クールジャパン★Cool Japan

今、日本のポップカルチャーが世界でどのように受け入られ影響を広げているのか。WEB等で探ってその最新情報を紹介。

日本だけに起きた奇跡 アメリカ人研究者はこう見た(銃と剣をめぐって)

2024年05月25日 | 侵略を免れた日本
★以下は、次のユーチューブ動画の前半部分の要約です。全体の議論を見たいかたは次からお入りください。
 ⇒ 日本だけに起きた奇跡 アメリカ人研究者はこう見た(銃と剣をめぐって)

1980年にアメリカで実写ドラマ化されたジェイムズ・クラベルのベストセラー小説「SHOGUN」。それが、ハリウッドの製作陣の手で、真田広之主演の戦国スペクタクル・ドラマシリーズ「SHOGUN 将軍」全10話として新たに映像化されました。米国ではFXとフールー(Hulu)、日本や英国を含む他の地域ではディスニープラス(Disney+)で2024年2月より配信が始まると、たちまち話題となり、絶賛の嵐といってもよいほどの高い評価を得ています。映画レビューサイト「ロッテントマト」では、批評家からも一般視聴者からも高評価が続出しています。

主演の真田広之は、プロデューサーも務め、「日本人として日本の文化を正しく世界へ紹介したい」という思いをこのドラマに込めたと言います。「僕はこのプロジェクトに参加できて本当にうれしいし、幸せです。僕にとって奇跡のようなプロジェクトでしたし、プロデューサーとして初めての経験でした。プロデューサーとして僕たちの文化について全てを語ることができました」と彼は語っています。

物語は、関ヶ原の戦い前夜の日本を舞台に、徳川家康や石田三成ら歴史上の人物にインスパイアされて、天下獲りに向けた陰謀と策略に明け暮れるさむらいたちの闘いを壮大なスケールで描きます。物語の主人公は、五大老と敵対し、命をかけて戦う武将・虎永(真田広之)です。そんなある日、英国人航海士ジョン・ブラックソーン(後の按針)が、虎永の領地へ漂着します。虎永は、戸田鞠子(アンナ・サワイ)に按針の通訳を命じ、次第に按針と鞠子の間には固い絆が生まれ始めます。一方、難破船にはマスケット銃や大砲、さらに銀貨などがあり、虎長は天下取りの最大のライバルである石堂和成(モデルは石田三成)に優位に立ちます。

このドラマを見た海外の人々の多くは、日本の歴史にも興味をもち、もっと知りたいと思うことでしょう。事実そんなコメントが散見されます。そして、日本史に関心をもった人々が戦国時代以後の日本の歴史を探るならば、ある不可思議な事実に突き当たるでしょう。それは日本だけに起きた奇跡であり、銃と刀にまつわる次のような奇跡です。

日本に鉄砲がもたらされたのは、1543年。その年にポルトガル人が日本の南の島、種子島に漂着したのです。そのポルトガル人から二丁の鉄砲を購入したその島の領主が、刀鍛冶に鉄砲の製作を命じ、その結果、鉄砲がこの極東の島国に伝来してから1年余りで、その国産化に成功したといわれます。それ以来鉄砲は、日本中に短期間で広まりました。
それは、その時代の日本が戦国時代で、鉄砲は敵に勝つために極めて威力のある武器となったからです。そして日本はまたたく間に、ヨーロッパのいかなる国にも勝る、世界最大の鉄砲の生産・使用国になったのです。
にもかかわらず、その後まもなく日本人は、鉄砲を捨てて、刀剣の時代に舞い戻りました。武器の歴史において、他に例のない、信じられない逆行が起こったのです。しかも日本の他の技術はゆっくりではありますが確実に進歩していたのです。日本人は、あまりこの事実を意識しませんが、この退行は世界史的な視野から見れば、驚くべき奇跡なのです。世界史において戦争は付き物で、戦争がある以上、つねにより威力のある武器が求め続けられるからです。

