クールジャパン★Cool Japan

今、日本のポップカルチャーが世界でどのように受け入られ影響を広げているのか。WEB等で探ってその最新情報を紹介。

お弁当(Bento)とアニメ

2013年07月26日 | 世界に広がるマンガ・アニメ
アニメやマンガを通じて日本の「お弁当文化」が世界に知られるようになり、「BENTO」の愛好者が海外にも広がりつつあることを日本人のどれくらいが知っているだろうか。アニメ・マンガが、日本文化を発信する強力な手段になっている一例がここにもある。

母親が子供のために朝早く起き、お弁当を作って学校に送り出すのは、日本ではありふれた日常的な光景だ。教室で机を寄せ合ってお弁当を食べるのも、学校で見慣れた光景だ。当然、アニメの中にもそうした光景が登場する。お弁当は、学園もののアニメの定番の小道具になったりしていて、好きな彼のために一生懸命にお弁当を作るなどという場面もよく見かける。

このような「お弁当文化」がない海外で、お弁当が頻繁に登場する日本のアニメを見た人々は、「あれはいったい何だ」とお弁当に好奇の目を向けるようになった。やがて日本の「お弁当文化」の実情が何となく分かるようになると、伝統に根ざす日本の食文化の一部として、その素晴らしさを賞賛したり、うらやましがったり、憧れたりの声がYoutubeの、お弁当が出てくる動画のコメントとして寄せられるようになった。そして、実際に日本人が作ると同じようなお弁当を作って、職場や学校に持参する人々も徐々に増え始めたのである。

以下の記事は、フランスでの弁当ブームの事情を紹介するものである。

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パリで人気、Bento(文 田村有紀 朝日新聞Degital 2013年3月6日)

フランスに「Bento」ブームが起きているといわれて、どのくらいたつだろう?

そう、日本でいう「弁当」のことである。

パリの大型書店の料理本コーナーに並ぶ数々のお弁当のレシピ本に筆者が気づいたのが、2年ほど前。雑誌やテレビ番組などでもしばしば取り上げられるようになり、大手冷凍食品メーカーも、おかずに照り焼きチキンや餃子などを詰めた冷凍Bentoの発売を始めた。

フランスのメーカーが製造しているスタイリッシュな弁当箱「Mon Bento(モンベント)」は昨年、国際的なプロダクトデザイン賞「レッドドット・デザイン賞」を受賞。Bentoという単語がフランス語の辞書にも記載されるようになった。

「Bento」ブームの火付け役は、すでに世界的に広まっているアニメやマンガで、登場人物がおいしそうに弁当やおにぎりを食べるシーンといわれる。バランスのとれた食事や健康への関心の高まり、そして手作り弁当の場合は不況をきっかけとした節約志向も、ブームの追い風になっているのだろう。

見目よくバラエティに富んだ弁当は、パリのトレンド発信エリアの手軽なイートインやテイクアウトのレストランでも、提供され始めている。 (以下略)

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こうした「BENTO」ブームは、フランスだけに限らない。アメリカでも同様の現象が数年前から報告されている。たとえば以下の動画。

アメリカで人気 日本のお弁当

ここでも、英語で書かれたお弁当のレシピの本などが多く出版され、日本のお弁当箱がよく売れていると報告されている。フランスやアメリカだけではない。今では「BENTO」という言葉がそのまま世界で通用するようになり、Wikipediaでも30近くの言語で、日本の弁当を「Bento」として詳しく紹介している。アニメ・マンガなどで日本のお弁当が認知された結果であろう。

日本のお弁当の何が特別なのか。世界でなぜ人気が出たのか。そもそも世界の各国にお弁当は存在しないのか。もちろん「調理済みの食べ物」を何らかの容器に入れて持参する習慣は各国に見られるようだ。インドでは、チャパティとカレーを積み重ね式の容器に入れて携帯する習慣が見られるという。これは、最近日本でも公開さえれた『スタンリーのお弁当箱』というインド映画にも登場する。アメリカでは、ピーナッツバターとジャムを塗った簡単なサンドイッチや果物などをランチボックスに入れ、昼食として携行するという。とてもシンプルなものなので、自分で作って持参する場合が多いようだ。

英語で「お弁当」に該当する言葉は、packed lunch、box lunch などである。しかし日本の「お弁当」という言葉には、こうした言葉では表現できない独特の含みがある。多くの場合それは、仕切りのある独特の「お弁当箱」に詰められ、ご飯を主にいくつかのおかずが添えられる。お弁当にはまた、それを愛情込めて作る母や妻のイメージも付きまとう。

白飯を主とした「調理済みの食べ物」を携帯できる独特の容器に入れた「お弁当」は、他にも「幕の内弁当」、「駅弁」、「仕出し弁当」、スーパーマーケットやコンビニで売られる各種弁当、最近では「キャラ弁」にいたるまで、さまざまなバリエーションがある。

中でも幕の内弁当は、白飯と数種類の副食からなる弁当であり、しゃれた小さな箱のなかに季節感や山海の幸を様々な味付けで、バランスよく、色彩豊に詰めた日本独特のものである。自然を凝縮させたような日本庭園に代表される美意識が、伝統的な盛りつけの中にも生かされているのかも知れない。

要するに、日本のように弁当が独特の発展を遂げ、独自の食文化となった国は他にない。それゆえ、日本語の「弁当」という言葉は、外国語には置き換えられない、豊かな広がりを持つにいたったのだ。アニメやマンガの中でも、その「弁当文化」の豊かさが垣間見れるからこそ、あれは一体何かと関心を持たれるようになった。シンプルなサンドイッチやバナナだけのボックス・ランチでは、そもそも彼氏のために作ってあげたいという発想も生まれない。「お弁当」は、日本の家族関係や食文化、美意識など、日本文化の詰め合わせになっているからこそ、世界に関心を持たれ、広がった。その背景に、日本食ブームやヘルシー志向、不況の中での節約志向などがあったのは言うまでもない。

今、アニメを通して「お弁当」が、「お弁当」を通して、日本の食文化の洗練度や、日本の人間関係の細やかさの一端も、世界に知られるようになったといえよう。