クールジャパン★Cool Japan

今、日本のポップカルチャーが世界でどのように受け入られ影響を広げているのか。WEB等で探ってその最新情報を紹介。

クールジャパンに何を学ぶか

2009年05月31日 | クールジャパンを考える
最近、比較的こまめに更新するようになったこともあって、このブログへのアクセス数も増えています。こちらでコンスタントに毎日350前後のアクセス。昨日は422のアクセスでした。同じ内容のミラー・ブログでも、毎日250前後のアクセスがあるます。このブログのテーマそのものに多くの人々が関心をもっているからだと思います。

私自身、日本のポップカルチャーを中心とした様々な日本文化に世界中の関心が集まっているのがうれしく、また意外でもあり、もっと情報を集めたいと思ってはじめました。一方で、最近、このような情報を集めて少しでも多くの方に知ってもらうことには、もう少し別の意味もあるなと思い始めました。

そう思うようになったのは、齋藤孝の『なぜ日本人は学ばなくなったのか (講談社現代新書 1943) 』を読んだこともひとつのきっかけでした。

1980年代以降、「勉強」がむしろ「生きる力」を阻害するものという愚かな誤解が横行した。実際は、生命力は、努力して学び、身につけた技によって養われる。どこかでこの時代の流れを変え、日本に「積極的な学ぶ構え」の大切さを復権したい――著者・齋藤孝は、そんな願いに20年突き動かされてきたといいます。その熱や危機感が充分に伝わる、読み応えのある本です。

日本人はなぜ学ばなくなったのか。それは「リスペクト」を失ったからだ。努力しなくなったのも、勉強しなくなったのも、社会が様々に崩れつつあるのも、根本は、知性教養や人格への敬意が失われたからではないか。彼は、大学の教授として学生に接しての様々な体験やいくつかのデータなどから、現在の若者の間に起っている変化を、深い洞察力とともにとらえています。

日本の良さが崩れつつある原因のひとつを彼は、多くの日本人が「自分たちがどのような自己形成をすべきかというモデルをすでに喪失している」ところに見ます。戦後の日本の社会では、日本の社会や文化がもっていた良さをすなおに肯定したり、はっきりと語ったりすることが、悪いことのように見なされてきました。おかげで、日本を讃えたり、日本人であることに誇りを持つといったアイデンティティがつくりにくくなっていたのです。

自分たちの社会や文化を否定的にしか教えない教育をずっと受けてきたのです。それもあって、自分を自己形成する「核」すらも見失ってしまった。しかし、自分たちの文化を否定的に見てきたのは日本人だけで、今、世界中の人々が日本文化の素晴らしさに気づき、憧れをもっている。

それを知ることは、自分たちの文化を否定的にしか見れなくなっていた色眼鏡を一度はずし、もういちど客観的に日本文化の良さを見直すことにつながる。自分たちが守るべき大切な「核」が何であるかを再発見することにつながる。――最近、私はそのためにも、何がクールジャパンなのか、色々な角度から調べていくことが大切だと思うようになりました。

日本発のアニメやマンガ、Jポップなどの何がクールと受けとめられているのか。そこに表現されている日本人の感性や世界観のどのようなところがクールだと評価されているのか。あるいは、日本を旅行したり、日本で生活したりした外国人たちが、日本の社会や文化のどのようなところに驚き、賞賛しているのか。それは、日本人が無自覚のうちにまだ維持している、日本の良さであり、私たちが守っていくべき大切な何かでしょう。

無自覚に維持していたもの(もしかしたら失われつつあるもの)をはっきりと自覚化し、それをもっと磨きあげる。それが日本の社会全体に必要とされているし、個人の自己形成のモデルや「核」としてもはっきりと自覚化して再構築していく必要があるのでしょう。

クールジャパンというテーマに、これほど関心がもたれる背後には、自分たちの社会や文化を否定的に見ることしか教えられてこなかった日本人が、自分たちの良さを再発見し、何を守り磨いていかなければならないのかを、必死で探し求める情熱が隠されているような気がします。

日本にいると自分まで教養があるように感じた

2009年05月29日 | マンガ
ここを訪れる方々はご存知の場合が多いだろうが、Serchinaという中国関係の情報を中心としたサイトで、中国人が書いたブログを要約して日本語で紹介するページがある。最近は、年間100万人もの中国人が日本を訪れるので訪問した日本の印象を語る中国人ブログも多い。そして、そのほとんどが日本の清潔さ、日本人の礼儀正しさに驚くという。ここでは、最近、私にとってとくに印象に残った二つの記事を紹介しよう。

なおこのページは、毎日のように更新されているので、関心のある方はどうぞ。→ Serchina【中国ブログ】

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【中国ブログ】訪日した中国人「まるで自分も教養があるように感じた」 (【社会ニュース】 2009/05/09(土) 18:15)

数年来、私は世界各国を訪問していたが、ついに日本を訪問する決心をした。中国を侵略し、中国人に深い苦しみをもたらした日本にはずっと行きたいと思えなかったのである。

私たちが幼少の頃から受けてきたのは日本を痛恨するという教育であった。企業に就職して日本人との付き合いが出来、日本企業の製品や管理においては日本人を敬服していたが、感情の上ではやはり暗い影が差していたのであった。