西洋では、ポルトガル人が日本に漂着し鉄砲をもたらしたころ、つまり地理上の発見時代から、やがて帝国主義列強の時代へと大きく変化していきました。そしてその間に植民地に対する戦争だけでなく、西洋諸国間や一国内でも多くの戦争を繰り返しました。
たとえばドイツ30年戦争、英蘭戦争、英米戦争、ナポレオン戦争などです。
つまり16世紀後半に西洋と日本は共に鉄砲の時代を迎えたにもかかわらず、その後、一方は鉄砲の使用の拡大による激しい戦争への道を歩み、他方は鉄砲の放棄あるいは削減にともなう平和への道を歩んだのです。

ではなぜ日本は、世界の歴史の流れに逆らって鉄砲を捨てる奇跡の道を歩んだのでしょうか。まず歴史的事実を確認しましょう。西暦1600年に、関ヶ原の戦いにおいて全国の大名がふたつに分かれ戦いました。。結果は東軍が勝利し、この軍を率いた徳川家康が、全国を支配する実権を握り、1603年に徳川幕府を開きました。最初に触れたテレビドラマ「Shogun」は、この時代を舞台としています。

そして1615年には家康は、大阪城に残っていた西軍の勢力を滅ぼしました。これによって戦国時代は終わり、その後1867年に徳川幕府が滅びるまでの250年間、日本はほぼ戦争のない平和な時代が続くのです。そして、鉄砲は、戦国時代の終わりと共に放棄されていったのです。平和な時代になったからこそ、鉄砲は必要なくなったのだと言えるかも知れません。
 
しかし、いくつかの疑問が残ります。最初の疑問は、鉄砲は放棄されてもなぜ侍は、その後もずっと刀を持ち続けたのかということです。 次の疑問は、戦国時代のあとなぜ日本は250年もの平和を維持することができたのかです。

★以下は、次のユーチューブ動画の前半部分の要約です。全体の議論を見たいかたは次からお入りください。
 ⇒ 日本だけに起きた奇跡 アメリカ人研究者はこう見た(銃と剣をめぐって)


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マンガ・アニメが世界の人々の人生に与えた衝撃

2024年05月21日 | 世界に広がるマンガ・アニメ
★この記事の内容は、次のユーチューブ動画の前半部分です。議論の全体は次の動画で御覧になれます。
 ⇒ マンガ・アニメが世界の人々の人生に与えた深刻な衝撃

最近私は、自分のXアカントで海外の人々に次のような質問を投げかけて見ました。
What manga or anime had the most influence on your life? What kind of impact did that have? If possible, please also tell me your country name.
あなたの人生に最も影響を与えた漫画やアニメは何ですか?それはどのような影響を与えましたか?可能であれば国名も教えてください。

この質問に対して世界各国からおよそ50の回答がよせられました。回答で挙げられたマンガやアニメは多種多様、影響の内容も同様で、40以上の作品名が挙げられていたので、集計してランキングするのはあまり意味がない感じでした。それでも、挙げられた回数が多かった作品をあえて列挙すると、ドラゴンボールが5回、セーラームーンが3回、ナルト、らんま1/2、るろうに剣心、AKIRA、デスノートが各2回でした。あと宮崎駿の作品が4作品挙げられていました。それぞれの人生にどんな影響を与えたかについては、代表的なものをいくつか選んで、この動画の最後に紹介したいと思います。

ここではまず、ある本を紹介しながらフランスの子供たちの心にアニメとマンガがどのような影響を与えたかを語りたいと思います。ここに語られていたのと同じような影響を世界各国の子供、そして若者たちが受けていたと思われるからです。本のタイトルは『水曜日のアニメが待ち遠しい:フランス人から見た日本サブカルチャーの魅力を解き明かす』です。著者はトリスタン・ブルネ氏で、1976年生まれ、フランス人「オタク」の第一世代を自称するマンガ・アニメ通です。日本マンガの翻訳家であると同時に日本史の研究者であり、日本の大学等でフランス語、フランス思想の講師もつとめるとのことです。

