「一水四見(いっすいしけん)」というのは「水」という字を、水界、天上界、人界(にんかい)、餓鬼界の四つの立場から見るという事です。
水界に棲む魚に向かって「水(この世)というのは、住み心地のいい所である」と説けば魚はそうだとうなずくでしょうが、「燃え盛る火だ」と説けば ”ウソ” になります。
立場を変えて天上界で何不自由ない生活をしている人にとっては、水(この世)は住み心地のよい所というより、まばゆいばかりに輝く宝石に見えるでしょう。
人界にいる人は「水は水だ」というでしょうし、満足という事をしらない餓鬼界にいる人にとっては、猛火の如くに見えるでしょう。
このように、水界に生活する者、天上界に生活する者、人界に生活する者、餓鬼界に生活する者が水をどのように説明してみても立場が変わればみんな ”ウソ” になってしまいます。