しかし、私は時間が経つにつれ、過激な偏見が我々の眼を曇らせているのではないかと気づき、自らの目で日本を見てみようと決心したのである。

私は東京、横浜、富士山、京都、大阪などを訪れたが、まず初めに感銘を受けたのは日本の環境保護と農業に対してである。

日本人は真剣に農業に取り組み、至る所に木々が生い茂ると同時に花が咲き誇り、空気は新鮮で、海や湖、渓流は清らかで底が見えるほどに透き通っていた。土地は肥沃で、植えられている作物は美しく、私はスイスに来たのかと疑うほどであったが、日本はスイスよりも素晴らしかった。

日本人は礼儀正しく、教養がある。日本を訪れたからというもの、まるで私自身までもが教養があるかのように感じ、常に追求していた文明社会が日本で体現されているようであった。

日本人は尊厳のある民族であり、彼らの製品や生活の至る所に尊厳が現れているのを実感した。国家全体、民族全体が尊厳を有しているというのは本当にすごいことである。私は日本を訪れて日本人の精神を深く感じ取ることが出来た。中国の現代社会や中国人民は日本に学ぶべきところが多いだろう。(編集担当:畠山栄)

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まるで日本が「天国」であるかのような描き方ではあるが、この中国人旅行者に日本がそのように見えたことは確かなのだろう。日本は山が多く、森林の面積は国土の面積の67%に当たり、先進国中、森林の割合が60%を超えるのは、日本とスウェーデンとフィンランドだけだということだから、「至る所に木々が生い茂る」という印象は、もっともなものかも知れない。農業に関する部分など、日本の農業の、高年齢化などの実情を思えば素直に喜んでばかりはいられないのだが。それにしてもこの文章は、逆に中国の環境破壊の深刻さをうかがわせるものになっている。

ところで、ここに挙げたような内容のブログは、Serchinaに紹介される日本の印象記の類のブログの中の例外的なものではない。むしろかなり多くが日本礼賛のような内容なのである。Serchinaのスタッフが意識的にそういうブログを探してきては紹介につとめているのかもしれない。それにしても日本礼賛に近いものがかなり多いと感じる。もうひとつ紹介しよう。

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【中国ブログ】中国人から見た日本「貧富の差が見えない」 (【社会ニュース】2009/04/18(土) 10:38 )

「日本には貧乏人がいない」と言うべきと指摘されそうだが、これは間違っている。貧富の差が明確に現れる中国とは異なり、日本においては誰が「貧」で誰が「富」なのかを見出すことは難しい。中国の場合、ベンツやBMWに乗っている人や、ホテルに泊まることができる人は「富」の立場の人であり、貧富の差が明確で一目瞭然なのである。

それに比べ、日本では一目しただけでは誰が「富」の立場の人なのかを見出すことは出来ない。日本ではベンツやBMWを見かけることはあまり無いが、日本では金持ちで無ければ購入できないわけではなく、仮にベンツやBMWを所有しているからといって富裕層であるとは限らない。

さらに不可解に思ったのは、日本は資本主義を掲げながらも社会主義のような国であるということだ。今回の訪日は「日本の学校」を視察することであったが、日本の各学校の状況はそれぞれ異なるものの、一つの共通点があった。

それは校長先生と他の先生の差が非常に小さいということである。服装や態度からでは誰がトップの人間なのかを見出すことが出来ないのだ。また、企業においても社長や部長、一般社員の給料の差はそれほど大きくなく、給料の差は年齢の差に起因するのだという。

外国人という視点から中国と日本を比べた場合、あくまでも表面的で局部的ではあるが、私は日本と中国の間には「距離」を見出すことが出来なかった。「距離」というものは同じ道の上を、どちらかが前でどちらかが後ろにいる状態を意味するが、どうやら中国と日本は全く異なる道を歩んでいるようである。
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(出典:Jorling’s Blog 意訳編集担当:畠山栄)

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中国での凄まじい格差の広がりから見ると、一見だれが金持ちで誰が貧乏人か分からない日本の様子は、強く印象に残るのだろう。「校長先生と他の先生の差が非常に小さい」という感想は、面白かった。中国では、校長はどんな風に校長然としているのだろうか。

ところで、2009年1月13日時点のデータで、中国におけるインターネットの個人ユーザーは2億9800万人で、日本の人口の倍以上になるという。そしてブログを書く人は、1億6200万人。これもまた日本の総人口を軽く超える。こうなるといくら中国政府でも、そこに書き込まれる内容をチェックしきることは出来ないわけだ。現に中国政府の管理を超えてインターネットが力を持ち始めているという。インターネットの力で多くの政治家、官僚の不正が摘発されるようになっている。(『中国経済がダメになる理由』)

もしかしたら、日本を訪問した中国人のこうした日本印象記も、中国人の日本人観をたとえわずかずつでもかえていくかも知れない。

あるアメリカ将軍の驚き

2009年05月27日 | 全般
今日は、ここ数日のテーマに少し関連があると思うので『日中の興亡』(青山繁晴)のなかにあった以下のようなエピソードを取り上げる。

「アメリカ軍の将軍がこう語ってくれたことがある。
『青山さん、世界中にアメリカ軍の基地があるけれども、朝八時半に従業員が全員来る基地は日本だけです。つまり遅刻がない。それは日本だけです。五時半に帰ったあと、備品が一個もなくならない基地も日本だけです。』

日本国民にとっては当然の話だが、世界を相手にしているアメリカ人は驚く。本当に大事なことは、日本の基地で整備したアメリカ軍の飛行機は落ちないことだ。米本土も含めて、日本以外で整備した飛行機はよく落ちる。

