Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

理論と実践

2015年03月16日 | ひとりごと
昨年、JSEPTICのセミナーで、“敗血症患者の予後は改善できるのか?”というタイトルで話をした。
文献を読むときの吟味の重要性、before-after研究の限界、薬剤治療などではなく医療システムの構築が患者予後改善には大切である可能性、などをメッセージとして込めた。自分的には、良い話ができたのではないかなーと思っていた。
しかし、会場からのアンケートの結果では、四人の演者の中で最低の評価で、「論文データより、実臨床の場でいきるような話がもう少し多かったらよかった。やや論文解析に偏りがちのようだった」、「論文の提示だけのプレゼンだと冗長でメッセージが伝わりづらかった」という感想が目立ち、会場からの質問は、「ご発表された内容を踏まえて普段どのように活かしているのか」だった。

つい先日、ふと、“集中治療999の謎”の評価はどうかなと思って、Amazonを見に行った。まだ何もコメントがなかったので、INTENSIVISTとか集中治療関連のベストセラーのコメントをチラチラと読んでいた。そしたら、INTENSIVSTのある号には、「読者が読んで頭の整理ができ、実践的に使えるようなものになることを期待します」と書いてあって、ある人気の本の書評には、「本書ほど臨床に即したすぐに使える教科書は存在しなかったように思われます」とあった。

昨日、あるツイートで、「すぐ、どうすればいいですか?というのは現代的重病。どうすればに飛びつく人でそれを完遂した人を私は知らない。真に枯渇しているのは、本気ということ」、「どうすれば?とすぐ聞く人に、私は本気ですか?と聞き返す」というのがあった。

全部同じだ。
そういうことだ。
話を聞いたり本を読んだりして、すぐに目の前の患者さんに役立てようと思うのがおかしい。ずっと勉強してずっと考えてずっと経験して、それでやっと何とかなるんだ。
でも目の前に患者さんがいるんだから仕方ないじゃないか、今決めないといけない、文献を読んでいる時間なんかない、と言う答えが帰ってきそうだが、そもそもそんな環境に患者さんを置かないで、プロがいる施設に転送した方がいいんじゃないのか?

会場からの質問に対して、どう答えたらその人のためになるだろうか一所懸命に考えたのだが、「あんたはどう思う?」って聞き返してやればよかった。よし、次はそうしよう。
あっそうだ、もう講義はよっぽどのことじゃない限りしないことにしたんだった。残念。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 4月から再開の予定です。 | トップ | いつの間にやらメジャー雑誌... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ひとりごと」カテゴリの最新記事