クールジャパン★Cool Japan

今、日本のポップカルチャーが世界でどのように受け入られ影響を広げているのか。WEB等で探ってその最新情報を紹介。

東日本大震災後の日本を語る本

2011年07月31日 | coolJapan関連本のリスト
最近読んだ、cooljapan関連本をいくつか取り上げ、かんたんなコメントをしておきたい。それぞれのちに本格的な書評をするか、このブログの中のテーマにそって論じるかをするつもりである。

日本「優国」論―経済国家から文化健康国家へ (中公新書ラクレ)(2011年2月出版)

 日本が「優国」であることを様々な面から論じている。著者は、専門が医学なので医学的なデータを豊富に用いているが、それだけではなく科学技術、経済、歴史、文化など多方面にわたって語られる。国力の物差しが、19世紀は軍事力、20世紀は経済力、そして21世紀は、健康と文化になるだろうが、この分野でも日本は間違いなく「優国」であり続けるだろうというのが著者の主張だ。

日本人はなぜ震災にへこたれないのか (PHP新書)(2011年7月出版)

 本ブログのテーマとも重なり、とても参考になった。最初に日本列島での古代からくり返された自然災害をかえりみ、それがいかに日本の歴史や日本人の生き方に大きな影響を与えてきたかが論じられる。後半は、縄文時代以来の日本人のアニミズム的心性を、キリスト教などの一神教と対比しつつ、日本人がなぜ大災害にもへこたれず、「共存する目に見えない知恵と力」を信じて立ち直っていくことが出来るのかが解き明かされる。

ニッポンの底力 (講談社プラスアルファ新書)(2011年7月出版)

 これも上の本と同様に東日本大震災後の日本および日本人へのメッセージとして緊急出版された。著者は、フクシマを「折り返し点」として、日本だけでなく、人類文明そのものが大きく方向転換するのではないかというが、私も共感する。どのような意味でそうなるのかは著者と若干意見が違うが、その点はのちに語ろう。著者は、日本人の民族的なルーツそものもに「追放と復活」という文化の祖型が刻み込まれており、それが日本の底力となっているという。だからこそ、日本はこの震災や福島の事故から復活し、世界にとって新たな文明のモデルとなっていくだろうという。

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クールジャパン関連の本の一覧(2)

2011年01月27日 | coolJapan関連本のリスト
このブログでこれまでに取り上げて来た本の、ジャンル別の一覧表、前回は《クールジャパン関連》を取り上げた。ジャンルは、あくまでも便宜的なものだが、以下のように分けている。

《クールジャパン関連》、《マンガ・アニメ関連》、《日本人論・日本文化論》、《社会・経済関連》、《その他》

今回は《マンガ・アニメ関連》を取り上げる。まだこのブログで取り上げていない本も含まれるが、いずれ取り上げたものばかりだ。

《マンガ・アニメ関連》

◆ローランド・ケルツ『ジャパナメリカ 日本発ポップカルチャー革命

◆アン・アリスン『菊とポケモン―グローバル化する日本の文化力

◆三原 龍太郎『ハルヒ in USA

◆櫻井孝昌『日本はアニメで再興する・クルマと家電が外貨を稼ぐ時代は終わった (アスキー新書 146)

◆櫻井孝昌『アニメ文化外交 (ちくま新書)

◆遠藤 誉『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす (NB online books)

◆鳴海 丈『「萌え」の起源 (PHP新書 628)

◆増田悦佐『日本型ヒーローが世界を救う!