ところが日本で整備したものは落ちない。アメリカ軍の人に『スペースシャトルも本当は日本が作って、日本が打ち上げていたら、爆発なんかしない」と言ったら、「そのとおり」と、あっさり答えた。日本ならネジの一本まで同じように作れる。」

前半の話は、まさにその通りなのだろうと思わせる話である。朝八時半の段階で、遅刻が何割かいるのと、ほとんどいないのとの違いは、目に見えてはっきり分かることである。従業員の帰宅時に備品がなくなっていないかどうかも、明らかに分かることである。アメリカ人の将軍は、その目に見えてはっきり分かる違いに強い印象をもっていて、それを率直に語ったに違いない。

後半の話は、はっきりしたデータ(数字の資料)がないのでなんともいえない。まあ、参考程度に聞いておくほかないが、前半の話だけでも充分興味深い。ここ数日紹介してきた、日本人の仕事への姿勢と重ね合わせれば、ますます鮮やかなイメージで日本人の姿が浮かんでくるだろう。

日本人のここが好き

2009年05月26日 | マンガ
これまでの何回か、『私は日本のここが好き!―外国人54人が語る』(出窓社)からの引用を中心に、日本の平凡人、一般人が全体としてきわめて質が高いらしいとくことを、様々な外国の人々の意見を紹介するという形で確認してきた。今回はそのまとめということで、こまで取り上げた各意見の要点を列挙してみた。

◆「‥‥しかし、日本も政治家の実力と実績は客観的に言って三流だ。日本に住んでみると、はし店・魚屋・米屋・工事作業員の努力や実力が、韓国とは明らかに違うように思える。一部の政治家ではなく、国民全員が国の現実に責任を負っているのだ。」 (朝鮮日報のコラム)

◆「日本人は、真面目で勤勉、そして「質」をとても大事にすると思います。社会全体で常にエクセレンスをめざす。自分たちは気がついていないかもしれませんが、これはとても明白な素晴らしい利点です。そして、日本社会の最大の強みは、「一般人」です。日本には世界一の「一般人」がいますよ。」(スコット・キャロン)

◆日本人は、「『これが正しいことだ。自分はそれを正当に行う』と相手が自然にしてくれるからです。他人のためというより、自分自身の満足のいくまで仕事をする。それが誇りであり、名誉なのです。」(田丸メリー・ルイス)

◆「日本では皆が一体となって一つの事に立ち向かい、成功させていくことが出来ます。ですから僕は、日本がこの良い面を保ち続けることが出来れば、日本の未来は明るいと思います。」(ピーター・フランクル)

◆「どれほど日本人が自分の仕事に責任感を持ち、夢中になっているかということ。日本人はそのことに誇りを持って欲しい。世界的に素晴らしい現象なのだから。自分の仕事に誇りと責任を持つという点で、世界一なのだから。その素晴らしさを意識してほしい」(ロルちゃん)

このように多くの人々が、表現の仕方はそれぞれだが、同じような内容のことを言うのだから、やはり客観的に判断しても、それは他にない日本人の資質なのだろう。だとすれば、それをしっかり自覚した上で、失わないように心がけていく必要があるだろう。

日本人の仕事への責任感は世界一

2009年05月24日 | 全般
ロルちゃん・個人コーナー・東京は良かった・・・#4・ビデオNo.051


今回は、YouTubeで発見したこのブログから紹介したい。このドイツの方は、日本に長く滞在したことがあり、日本語はとても上手だ。今はドイツに在住するが、再度日本で就職したいという希望ももっているようだ。

彼はこのブログで、これまでに何回か見てきたような日本人の特質を彼自身の視点と言葉で語っている。ブログを実際にご覧になっていただければよいのだが、見る時間のない人のため、その要点をここに紹介する。

彼は、日本人の一生懸命さ、責任感、義務感がよく表れている象徴的な場面として都内のあるイトーヨーカ堂前の駐車場の場面を紹介する。彼は、昔は日本はどこに行っても働いている人が多いとバカにしていたようだ。例えば売り場の店員とか駐車場の誘導係など。一人でできるのに何でわざわざ数人で誘導する必要があるのか。定年後の老人になぜこんな仕事を強制するのかなどと思っていたそうだ。

しかし今は考えを改めた。彼らは強制ではなくやりたいからやっている。定年後も働くことで生きがい、社会に必要とされているという実感を得られる。彼は、(実際に駐車場の前の場面を写して)言う、「あの一生懸命さはドイツの人々には絶対にないものです。絶対、ドイツにはない風景です。駐車場の前に5人も働いています。」 

日本では見慣れたふつうの風景だろう。20年前に変だと思っていたが、今は見方を変えているとのこと。そして彼がいちばん言いたいことは、どれほど日本人が自分の仕事に責任感を持ち、夢中になっているかということ。日本人はそのことに誇りを持って欲しい。世界的に素晴らしい現象なのだから。自分の仕事に誇りと責任を持つという点で、世界一なのだから。その素晴らしさを意識してほしい、ということであった。

日本人は仕事で連帯する

2009年05月23日 | 全般
◆『私は日本のここが好き!―外国人54人が語る』(出窓社)より、もう一人を紹介したい。ハンガリー生まれでフランスに帰化したピーター・フランクル氏。数学者・大道芸人という肩書きをもつ。滞在期間18年。やはり日本の「一般人」の仕事への取組みについての感想だ。

