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日本文化のユニークさ07:異民族の侵略がなかった

2010年07月19日 | 侵略を免れた日本
◆『ユニークな日本人 (講談社現代新書 560)』(1)

日本文化のユニークさがあるとすれば、それがどこから来るのかを三点から論じてきた。今回はその最後の点について論じよう。それ次の点であった。

(3)大陸から適度に離れた位置にある日本は、異民族(とくに遊牧民族)による侵略、強奪、虐殺など悲惨な体験をもたず、また自文化が抹殺される体験ももたなかった。

今回も上の本のレビューという形をとる。G・クラークは、竹村健一を聞き手としてこの問題をテーマとして語っている。

著者はいう。日本人のユニークさは、たんにヨーロッパ人と比してだけではなく、インド人や中国人と比しても際立っている。要するに日本人と非日本人という対比がいちばん適切なほどにユニークだという。そのユニークさは、日本以外の社会には共通しているが日本にはないものによってしか説明できない。日本にないもの、それは外国との戦争である。

明治維新までの日本は、異民族に侵略され、征服され、虐殺されるというような悲惨な歴史がほとんどなかった。日本人同士の紛争は多く経験しているが、同じ民族同士の戦争なら価値観を変える必要はない。しかし相手が異民族であれば、自民族こそが正義であり、優秀であり、あるいは神に支持されているなどを立証しなければならない。「普遍的な価値観」によって戦いを合理化しなければならないのだ。

他民族との戦争を通して、部族の神は、自民族だけではなく世界を支配する正義の神となる。武力による戦いとともに、正義の神相互の殺し合い、押し付け合いが行なわれる。社会は、異民族との戦争によってこそイデオロギー的になる。

ところが日本は、異民族との激しい闘争をほとんど経験してこなかったために、西洋的な意味での神も、イデオロギーも必要としなかった。イデオロギーなしに自然発生的な村とか共同体に安住することができた。西洋人にもそういうレベルはあるが、そこに留まるのではなく、宗教やイデオロギーのよう原理・原則の方が優れていると思っている。「イデオロギーを基盤にした社会こそが進んだ社会であり、そうしないと先進文化は創れない」とどこかで思っている。

ところが日本は強力な宗教やイデオロギーによる社会の再構築なしに、村的な共同体から逸脱しないで、それをかなり洗練させる形で、大しくしかも安定した、高度な産業社会を作り上げてしまった。ここに日本のユニークさの源泉があるというのだ。(続く)

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