彼によると、フランスのTVではじめて日本のアニメが放送されたのは1972年で、子供たちの圧倒的な人気を得た最初の作品は1978年の「UFOロボ グレンダイザー」でした。フランスで日本のアニメが本格的に放送されるにようになったのは、放送局が民営化される過程でコンテンツ不足に悩み、それを補うのに安い日本製アニメが輸入されたからでした。当時、フランスの小学校は水曜日が休日で、その日の子供向け番組にアニメが放映され、大勢の子供たちを夢中にさせたのです。水曜日のアニメを待ち遠しく待ったそうした子供たちの一人がこの本の著者トリスタン・ブルネ氏だったのです。

1980年代後半からは、「ドラゴンボール」「うる星やつら」「キューティー・ハニー」「Dr.スランプ」「めぞん一刻」「キャッツ・アイ」「北斗の拳」「キャプテン翼」といった大ヒット作が立て続けに放送されました。

その後も「キン肉マン」「シティハンター」「気まぐれオレンジ☆ロード」「らんま1/2」「美少女戦士セーラームーン」といったヒット作が放送されますが、その人気は1990年代中ごろから落ち込み始めたといいます。その大きな理由が日本製アニメに夢中になる子供たちの親世代からの激しい批判、ジャパンバッシングだったのです。
当時の日本アニメへのバッシングにはいくつかの理由があったようですが、そのいちばん深い理由は、日本のアニメが西欧にない異質な世界観・価値観を子供たちに注ぎ込むことへの大人たちの恐れではなかったかと、著者は言います。

★この記事の内容は、次のユーチューブ動画の前半部分です。議論の全体は次の動画で御覧になれます。
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海外の本音プチ炎上 日本人が親切?規律正しい?

2024年05月14日 | 日本の長所
★この記事の内容は、次のユーチューブ動画の要約です。議論の全体は次の動画で御覧になれます。
 ⇒ 「海外の本音プチ炎上 日本人が親切?規律正しい?」

私は最近、自分のXアカントで次のような質問をしました。
「日本人はなぜ規律や礼儀、敬意を大切にするのでしょうか。それは、日本が単一民族が住む島国であり、他国に侵略されたことがなく、自然災害があっても協力して立ち直ってきたからだと思います。これについてどう思いますか。」(原文は英語です)

この質問に対し、それほど多くの回答を期待していなかったのですが、意外にも海外から90以上の回答がありました。しかもかなり否定的、批判的な意見も多く、ちょっとした炎上かなと感じたくらいです。

上の私の問いかけに対してもかなり無礼な発言が散見しました。たとえば日本語にすると「アホなおいぼれめ、すぐにくたばるだろうがな」というような感じです。これはさすがにブロックしたので、もう見れませんが。この人も含め、「日本が単一民族が住む島国」だから規律や秩序があると表現したことにお怒りの人が多かったようです。もちろん日本を単純に単一民族の国とは言えないかもしれませんが、あえて単純化して言いました。言いたかったのは世界の他の国々に対してきわめて均質性の高い国で、それが日本人の規律性や秩序ある社会の一因になっているということです。

多様性と均質性。現代の世界は多様性を重視します。日本のように比較的に均質な社会だから、社会の秩序や規律性が保たれたと言えば、当然強い反発が起こります。そういう立場からの反対意見はたくさんありました。いくつか例を挙げます。

★私の考えでは、規律、礼儀正しさ、敬意と単一民族であることとのつながりはかなり希薄で、その間に因果関係をこじつけるのは、日本の多民族性を否定したい人々による神話作りの一部です。

★日本には単一民族が住んでいるのではありません。初期にはさまざまな地域から複数の移住がありましたが、最も明白な例は北海道のアイヌです。性格、行動、特性は国民に本来備わっており遺伝するという誤った考えに基づく意見は、すべて国家主義的なアプローチに過ぎず、まったくのナンセンスです

★彼らが秩序を保っているのは、人間の生命にとって非常に危険な場所において、それが生き残るための最も合理的な反応だからです。そして日本は単一の民族ではなく、複数の民族(少なくとも縄文人・弥生人のような2つの大きな民族)があり、さらに琉球人やアイヌもいます。

★「単一民族」という言葉には納得できません。歴史的に見て、それは正確ではありません。はるか昔、日本は北と南の部族が混在していました。そのため、顎の形や肌の色は多種多様です。