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僕が日本を気に入った理由がもう一つあります。それは日本人が非常に仕事熱心であるという点です。もちろん西欧でも仕事熱心な人はいます。しかし日本が他の国と違うのは、協力して仕事を成し遂げようとする姿勢です。皆で一つのことを達成しようとする時、そのグループの中にいればとても安心でき、非常によい状態で仕事ができます。西欧では役割分担がはっきりしており、自分は自分の仕事だけやれば良いのです。そして自分の仕事が済めば、たとえ相手に仕事が残っていようがさっさと帰ってしまいます。しかし日本では仕事を通して一体感・連帯感を感じることが出来ます。

僕も初めてテレビの仕事をした時、なかなかうまく出来ない僕を周りのみんなが助けてくれました。今でも収録現場などで、自分が手持ち無沙汰なときには何か出来ることはないかと自ら積極的に探している姿をよく見ます。僕は中国でもテレビの収録をしたことがあるのですが、暇になったスタッフは、他を手伝うどころか将棋をしたり、携帯電話で大声で話したりしていました。自分の与えられた仕事させ済めばもう良い、という態度が強く感じられました。

日本では皆が一体となって一つの事に立ち向かい、成功させていくことが出来ます。ですから僕は、日本がこの良い面を保ち続けることが出来れば、日本の未来は明るいと思います。

そしてそれを信じてこれからもずっと日本に住み続けたいと思います。

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日本の平凡人、「一般人」の高い資質ということをテーマに『私は日本のここが好き!―外国人54人が語る』の中からいくつかの感想を拾ってみた。フランクル氏が言うように、「自分の役割分担以外は関係ない」という態度をとらず、一体となって仕事を成し遂げていこうとする態度は、日本人の特質と言えるのだろう。同じような指摘をする外国人もまた多い。

明日には、YouYubeから、このテーマに関係のありそうな、外国人のブログを紹介するつもりだ。

自分の仕事に誇りをもつ日本人

2009年05月21日 | 全般
◆『私は日本のここが好き!―外国人54人が語る』(出窓社)より、別の外国人へのインタビューを紹介する。田丸メリー・ルイスというアメリカ人女性。滞在期間40年で、元麗澤大学講師。

テーマとしては昨日の「世界一の『一般人』がいる日本」と同じである。「一般人」のレベルの高さを仕事の面から語っている。

彼女は、飛行機で日米を往復する機会が多かったが、同じ航路を飛ぶ同じような飛行機で、日米の乗務員の客扱いの態度はかなり違うという。「日本人の乗務員の動きは静かで穏やか。客の前にコーヒー一つ置くにしても客のことを考えてそっと置く。こちらの心が和みます。」 ところが「アメリカ人の乗務員は、さっさと於く。自分を中心にした動作です。」 デパートや小売店でも同じ違いがあり、日本の従業員はチップはないのに丁寧だという。

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仕事に対する考え方がとても違います。日本人は、ちゃんとした仕事をしようとする。壁紙を張り替えたり、どんな小さな仕事もきちんとこなし、五時になっても投げ出さない。終わるまで続け、それぞれが自分の仕事に誇りをもっている。

質の高さを追求する”クラフトマン感覚”といえばいいのかしら? アメリカにもそういう仕事をする人はいるけれど、ごく僅か。例えば自動車の修理にしても、他のことでも、かなりいい加減。ちゃんとさせるためには、大きな声で苦情を言い、要求しなければならない、それをしないと何も起きないし、ことは運ばないということ。どれだけこちから強くでるか、ネゴシエーションにかかっている面があります。

日本ではそんなことをする必要がない。「これが正しいことだ。自分はそれを正当に行う」と相手が自然にしてくれるからです。他人のためというより、自分自身の満足のいくまで仕事をする。それが誇りであり、名誉なのです。本人はいちいち意識していないかもしれないけれど、そうするのが当リ前だからなのだと思います。この伝統はすばらしい。いい加減な仕事をする人は、日本では逆にごく僅かです。

‥‥仕事への態度だけを取り上げましたが、他にももっともっと。自分たちの文化的伝統と日本のよさいついて、日本人は自信と誇りを持つべきではないでしょうか。他人の言葉に耳を傾けることは必要だが、傾けすぎるのはよくないことでは?

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多かれ少なかれ似たような日本人の資質を指摘する外国人は非常に多い。あと2・3回は、表現の仕方こそ違え同じような指摘を紹介できるだろう。

彼女が言うように私たちは「自分たちの文化的伝統と日本のよさいついて自信と誇りを持つべき」なのだろう。私たちがまだ完全には失ってしまっていない「よさ」をはっきりと自覚して、そこに自分たちの守るべき価値や生きるよりどころ、アイデンティティの根っこをしっかりと張っていくべきなのだ。

世界一の「一般人」がいる日本

2009年05月20日 | coolJapan関連本のレビュー
◆『私は日本のここが好き!―外国人54人が語る』(出窓社)という本がある。この本は、『文藝春秋・特別版』平成18年8月臨時増刊号の中の特集「私は日本のここが好き!」で、この中でそれぞれ日本のよさを語った外国人52人に、さらに2人へのインタビューを加えて一冊の本にしたものだ。

