今回は、「日本文化のユニークさ」6項目のうち、残りの2項目との関連で、日本人のクリエイティビティを見ていくことになる。
(5)宗教などのイデオロギーによる社会と文化の一元的な支配がほとんどなかった。
(6)西欧の近代文明を大幅に受け入れて、非西欧社会で例外的に早く近代国家として発展しながら、西欧文明の根底にあるキリスト教は、ほとんど流入しなかった。
これらの特徴がどうして創造性と関係があるのか。いうまでもなく、宗教やイデオロギーによる制約がないと相対主義的で多角的なものの見方が許され、自由な発想と表現が可能となるからである。ただ、この点については、前回すでに触れているので、今回はかんたんに振り返るにとどめたい。
日本は、異民族との激しい闘争をほとんど経験してこなかったために、儒教であれれキリスト教であれ、宗教による強力な一元的支配を必要としなかった。イデオロギーなしに自然発生的な村とか共同体に安住することができた。強力な宗教やイデオロギーによる社会の再構築を経ず、村的な共同体から逸脱しないで、それをかなり洗練させる形で、大きくしかも安定した、高度な産業社会を作り上げてしまった。ここに日本のユニークさと創造性のひとつの源泉がある。
西洋人は、そしてユーラシア大陸の多くの民族も、宗教やイデオロギーのような原理・原則の方が優れていると思っている。ところが日本人は、イデオロギー的な宗教支配なくして、とくにキリスト教なくして、キリスト教から派生したはずの近代国家を形成した。農耕文明以前の、自然崇拝的な精神を基盤としたまま高度産業社会を発展させた。
この事実は、文明史的な観点からいってもきわめて特異なことだろう。その特異さは、文化的な観点からいってもきわだっている。宗教などによる一元的な価値観の支配なくして高度に現代的な社会を営み、しかも世界のあらゆる文化的アイテムを相対化して自由に使いこなしながら、相対主義的な価値観にたった作品を次々の生み出してく。
一元的な宗教を基盤とし、多少なりともハードな統合性をもった文化から見ると、日本のポップカルチャーはどこか無原則的に見えだろう。しかし、その何でもありの柔軟性や融合性の中から思いがけない発想の作品が生まれてくる秘密があるのだ。堅固な宗教的基盤を背景にする国々は、日本のアニメやマンガに接すると、自分たちがよって立つ文明原理を根底から揺さぶり動かされるような衝撃と、同時に魅力を感じるのかもしれない。
マンガ・アニメの創造性と相対主義的な価値観との関係は次の記事を参照されたい。
☆マンガ・アニメの発信力と日本文化(3)相対主義
☆マンガ・アニメの発信力と日本文化(4)相対主義(続き)
☆ジャパナメリカ02
《関連記事》
☆クールジャパンの根っこは縄文?
☆『日本力』、ポップカルチャーの中の伝統(2)
☆日本文化のユニークさ04:牧畜文化を知らなかった
☆日本文化のユニークさ05:人と動物を境界づけない
☆日本文化のユニークさ06:日本人の価値観・生命観
☆日本文化のユニークさ07:正義の神はいらない
☆日本文化のユニークさ13:マンガ・アニメと中空構造の日本文化
☆日本の長所15:伝統と現代の共存
☆日本発ポップカルチャーの魅力02:初音ミク(続き
☆『菊とポケモン』、クール・ジャパンの本格的な研究書(2)
☆オタク文化と製造業をどう結びるけるか(1)
☆オタク文化と製造業をどう結びるけるか(2)
☆マンガ・アニメの発信力の理由01:ソフトアニミズム
《関連図書》
★『日本型ヒーローが世界を救う!』
★『世界カワイイ革命 (PHP新書)』
★『ユニークな日本人 (講談社現代新書 560)』
★『日本の曖昧力 (PHP新書)』
★『日本の「復元力」―歴史を学ぶことは未来をつくること』
★『格差社会論はウソである』
★『ユニークな日本人 (講談社現代新書 560)』
★『日本の曖昧力 (PHP新書)』
★『菊とポケモン―グローバル化する日本の文化力』
★『世界が絶賛する「メイド・バイ・ジャパン」 (ソフトバンク新書)』