◆青井汎『宮崎アニメの暗号 (新潮新書)

◆佐々木 隆『「宮崎アニメ」秘められたメッセージ―『風の谷のナウシカ』から『ハウルの動く城』まで (ベスト新書)

◆村瀬 学『宮崎駿の「深み」へ (平凡社新書)

◆東 浩紀『コンテンツの思想―マンガ・アニメ・ライトノベル

◆清谷 信一『ル・オタク フランスおたく物語 (講談社文庫)

◆斎藤 環『戦闘美少女の精神分析 (ちくま文庫)

◆永井 均『マンガは哲学する (岩波現代文庫)

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クールジャパン関連の本の一覧

2011年01月17日 | coolJapan関連本のリスト
このブログでこれまでに取り上げて来た本の、ジャンル別の一覧表をつくっていきたい。ジャンルは、あくまでも便宜的なものだが、

《クールジャパン関連》、《マンガ・アニメ関連》、《日本人論・日本文化論》、《社会・経済関連》、《その他》

の四つに分けた。とびとびになるとは思うが、ジャンルごとに順にアップしていきたい。

《クールジャパン関連》

◆加藤恭子編『私は日本のここが好き!―外国人54人が語る』(出窓社、2008年)        

◆加藤恭子編『続 私は日本のここが好き!  外国人43人が深く語る』(出窓社、2010年)

◆中村知哉、小野打恵編『日本のポップパワー―世界を変えるコンテンツの実像』(日本経済新聞社、2006年)

◆川口盛之助『世界が絶賛する「メイド・バイ・ジャパン」 (ソフトバンク新書)』(2010年)

◆竹田恒泰『日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか (PHP新書)』(2011年)

◆井沢元彦『人類を幸せにする国・日本(祥伝社新書218)』(2010年)

◆稲川素子事務所『どーもアリガトだよ―在日外国人32人の“渡る日本はいい人ばかりだった”』(メタモル出版、2000年)

◆奥野 卓司『ジャパンクールと江戸文化』(岩波書店、2007年)

◆櫻井 孝昌『世界カワイイ革命 (PHP新書)』(PHP新書、2009年)

◆マックス 桐島『ハリウッドではみんな日本人のマネをしている (講談社+α新書)』(2009年)

◆伊藤洋一氏・日下公人氏『上品で美しい国家―日本人の伝統と美意識』(ビジネス社、2006年)

◆日下公人『数年後に起きていること―日本の「反撃力」が世界を変える』(PHP、2006年)

◆杉山 知之『クール・ジャパン 世界が買いたがる日本』(祥伝社、2006年)

◆東浩紀編『日本的想像力の未来~クール・ジャパノロジーの可能性 (NHKブックス)』(2010年)




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クールジャパンに関連する本02

2010年04月24日 | coolJapan関連本のリスト
また、ここ2・3ヶ月の間に読んだ本からいくつか、短評をしておく。いずれきちんとレビューをしたい。

◆『欲しがらない若者たち(日経プレミアシリーズ)

この本は、もともとは現代日本の若者たちの意識変化とそれに伴う消費動向の変化を探り、これからの企業戦略に役立てようという企図のもとに調査され、マーケッテリング専門誌に報告されたものだ。しかし私にはこの調査結果が、日本人の生き方の大きな変化を物語る、かなり重要な意味をもつように思えた。

取り上げられた様々なデータから言えるのは、現代日本の若者が、物を買って所有するということに、あまり喜びを見出さなくなっているということだ。人に差をつけたいとか「格好つけたい」とか「もてたい」とかの動機から、車や高級品を買ったり、スポーツに励むという心性が消えつつある。若者がより満足を感じるのは、誰かと一緒にする体験であり、親しい相手と気持を分かち合う体験だという。要するに、あまり見栄をはったり、背伸びしたり、無理したりせず、自然なありのままの自分で生きていこうとする若者が増えつつあるようだ。著者は、「急激な経済成長と人口構成の変化が、他の先進国も経験していない次の段階へと日本を押出している」というが、こういう若者の意識変化も、マンガやアニメに微妙に反映され、世界に何らかのメッセージを発信しているかもしれない。

◆『日本辺境論 (新潮新書)