今後、この中の何人かのインタビューを取り上げ、若干のコメントをつけていく予定だ。今回は、スコット・キャロンというアメリカ人男性のインタビューを取り上げたい。投資顧問会社の社長で滞日期間は通算17年になる。

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研修生として来日した頃の私は、アバウトな性格で「もう、いいや」と途中で諦めてしまうタイプでした。けれども日本に来たからこそ成長できたのだと思います。日本人は、真面目で勤勉、そして「質」をとても大事にすると思います。社会全体で常にエクセレンスをめざす。自分たちは気がついていないかもしれませんが、これはとても明白な素晴らしい利点です。そして、日本社会の最大の強みは、「一般人」です。日本には世界一の「一般人」がいますよ。米国のエリート教育はすごいと思いますが、エリートは一部の人間だけです。日本には優れた一般の人々が大勢いて、いつだって一生懸命。日本は健全な社会だと実感します。米国は貧富の差が激しいですから、それこそ健康保険にも加入していないような人々がたくさんいます。日本は最低保障、セイフティーネットがあります。豊かな社会なのです。治安も世界一です。東京では、子どもを自由に外で遊ばせておくことができますし、バスや電車に一人で乗せることもできます。マンハッタンで子どもを一人で外に出すなんて到底考えられません。東京での生活の方がよっぽど充実した子ども時代を遅れると思います。

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これまで紹介してきたいくつかの記事に重なることに気づかれると思う。多くの外国人が日本に来て、同じような印象を持つということである。ここで第一に比較したいのは、かつて紹介した『平凡な日本人のレベルの高さ』というタイトルで紹介した朝鮮日報の記事だ。そこで「‥‥しかし、日本も政治家の実力と実績は客観的に言って三流だ。日本に住んでみると、はし店・魚屋・米屋・工事作業員の努力や実力が、韓国とは明らかに違うように思える。一部の政治家ではなく、国民全員が国の現実に責任を負っているのだ。」 と語られたことを思い起こす。

「米国のエリート教育はすごい」から、エリート政治家だけを比較すると明らかにアメリカは一流、日本は三流だ。しかし、平凡な日本人、「一般人」である日本人は、きわめてレベルが高いのだ。それでいて日本人はそのことに気づいていない。

日本の「一般人」のレベルの高さを指摘するのはこの二人だけではない。きわめて多くの外国人がそれを感じるようだ。気づいていないのは日本人だけ。だからこそ、日本人自身が気づいていない日本人のよさを客観的に把握して、明確に自覚することが、そのよさを失わないためにも、とても大切なのだと思う。

アニメ文化外交 (ちくま新書):YouTubeでのJapan熱を裏付ける本(2)

2009年05月17日 | マンガ
◆『アニメ文化外交 (ちくま新書)

YouTubeにも世界中から日本への熱い思いが寄せられるが、そういうJapan熱を生み出したいちばん大きな理由は、やはりアニメやマンガなのだ。この本を読んでいると、その当然といえば当然と思われる事実をあらためて再認識させられる。

「アニメバブル崩壊 DVD不振、新番組も減」というようなニュースも流れているが、この本の著者が実際に各地をまわって講演などして得た実感からすると、各国でのアニメ人気は、おとろえるどころかますます熱くなっているように思う。著者もいうように「ここ数年、アニメのDVD海外市場は縮小傾向にあるが、その最大の原因が違法ダウンロードにあること」は、ほぼ確実だろう。人気そのものの衰えではないのだ。

ちなみに本の中に出てくる講演を拾って見る。

2007年12月 チェコ(80名)
2008年3月 サウジアラビア
2008年9月 ミャンマー(450名)
2008年9月 ベトナム(700名)
2008年10月 スペイン(350名)
2008年12月 イタリア(120名)

他にドイツ、カンボジア、ラオスなど2008年中の講演であり、ごく最近のナマの現地報告であることが分かる。読んでいただければ分かるが、講演会での質疑応答やその後の交流など、ともあれその熱気が驚くほどなのだ。違法ダウンロードの問題は深刻だが、反面、インターネットによってかつてないスピードと規模で日本のアニメファンが増大しているのも確かなようだ。しかもその多くは、アニメを通して日本文化のファン、日本のファンになっていく。「日本人が知らないJpan熱」が世界に広がりつつあるのだ。

本のタイトルは『アニメ文化外交』だが、それはこのような日本熱をまず充分に認識して、それを有効な外交手段として活用することは、大きな可能性を秘めている、ということだろう。様々なアンケートでも日本とその文化が世界から好意的に受け止められていることがわかる。その背後にアニメの絶大な影響がある。日本のアニメは「平和をテーマにするものが多い」と理解されているようだ。このソフトパワーを平和な外交手段として大いに活用していくべきなのは確かなことだろう。

アニメ文化外交 (ちくま新書):YouTubeでのJapan熱を裏付ける本(1)

2009年05月12日 | マンガ
◆『アニメ文化外交 (ちくま新書)

前回、YouTubeへのコメントから読み取れる、日本への熱い憧れについて書いた。今回取り上げる本は、私がYouTubeから受け取るのと同じようなたいへんなJapan熱が、やはり世界中に湧き起っているのだということを、アニメの観点から、しかも最新の情報で教えてくれる。5月10日に出版されたばかりの本だ。

著者は櫻井孝昌。コンテンツメディアプロデューサーという肩書きで、日本のアニメやファッションが世界の中でどのような位置を占め、外交上どのような意義があるかを研究しているという。また、世界中で「アニメ文化外交」講演を行っていおり、本書は各国で行った講演を通して、世界に日本のアニメがどのように受け入れられているかを、じかに肌で感じ取った最新のレポートになっている。

