「有(う)」は実有という義理で一切万物は空有のものなりと思うのは
「有」に滞るのでそれは迷いです。
よく自分の身体に就いて考えてみて頂きたいと思います。
此の身は実有でしょうか。
実有なら死ぬはずはありません。
ところが此の身体は露の身で何時死ぬか解りません。
誠に無常です。有って無いものです。
然るにこれを私たち衆生は常住なものだと思っているのです。
これは水に溺れるのと同じです。
けれども又無常だから万物は皆空なのです。
因果も何もないとこう思うのは又「空」に滞るというもので
溺を避けて火に入るのと同じです。