ、VM群の症例数がVPT群の10分の1以下なので、いくらPSマッチングしても測定されていない患者背景に大きな違いが出てしまう気はする。

もう観察研究でどうこう言う話題ではないのかもね。
この文献のeditorialにも、(DeepLで和訳)
「臨床医はレトロスペクティブなデータのみに基づいてルーチンの抗菌薬療法を決定すべきではない。ICUにおける経験的広域抗菌薬レジメンの選択は、感染源の疑い、関与している可能性の高い病原体、地域の耐性パターン、抗菌薬耐性の出現リスクなど、多くの考慮事項に基づいて行わなければならない。」
とあるし。
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