レポートは、ミャンマーやサウジアラビアといった日本のアニメが一見浸透しにくいと思われる国での講演の様子から始まる。両国とも予想を超える聴衆が集まり、会場は熱気に包まれる。どちらもインターネットの動画サイトなどで日本のアニメがかなり浸透しているようだ。

スペインでも日本アニメの人気は驚くばかりだ。フランス・パリの「ジャパン・エキスポ」(2008年13万人以上来場)については、日本でもある程度知られるようになった。しかしスペインでも、バルセロナの「サロン・デル・マンガ」(6万人規模)、マドリッドの「エキスポマンガ」(2万人規模」、アンダルシア地方の「サロン・デル・マンガ・デ・ヘレス」(2万人規模)と主要なものだけで三つの大規模イベントが開催されいることは、日本でもほとんど報道されていないし、私も知らなかった。

日本のポップカルチャーを好きとか嫌いとか言う以前に「僕たちは日本アニメで育っているんですよ」という人々が急増しているという現実。しかも2000年代になってからは、人気のあるアニメはインターネットで瞬時に世界中に広がるという現実。それは一方で、違法ダウンロードによる売り上げの縮小という危機を日本のアニメ業界にもたらしているが、前回のYouTubeへのコメントからも読み取れるようなJapan熱をも急速に世界に広げているのだ。

著者は、世界を講演して回ってその信じられないような熱気をじかに感じており、それが各国を回っての講演レポートの随所に描かれている。このアニメ人気をを何とかして平和的な外交の手段として生かしていきたいというのが著者の願いのようで、私も著者の願いと実践に共感する。

日本への憧れ、YouTubeへのコメントより(2)

2009年05月10日 | 全般
YouTube動画、I love new Tokyo 
昨日紹介したYouTubeのこの動画へのコメント、昨日は一ページ目の最新のものをそのまま載せた。コメントは、こんな調子で延々と続くが、今日はこれより過去のものからいくつか適当に選んで紹介する。いずれにせよ、なぜこれほどに日本が魅力的に感じられるのかを、日本人としてしっかりと把握しておく必要があると思う。

☆SpyroTDragon (3 週前)
love Japan. I love to be there. And it would be hard for me to leave and come home.
私は日本を愛している。日本にいることが好きだ。そして、ここを去って国に帰ることは私にとってきついことだろう。

☆7Feena7 (3 週前)
one day i will visit this wonderfull country^^
japan is my dreamland^^v
いつか私はこの素晴らしい国を訪問するだろう。日本は私の夢の国だ。
very nice music+video
greetings to all japanese people
and all japan fans^^/
素敵な音楽+ビデオ
すべての日本のみなさんと日本ファンの人々、こんにちは。

☆hawijad (1月前)
I dont care about my Land i h8 Norway its sucks so hard they almost got nothing. H8 NORWAY, SUCK!! JAPAN here i come!!
私は、自分の国のことなど気にしない。ノルウェーは嫌いだ。ノルウェーは本当に最悪だ。ほとんど何もない。ノルウェーを憎んでいる。むかつくほどだ!! 私は日本にいる!!

☆marsija92 (1月前)
One Day i will visit Tokyo for sure. I love Japan for religion, tolerance, people, and anime ofc (^^,) Kisses from Poland (Europe)
いつかきっと私は日本を訪問するだろう。私は日本を愛する、その宗教、寛容、人々、そしてもちろんアニメのゆえに。ポーランドからキスを

☆tennenb0ke (1月前)
Have you ever been to Japan? EVER? i know people who have been to USA and hated it, but honestly, i've NEVER met a person who didn't like Japan after visiting it for the first time.
あなたは、日本に行ったことがありますか? 本当に? 私は、アメリカに行きアメリカを嫌いになった人は知っています。しかし率直に言って、はじめて日本を訪れたあと日本を嫌いになった人には一度も会ったことがありません。

☆freedfighter96 (1月前)
IF I DONT GO TO TOKYO MY LIFE WAS A WASTE
もし日本に行かないとしたら、私の人生は浪費だ。

☆zEeoN (1月前)
Always brings a tear to my eye. One of the best, if not the best memory of my whole life.I love New Tokyo.
いつも涙があふれる。私の生涯の唯一ではないにしても、最高の思い出のひとつ。I love New Tokyo.

日本への憧れ、YouTubeへのコメントより

2009年05月09日 | 全般
YouTube動画、I love new Tokyo 
YouTubeのこの動画はイギリス人が2006年11月20日に投稿したもののようである。今日現在で260,395のアクセス数である。もう投稿後2年半もたっているので、アクセス数が多いとはいえない。ビデオは私たちにはなんでもない、ごく普通の混雑した東京の風景である。

注目したいのは、そこに世界中から寄せられているコメントの内容だ。今日現在で843のコメントがある。そのほとんどが日本、そして東京への熱い思いを語っているのだ。私は、YouTubeの、この種の日本を扱った動画へのコメントを多く読んできたが、そうすると今の日本が世界中からどれほど憧れられているかがとてもよく分かる。これはYouTubeの世界をさ迷ってみなければ実感としては分からなかったことである。そしてほとんどの日本人は、こうした世界からの熱い思いを知らない。

以下にその憧れの一端を紹介しよう。この動画への最新の投稿からそのまま順に訳をつけてみた。(一部、私の推測でどのコメントがどのコメントに対する応答かを判断し、順番を変えたが、最新1ページ目のコメントをそのまま載せた。)

★★★~~~~~★★★~~~~~★★★

◆テキスト コメント (843)

☆lonesn1per (1週前)
my heart was born there and will die there!
私のハートは東京で生まれた、そして東京で死ぬ!