出版は去年の11月だが、大型書店にいくと、いまだにうず高く平積みされているので、売れているのであろう。しかし、私はこの本にはかなり不満がある。著者が最初にことわっているように「この本には、ほとんど創見といえるものは含まれていません」。それはそれでいい。しかし著者には、先人たちが語り尽くしてきた日本及び日本人論を、ちょっと新鮮な切り口で語る、語りのうまさがあり、なるほどと思わせるものがある。私が不満な点は別のところにある。世界標準の文明原理を発信することがなかった日本人は、文明の「保証人」たる先生を外部に求め、つねに教えを請う「辺境人」の性癖が骨の髄まで染み込んでいる。だったらそこに居座り、とことん「辺境人」でいこうという著者の発想に、限界を感じてしまうのだ。現代の日本は、もちろん世界標準の文明原理を発信していないが、かといっていつまでも学び続ける「辺境人」という傾向とは明らかに違う変化が、若者たちを中心に起っているのではないか。著者には、それが見えていないような気がしてならない。

◆『深い泉の国「日本」―異文化との出会い (中公文庫)

著者のトマス・インモースは、スイス出身だが日本に在住するカトリック司祭であり、日本ユングクラブ名誉会長でもある。彼は、「神道とヨーロッパの先史時代とは共通のものを分かち合っている」という。スイスは、ケルト文明のひとつの中心地であった。それで、縄文的な心性が現代に残る日本という土地で、少しずつスイスの過去に出会うようになった。日本という「深い泉」に触れることで、自分自身のルーツのより深い意味を見出していったというのだ。随所に、日本の民族芸能や神道儀式などへの、ユング心理学に基づく深い洞察がちりばめられており、刺激的だ。

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クールジャパンに関連する本01

2010年04月20日 | coolJapan関連本のリスト
ここ1・2ヶ月の間に読んだ本の中で、クールジャパンというこのブログのテーマに関連の深い本をいくつか選んで、かんたんなコメントを付けてみた。本格的なレビューは、順次書く予定であるが、おそくなってしまうかも知れないので、とりあえず数行での紹介をする。

なお「日本の長所」のシリーズは、間隔はあくまもしれないが、今後も何回か続けていく予定でいる。

◆『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす (NB online books)

遠藤誉著。今、中国の若者たちが日本のアニメ・マンガにいかに熱狂し、影響を受けているかを、中国の内部事情を知る著者が、綿密な取材によって報告する力作だ。たんに日本のアニメ・マンガの流行を追うだけではなく、中国の特殊事情の中でそれがどうしてこれだけ普及するようになったのか、なぜ、どのように中国の若者たちに大きな影響を与えるようになったのか、そして近年中国政府が、なぜその人気に危険を感じ、きびしい規制をし、対抗策を打ち出すようになったのか、までをつっこんで取材している。

◆『私を劇的に変えた 日本の美風

著者・呉善花は、韓国出身だが、日本に留学し、日本文化と韓国文化の違いに悩みながらも、日本文化への理解を深め、ついには日本に帰化した人だ。それだけに、日本文化への洞察力は、並大抵のものではない。とくにこの本で印象に残ったのは、「お陰さまで」という言葉に表現されるような日本人の生き方への洞察だ。蕾が花開くように、大自然の作用を受けて自分の中から内発して開花しようとするものに従うという自己のあり方が、「お陰さまで」という言葉には含意されているという。

◆『日本力

松岡正剛とエバレット・ブラウンの対談本。エバレット・ブラウンは、日本滞在のアメリカ人で、日本に伝承される食や生活の知恵、心身の調和、自然への畏敬の念などを実践的に追求する。二人の対話を通して、日本の古い文化と新しい文化との間に深いつながりがあることが洞察される。とくにアニメ・マンガ・コスプレ・ファッションなどに無意識のうちに伝統的なものが表現されているという指摘に教えられた。

◆『日本語は亡びない (ちくま新書)

金谷武洋著。日本語を、英語をモデルとした文法で理解しようとする愚かさを鋭く指摘する。英語文法は、主語-述語を基本とした人間中心の構造をもつ。英語の話者は、他との関係で自分を捉えるのではなく、状況から独立した絶対的な私(主語)を中心に考える傾向が強くなる。それに対して、日本語文法は、自然や状況中心の文法であり、英文法モデルで分析するには無理がある。むしろ、混迷する世界の救える思想が日本語には含まれており、だからこそ日本語の脱英文法化が急がれなければならないという。日本語だけでなむ、日本文化全般への著者の愛情を感じさせる本だ。
コメント (2)
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