(5)宗教などのイデオロギーによる社会と文化の一元的な支配がほとんどなかった。
(6)西欧の近代文明を大幅に受け入れて、非西欧社会で例外的に早く近代国家として発展しながら、西欧文明の根底にあるキリスト教は、ほとんど流入しなかった。
これらの特徴がどうして創造性と関係があるのか。いうまでもなく、宗教やイデオロギーによる制約がないと相対主義的で多角的なものの見方が許され、自由な発想と表現が可能となるからである。ただ、この点については、前回すでに触れているので、今回はかんたんに振り返るにとどめたい。
日本は、異民族との激しい闘争をほとんど経験してこなかったために、儒教であれれキリスト教であれ、宗教による強力な一元的支配を必要としなかった。イデオロギーなしに自然発生的な村とか共同体に安住することができた。強力な宗教やイデオロギーによる社会の再構築を経ず、村的な共同体から逸脱しないで、それをかなり洗練させる形で、大きくしかも安定した、高度な産業社会を作り上げてしまった。ここに日本のユニークさと創造性のひとつの源泉がある。
西洋人は、そしてユーラシア大陸の多くの民族も、宗教やイデオロギーのような原理・原則の方が優れていると思っている。ところが日本人は、イデオロギー的な宗教支配なくして、とくにキリスト教なくして、キリスト教から派生したはずの近代国家を形成した。農耕文明以前の、自然崇拝的な精神を基盤としたまま高度産業社会を発展させた。
この事実は、文明史的な観点からいってもきわめて特異なことだろう。その特異さは、文化的な観点からいってもきわだっている。宗教などによる一元的な価値観の支配なくして高度に現代的な社会を営み、しかも世界のあらゆる文化的アイテムを相対化して自由に使いこなしながら、相対主義的な価値観にたった作品を次々の生み出してく。
一元的な宗教を基盤とし、多少なりともハードな統合性をもった文化から見ると、日本のポップカルチャーはどこか無原則的に見えだろう。しかし、その何でもありの柔軟性や融合性の中から思いがけない発想の作品が生まれてくる秘密があるのだ。堅固な宗教的基盤を背景にする国々は、日本のアニメやマンガに接すると、自分たちがよって立つ文明原理を根底から揺さぶり動かされるような衝撃と、同時に魅力を感じるのかもしれない。
マンガ・アニメの創造性と相対主義的な価値観との関係は次の記事を参照されたい。
☆マンガ・アニメの発信力と日本文化(3)相対主義
☆マンガ・アニメの発信力と日本文化(4)相対主義(続き)
☆ジャパナメリカ02
《関連記事》
☆クールジャパンの根っこは縄文?
☆『日本力』、ポップカルチャーの中の伝統(2)
☆日本文化のユニークさ04:牧畜文化を知らなかった
☆日本文化のユニークさ05:人と動物を境界づけない
☆日本文化のユニークさ06:日本人の価値観・生命観
☆日本文化のユニークさ07:正義の神はいらない
☆日本文化のユニークさ13:マンガ・アニメと中空構造の日本文化
☆日本の長所15:伝統と現代の共存
☆日本発ポップカルチャーの魅力02:初音ミク(続き
☆『菊とポケモン』、クール・ジャパンの本格的な研究書(2)
☆オタク文化と製造業をどう結びるけるか(1)
☆オタク文化と製造業をどう結びるけるか(2)
☆マンガ・アニメの発信力の理由01:ソフトアニミズム
《関連図書》
★『日本型ヒーローが世界を救う!』
★『世界カワイイ革命 (PHP新書)』
★『ユニークな日本人 (講談社現代新書 560)』
★『日本の曖昧力 (PHP新書)』
★『日本の「復元力」―歴史を学ぶことは未来をつくること』
★『格差社会論はウソである』
★『ユニークな日本人 (講談社現代新書 560)』
★『日本の曖昧力 (PHP新書)』
★『菊とポケモン―グローバル化する日本の文化力』
★『世界が絶賛する「メイド・バイ・ジャパン」 (ソフトバンク新書)』
ブログの方で、直接のお答えになるかわかりませんが、少し書いてみようと思います。