クールジャパン★Cool Japan

今、日本のポップカルチャーが世界でどのように受け入られ影響を広げているのか。WEB等で探ってその最新情報を紹介。

日本の長所15:伝統と現代の共存

2010年08月06日 | 日本の長所
前回「日本の長所」の、うち10)に修正を加え、11)を新たに付け足した。

まずは、10)伝統と現代の共存、外来文化への柔軟性

について。後半「外来文化への柔軟性」については、これまで多くの日本人論や日本文化論で指摘されきた。たとえば新しいところでは、『なんとなく、日本人―世界に通用する強さの秘密 (PHP新書)』でも触れられている。日本人の根源的な強さは、絶え間なくいろいろな文化を外部から取り入れ、日本的なものに変えて、自家薬籠中の物にしてきたことにあるというのだ。有史以来の絶えざる日本化、自由に取り入れて日本風に変えていくという持続性と変容性の両立こそ、日本人と日本文化の特徴なのだという。

外来文化を自由に受け入れながら、日本古来の伝統や感性を失わず、日本人特有の感性に合わせて日本化してしまう。伝統と現代が共存しうるのも、そういう背景と関係しているかもしれない。

ここからは、11)マンガ・アニメなどポップカルチャーの魅力とその発信力

にも関係する。おそらくマンガやアニメが世界的に流行する背景にも、上の本の著者がいう日本人の強みが直接・間接に働いていることは間違いないだろう。その点を直接に論じている本もある。『ジャパナメリカ 日本発ポップカルチャー革命』は、次のように指摘する。

「1970年代や1980年代、日本が世界的に認められるようになる中で、活躍中の前衛的なアーティストたちはアメリカ、ヨーロッパ、そしてアジアの諸文化から気に入ったものだけを習得し、独創的な作品を作り出した。ただし、彼らアーティストの作品は、ものの見方、視覚的アイコン、物語上の前提、そして空想で構成された文化的基盤の核心部分を共有する、自国の列島に住む観衆だけに向けられていた。徳川時代と同じように、日本は熱心に他国の文化を研究しながら、国内の観衆だけを相手に、クリエイティブな表現を磨いていたのだ。」

外国から習得したものを伝統と融合させながら、文化を共有する日本人だけにむけて表現を熟成していった結果、アメリカの若者にとって新鮮に感じられるポップカルチャーが出現したというわけだ。それが今や硬直ぎみのアメリカのポップカルチャーの代替物になろうとしているというのだ。

ではなぜ、日本では、文化の混ぜ合わせのような状態からクールなポップカルチャーが生まれてくるのだろうか。日本でとくにそのようなことが起る理由については、この本では触れていない。

日本には、異質な文化のパーツを自分の社会に平気で取り入れられる「混合文化社会」であり、原則にこだわらない融通無碍を特色とするという文化的な背景があり、それが強みになっているかもしれない。今、地球上の多くの国々は、キリスト教やイスラム教という一神教を文化の根っこにもっている。あるいは、ヒンドゥー教のような多神教でも、はっきりしたタブーがあったりする。そうするとどうしてもその教えの原則に合わない文化はたとえ無意識にでも排除してしまう傾向がある。日本の文化にはそれがないから、自分が気に入ったものを自由に取り入れて、そこから独創的なものを生み出す可能性がそなわっているのかもしれない。

また、日本に一神教がほとんど広まらなかったことと関係するが、そのためか現代の日本人の心の深層に、古代的なアニミズム的な心性がっかなり残っている。動物はもちろん、山や森や川にさえ魂を感じる世界観が、私たちの心の中に残っている。宮崎アニメは、かなり自覚的にそういう世界観を表現するが、日本人が作り出す、他のアニメやマンガにも多かれ少なかれ、そのような世界観が反映されていないだろうか。そして、それが日本のポップカルチャーが、世界中でクールと受けとめられるひとつの理由になっていないだろうか。

一神教的な文化にしばられない自由さ、一神教的なものに押し殺されない、古代的な生命観の魅力、これまで世界の主流であった文化にない何か新しいもの(同時に古いもの)、それがが混ざり合ったクールな魅力を発しているのではないだろうか。


Amazon.co.jp 「みんなが選ぶ本」 10%ポイント還元
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 日本の長所14:修正と付け加え | トップ | マンガ・アニメの発信力の理由01 »
最新の画像もっと見る

日本の長所」カテゴリの最新記事