☆zueq (1日前)
same here, I guess my heart only will die there :(
私も同じ、私のハートはそこ(東京)でしか死なないだろう。

☆Couchptato10 (4 日前)
This video always relaxes me. Can't wait to go to Japan :)
このビデオを見るといつもリラックスする。日本に行くのが待ちきれない。

☆ImperialPimp (6 日前)
Well, flights to Tokyo now are cheaper than ever! Now is the time, if any !
ええと、東京へフライトするには今がこれまでになく安いよ! 行くとすれば今がチャンスだ!

☆vicepresidentfru1tly (6 日前)
Every time I watch this video it never fails to coax a gargantuan sigh from me.
このビデオを見るたびに、かならず大きなため息が出てしまう。

It perfectly captures the vivacity and excitement of the city through the hectic, almost brutal, pacing of the editing, yet it also illustrates the serenity of the neon city through the wistful soundtrack.
このビデオは、せわしくて残酷なほどの編集ペースだけど、完璧に東京の活力と刺激をつかんでいるよ。しかもこの派手な都市の平穏さを哀愁をおびた音楽で描いている。

For me, the hustle and bustle of Tokyo is deeply relaxing, not stressful.
私にとって東京の喧騒は、深くリラックスできるものでストレスにはならない。

☆ImperialPimp (6 日前)
Exactly... まさにそうだ。

☆Mishimoto123 (4 日前)
Thank you, you said what i coudnt put into words
ありがとう、あなたは私が言葉にできなかったことを言ってくれた。

☆nekosun (1週前) my heart will allways lay in japan =(
私の心はいつも日本に寝る。

◆コメントは、こんな調子で延々と続くが、これより過去のものから三つだけ紹介する。

☆7Feena7 (3 週前)
one day i will visit this wonderfull country^^
japan is my dreamland^^v
いつか私はこの素晴らしい国を訪問する。日本は私の夢の国だ。

very nice music+video
greetings to all japanese people
and all japan fans^^/
素敵な音楽+ビデオ
すべての日本のみなさんと日本ファンの人々、こんにちは。

☆freedfighter96 (1月前)
IF I DONT GO TO TOKYO MY LIFE WAS A WASTE
もし日本に行かないとしたら、人生の浪費だ。

☆zEeoN (1月前)
Always brings a tear to my eye. One of the best, if not the best memory of my whole life.I love New Tokyo.
いつも涙があふれる。私の生涯の唯一ではないにしても、最高の思い出のひとつ。I love New Tokyo.
コメント (1)

『ラーメンガール』と禅

2009年05月05日 | 世界に広がる日本食
◆『ラーメンガール [DVD]』(Amazon.com)

The ramen girlの予告編はこちら

The Ramen Girlの映画情報は「2007年/日本・アメリカ/カラー/102分/配給:ワーナー・ブラザース映画、監督:ロバート・アラン・アッカーマン、脚本:ベッカ・トポル、キャスティング:ビクトリア・トーマス、奈良橋陽子 出演:ブリタニー・マーフィ、西田敏行、石橋蓮司、パク・ソヒ、余貴美子」といったところ。 2009年1月17日(土)より、テアトル新宿にてロードショーされた。

前田耕一の超映画批評ではかなり辛口の厳しいレビューがなされていた。たとえば「『ラーメンガール』は、西田敏行のハリウッドデビュー作品だが、その使い方を完全に間違っているなど、作り手の認識不足があらゆる面で目立つ。」「西田演じるガンコ店主は、ヒロインが思わず訴えるとおり「虐待」の限りを尽くし、何の説得力もないイジメのような修行をおしつける。◇ それはたとえば、素手で和式の便器を洗わせてみたり、暴力を振るったりといったもろもろのこと。言葉の通じぬ外国人が突然弟子入りなどといってくれば、その本気を疑う気持ちもわからぬではないが、これはいくらなんでもやりすぎだ。最初は笑っていた観客も、みるみる引いていくのがわかる。本作はこういうやり方ではなく、もっと西田の「どこか憎めない」天性の才能を生かし、日米文化ギャップのコメディとして作るべきだった。」といった具合だ。

しかし、監督はこの映画を作るとき「日米文化ギャップのコメディ」を作る意図はなかったのだ。監督はいう、「ラーメンに注がれた愛情は、国境や国籍、文化の違いを超えて人の心の底に響く。まるで、自己中心的に他者を審判するような独善がまかり通る世界への反論にもなっているね」と。 監督は、どんぶりの中に「世界」をかいま見ているが、日本文化の真髄をも見ているようでもある。

日本文化は、剣道にしても柔道にしても茶道にしても華道にしても歌道にしても料理道にしても、すべてが修「道」となり、それぞれの道を究めることが人間の本来あるべき姿を求める修行となっている。日本人自身はあまり自覚していないが、これは禅の修業法からの影響が大きく、師から弟子へと伝授していく方法は、どのジャンルでも驚くほど共通している。