私の主張は、「大陸から海で適度に隔てられた日本は、異民族により侵略、征服されたなどの体験をほとんどもたず、そのため縄文・弥生時代以来、一貫した言語や文化の継続があった。そうした歴史的継続性や統一性という背景が一因となって、現代の日本社会の規律性や秩序の高さが生まれた」ということに尽きます。

上に挙げた例にも見られるように、私の質問に対して、先住民アイヌの例を持ち出し、真っ向から否定する意見もいくつかありました。しかし、アイヌについての最先端の研究成果を知れば、問題はそれほど単純でないことが分かるでしょう。少なくとも以下のような学説もあることを知っておくべきです。

北海道では、本州が弥生時代に入ってからも縄文文化を継続し、続縄文文化とよばれました。つまり縄文人がその文化を本州よりも長く継続していたのです。その頃、樺太からオホーツク文化が南下し、北海道の北と東の広い地域に広がりました。そして7世紀からは東北の農耕民が北海道西部に移り住み、本州の土師器の影響を受けた擦文式土器を特徴とする擦文文化に移行し、擦文人は勢力を北海道全域に広げました。

その結果、オホーツク文化は北海道の東部地区に残りましたが、擦文文化と融合してトビニタイ文化となりました。そして擦文文化がトビニタイ文化を吸収して、13世紀に成立したのがアイヌだと言われています。つまりアイヌとは、北海道縄文人の子孫である続縄文人と東北弥生人が融合し、樺太から下がってきたオホーツク人を吸収して一体となることで形成されたのです。近年の遺伝子調査によると、アイヌ人とDNAが最も近いのは、琉球人で、次に近いのが本土日本人でした。つまりアイヌは、琉球人とともに縄文人の血統を色濃く受け継いでいるのです。現代の日本人が、縄文人と弥生人の両方の血を受け継いでいることはよく知られていますが、アイヌや琉球の人々は、縄文人の血をより濃く残していると言えるのです。このような研究成果を踏まえるなら、アイヌを先住民と単純には言えないし、アイヌや琉球人を単純に別民族とも言えないのです。

最後にひとつだけ付け加えます。日本人の規律や秩序や治安の良さについては、先の意見(動画の中で見ることが出来ます)の中にあったように、もしかしたら表面的なものかも知れません。しかし犯罪や無法状態が蔓延する社会よりは、安心して暮らせる社会を誰もが望んでいます。日本が今そういう社会であるのは、いくつかの地理的・歴史的な条件が幸運に働いた結果かもしれません。しかし、日本人がそういう状態をいつまでも維持することで、それが世界に何かしら良い影響を与える可能性は高いと思います。そういう社会が存在することが可能なのだということを現実に示し続けることは十分に意味があるのです。そこに人々は可能性と希望を見つけ出すことができます。そして人々の意識が少しでも変われば世界が変わる可能性があるのです。かすかな可能性かもしれませんが、否定できない事実でしょう。

★この記事の内容は、次のユーチューブ動画の要約です。議論の全体は次の動画で御覧になれます。
 ⇒ 「海外の本音プチ炎上 日本人が親切?規律正しい?」



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日本人の優しさ・礼節・敬意——その驚くべき背景(世界の反応)

2024年05月07日 | 日本の長所
★この記事の後半は、次のユーチューブ動画でご覧いただけます。
 ⇒ 日本人の優しさ・礼節・敬意——その驚くべき背景(世界の反応)

私は自分のXアカントで行ったアンケート結果や、関連するユーチューブ動画や読んだ本のなどを参考にて、海外の人々が見た日本人や日本社会の特質をおよそ次のようにまとめてみました。

1)礼儀正しさ
2)規律性、社会の秩序がよく保たれている 
3)謙虚さ、親切、他人への思いやり 
4)勤勉さ、仕事への責任感、自分の仕事に誇りをもっていること
5)治安のよさ、犯罪率の低さ

