daisukeとhanakoの部屋

わが家の愛犬 daisuke(MD、13歳)とhanako(MD、6歳)の刺激的仙台生活

海辺の風景 9  七ヶ浜

2011年04月23日 18時05分40秒 | 地震

 

七ヶ浜は避暑地であり、菖蒲田浜という海水浴場もある。

Cさんは、3月の初めに七ヶ浜に引っ越したばかりだった。

念願の新居が完成したのだ。

近くの保育園に6歳の長女と、3歳の次女を預けて、卸町に仕事に来ていた。

地震に驚き、子供を迎えに行こうと45号線を急いだ。

対向車線には車が溢れ、誰もが西を目指していた。

東に向かっているのは自分一人だった。

ラジオは津波の襲来を告げている。

みんな海から逃げてきているのだと分かって、恐ろしかった。

前方から津波が押し寄せてくる幻影が見えた。

(実際、押し寄せてきていた。)

多賀城で警察官に東行きを止められ、心を残して引き返した。

その日は仙台の実家に泊ったが、子供らのことが心配で一睡もしなかった。

翌日保育園に行ってみると、子供たちが走って抱きついてきた。

保育士さんが園児らを高台に避難させてくれて、全員無事だったのだ。

あの時、無理して保育園に向かっていたら、津波と正面衝突したところだった。

 新居は小高い場所にあったのが幸いし、あと5mのところで水は止まった。

 

 

福島県X町は原発から35㎞という微妙な距離にある。

ここに住むY君はかかりつけの医院で、「先生、こごらへんは放射能だいじょぶなのがい?」と聞いた。

主治医は、「この辺は全然問題ねえ。危ないど思ったら俺が一番に逃げっから、俺がいる間は安心してろ」、と笑っていた。

ところが先週、薬をもらいに行ったら、医院は閉まっており、「当分休診します」と張り紙があったそうだ。 

 

 

東名浜のD先輩は、家族とともに帰らぬ人となった。

釣りが好きで、仙台から東名浜に引っ越し、海の見える場所に仕事場を兼ねた家を建てた。

朝は砂浜で犬を放す。

夜はウッドデッキで潮風に吹かれ、ワインを開ける。

休みの日はもちろん釣りだ。

そのうち船を買うぞ、遊びに来い、と笑っていた。

理想のリゾート生活に思えた。 

東名浜は家族で潮干狩りに行ったことがある。

あの穏やかな海面が10mも盛り上がり、牙を剥いて襲いかかったとはとても信じられない。

D先輩のお姉さんは塩釜で被災した。

地震の4日後、避難所でインタビューされているところがテレビに映った。

家の1階部分が浸水したが、たいしたことない、と気丈に話していた。

D先輩が亡なくなったことを、その時知っておられたのだろうか。

 

(続く)

 

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