監督は、ラーメン道でガンコ店主のマエズミ(西田敏行)がアビー(ブリタニー・マーフィ)に極意を伝えるプロセスに、日本のあらゆる芸道に共通する方法を描きこんでいる。ガンコ店主は、無意識のうちに「何の説得力もないイジメのような修行」で禅の師が弟子を鍛えるような方法をとっている。店からつまみ出されても、じっとその前で待ち、チャンスをとらえて再び店にもぐりこむアビーの姿も、禅の本などにはよく出てくる修行者の姿だ。

その厳しい修行に耐えたアビーが作るラーメンには何かが足りない。マエズミは、年老いた自分の母のところへアビーを連れていって極意をつかまえさせようとする。その老婆が語る言葉は、「頭でっかち」になっているということ。アビーは考えすぎて「無心」になっていないということ。これも禅の極意そのものだ。

要するに、少し図式的すぎるくらいにラーメン道の世界に禅の修行論を当てはめている。現実には、ここまでラーメン「道」を徹底させる料理人はいないだろう。しかし欧米人の目から見ると、ラーメン作りに人生の修行のように打ち込む日本人は、驚異と賞賛の対象となる。そういう日本人を彼らが理解しようとするとき、禅仏教の影響ということがひとつの手助けとなるようだ。実際、そういう面は多分にある。

日本の食文化が世界に受け入れられるということは、こうした映画を通して日本文化の一面が受けいられていくことでもあるだろう。「日本人がこれほど料理作りや客人のもてなしにこころを込めるのは、こういう背景があるからなのか」と気づくきっかけにはなる。

2007年に完成し、一時はお蔵入りかとも言われたが、日本でも小規模ながら公開され世界の22カ国で公開決定ということだ。興味深く、また丁寧に作られた良作なので日本人にも多く見てもらいたい。

クールジャパンの根っこは縄文?

2009年05月05日 | 現代に生きる縄文
◆『日本の曖昧力 (PHP新書)

拓殖大学での「日本の歴史と文化」という講座の講義内容をまとめたものであるという。講義を元にしているので、内容はわかりやすくコンパクトにまとまっており、呉善花の「日本文化論」へのよき入門書となっている。読んであらためて感じたことは、呉善花の「日本文化論」の視野の広さだ。これまで多くの人々が日本文化の性格や特徴を語ってきたが、彼女の「日本文化論」ほど、ながい歴史的なスパンの中でその特質を論じたものはないのではないかと思う。欧米との比較ではなく、中国や彼女の出身国である韓国と比較することで、日本文化の特色を説得力をもって語ることに成功している。

そして何よりも魅力なのは、日本のポップカルチャーが世界で受け入れられる理由を、縄文文化という歴史の根っこにさかのぼることで見事に解き明かしていることだ。日本のアニメやマンガの魅力をこのような歴史と文化の視点から主張した議論はこれまでなかったように思う。その意味でももっと注目されてよい著者の一人だと思う。

最終章の特別書き下ろし講義「世界的な課題としての『日本風』」を要約しながら本書の内容を紹介しよう。

今、静かな日本ブームが世界的にひろがり、「日本風に恋する」層が着実に拡大している。日本文化は19世紀末から20世紀初頭に、フランス後期印象派絵画など欧米文化に深く広い影響を与えた。それから100年後の現在、日本ブームはいっそう大きな、地球規模での革命を誘発しているのではないかと著者はいう。今世界に広がる、自然環境や伝統的な生活と現代文明との間の軋みに対して、日本風が示す伝統とモダンの調和が注目されるようになっていると思われる。

著者は、日本を体系的に理解するには三つの指標が必要だという。欧米化された日本、中国や韓国と似た農耕アジア的な日本、そして三つ目が、前農耕アジア的(縄文的、自然採集的)日本だ。日本文化と特色は、アジア的農耕社会である弥生時代以前の歴史層に根をもち、それが現在にも生きていることにあるのではないかと著者はいう。

日本の神道は、強烈なものを排除する傾向が強い。強烈な匂いや音、色、血などを嫌い、静かで清浄な雰囲気を好む。その内容はアニミズムであるが、強烈な刺激や生贄の血や騒然たる踊りや音響を好まないという点では、世界のアニミズムとは正反対である。著者はこうした日本のアニミズムの特色を「ソフトアニミズム」と呼ぶ。他のアジア地域では、アニミズムそのものが消えていったが、日本ではソフトな形に変化しながら、信仰とも非信仰ともいいがたい形をとりつつ、近世から現代へ、一般人の間から文化の中央部にいたるまで残っていったのでる。

著者は、かつての「たまごっち」というサイバー・ペットの世界的な流行を、日本的なソフトアニミズムが世界に受け入れられる普遍性をもっていることの現われだととらえる。劇画やアニメはさらにはっきりと、こどもたちの柔らかなアニミスティックな世界から立ちおこった芸術表現だという。

「いけばな、サイバー・ペット、劇画やアニメなどの世界的な人気は、そうした自然な生命(アニマ)への聖なる感性が、やはり人類すべてに内在し続けていることを物語るものといえるのではないだろうか。現代世界にあって、日本的なソフトアニミズムの感性が多くの人々に迎え入れられることはたしかだと思われる。」

彼女の主張、「日本のポップカルチャーの中のソフトアニミズム的な要素」については、このブログでも機会のあるごとに具体的な事例に即して検証していきたい。