「天真にして妙なり」というお言葉が在ります。
「天真」とは「飾らないそのまま」という意味です。
未だ「道」を明らめる事が出来ない人は分かろうとして、それだけ飾ろうとするのです。
分からなければ分からないままが、一番「天真」なのです。
「妙」というのは、言いようがないという事です。
自分自身を振り返ってみれば「只」でなければならないと思いながら、どうしても「天真になれない」ということが誰にでもあると思います。
「花さかぬ 身は静かなり 柳かな」という道歌が在ります。
花を咲かせようと思わない、悟ろうと思わない、安心しようと思わない、これ以上の「天真」はないと思います。
自分と言う者さえ認めなければ、心意識の「意」と言う形は有(在)りません。
ですから物に応じて自由に変化する事が出来ます。
「心」は千変万化して、しかもその跡形も無くそのものに成っているのです。
「心」と言う物は、元元自分の内にある物でもないし、外にある物でもないし、中間にある物でもありません。
「心」は本当に「不思議な存在」です。