Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

ICUではどの指標で薬用量設定するのが一番なんでしょうか?

2022年08月19日 | ひとりごと
先日の投稿に対してコメントをいただいた。

「毎日蓄尿?尿中クレアチニンからの推定?TDM?
悩ましいです。。」

シンプルな回答は、「知らん」です。
体重が40kgの人も120kgの人も同じ投与量だし、肝機能はよい補正方法がないからかあまり気にされていないのに、腎機能だけはeGFRに基づいて投与量をきっちり変更する不思議について書いただけだし。

筋肉量は外来患者>病棟患者>ICU患者の順であろうと想定されるので、ICU患者におけるeGFRの誤差は基本的に過大評価になる(はず、文献で読んだことはないので根拠に基づいていないけど)。でも、ICUで一般的に使用される薬剤で、血中濃度は通常は測定されないけど過量投与が問題になる薬剤って、ほとんどない。なので結果的に、「eGFRは不正確」という知識は臨床にほぼ影響を与えない。

以前、慢性疾患のある30代の女性で、血清クレアチニンは0.1だけどCCrを測定したら15だった、ということがあった。その時は、この患者さんがAKI on CKDの病態であることを医療従事者が誰も認識しておらず、薬剤(何かは忘れた)を通常量で投与していたので、それはダメだろ、CCrを測ろうと提案した。

他に手っ取り早い方法がないので、臨床でeGFRを使用するのはOK、ただしその限界はいつも認識していること。
それが大事だと思います。

もっと一般化すると、
「どうすればいいかを知ることよりも、いつも情報を集めていつも考えることが大事」
だと思うのです。
コメント (1)
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