Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

SAHとPiCCO

2014年05月06日 | 神経
Mutoh T, Kazumata K, Terasaka S, et al.
Early intensive versus minimally invasive approach to postoperative hemodynamic management after subarachnoid hemorrhage.
Stroke. 2014 May;45(5):1280-4. PMID: 24692480.


日本の2施設のopen RCT。SAH患者の術後14日間の循環管理をPiCCOを使うか普通(CVPとかIN/OUTバランスとか)に行うかで、delayed cerebral ischemia(DCI、いわゆるスパズムってやつ)の起こる頻度が変わるかについて比較。160例、WFNSグレード4/5が半分以上。DCIの発生頻度(33% vs. 42%, p=0.33)、3ヶ月後のmRSが3以下の頻度(67% vs. 57%, p=0.22)で有意差無し。ただし、もともとのグレードが悪い群では、有意にDCIの頻度が低く、mRSが3以下の人が多く、ICU滞在日数も短かった。
(表を見るとDCIの発生頻度は10% vs. 18%(p=0.17)に見えるけど、じっくり読むと説明があるのかな?)

Open RCTだし、160例程度だし、2施設だし、何よりもsubgroup解析での有意差だし。

とは言え。
まず、4年以上をかけて2施設でRCTを継続して、神経予後をアウトカムとしたRCTを日本でやったというのが素晴らしい。
それともう一つ、supplementを見ると、PiCCO群の方が補液が少ない。
DCIだー、スパズムだー、補液だー、ではないかもね、というのが面白い。こんな話もあるし。
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