では、日本人の礼儀、規律性、謙虚さ、優しさはいったいどこから来るのでしょうか。これに関し私は、東北大震災の直後に見せた日本人の秩序ある行動が、驚きと賞賛をもって世界に報道されたのを思い出します。当時、アメリカのニューヨークタイムズ紙は、「混乱の中での秩序と礼節、悲劇に直面しても冷静さと自己犠牲の気持ちを失わない、静かな勇敢さ、これらはまるで日本人の国民性に織り込まれている特性のようだ」と評しました。

逆にアメリカでは2005年のハリケーン・カトリーナの際に無法状態での略奪など混乱状態に陥りました。日本では災害時にそういう無法状態に陥らず、略奪もなく秩序が維持されていました。この違いはどこからくるのでしょうか。

ある意味でそれは、日本が、大陸から適度に隔てられた島国であるという特殊な地理的条件から来るとも言えるでしょう。そのため日本は、民族と国家がほぼ一致し、共通の文化と言語を保ちながら1500年以上も続いてきたのです。

ヨーロッパ大陸やアジア大陸などの大陸においては、異民族間の戦争や、侵略、虐殺が繰り返されてきました。そういう歴史の中では、信頼を前提とした人間関係は育ちにくいのです。戦争と殺戮の繰り返しは、不信と憎悪を残し、それが歴史的に蓄積されていきます。

一方、海に囲まれた日本では、異民族による大規模な侵略や殺戮をほとんど経験せず、自分たちの言葉や文化が根こそぎ奪われてしまうような体験もありませんでした。国内に戦乱はあったにせよ、その規模は世界史レベルからすれば小さく、長年培ってきた文化や生活が断絶してしまうこともありませんでした。異民族による侵略や虐殺のない平和で安定した社会は、長期的な安定した人間関係が生活の基盤となります。互いの信頼に基づく安定した人間関係を大切に育てることが、日本人のもっとも基本的な価値観となったのです。

★この記事の後半は、次のユーチューブ動画でご覧いただけます。
 ⇒ 日本人の優しさ・礼節・敬意——その驚くべき背景(世界の反応)

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日本文化・10の奇跡―世界を魅了する発信力の秘密

2024年05月05日 | 全般
日本が、強力な文化的な発信力をもつに至った歴史的背景には何があるのか。私はそれを、以下の10の観点から探ってみました。
(1)文化の継続性
(2)縄文の記憶
(3)他文明の吸収力
(4)作り変える力
(5)キリスト教への態度
(6)相対主義
(7)穀物・魚貝文化
(8)母性原理
(9)独特の自然観・人間観
(10)道の文化
この10項目は、日本文化全体の特徴というべきものですが、今回は、それぞれの項目がなぜマンガやアニメといった日本のポップカルチャーの発信力につながるのか、という視点から概観的に語りました。ここでは上の10項目のうち3つを紹介します。続きは以下の動画で御覧ください。
⇒ ★日本文化・10の奇跡―世界を魅了する発信力の秘密

(1)文化の継続性――大陸から海で適度に隔てられた日本は、異民族により侵略、征服されたなどの体験をほとんどもたず、そのため縄文・弥生時代以来、一貫した言語や文化の継続があった。
 
世界史対照年表などで見るとはっきりと分かりますが、単一で存続し続けた国家として「世界最古の国家」は日本です。日本より古い国々はありましたが、崩壊したり侵略されたりして塗り替えられました。国家としての継続性は日本が最長なのです。そして日本人は民族としての土台を塗り替えられた経験を持たぬまま、縄文時代から文化が継続されてきたのです。これが第一の奇跡といってよいでしょう。

(2)縄文の記憶——漁撈・狩猟・採集を基本とした縄文文化の記憶が、現代に至るまで消滅せず日本人の心や文化の基層として生き続けている。

世界中の産業文明の国々は、「前農耕的な」時代の文化の遺産をほとんど残していません。たとえばヨーロッパでは、キリスト教以前のケルト文化をほとんど忘れ去ってしまいました。ケルト人は、牧畜・農耕を営んでいましたが、都市は発達せず、森との共生の中に生きていました。日本の縄文文化は、一部農耕を取り入れながらも、狩猟・漁労・採集中心の豊かな文化で、それが約1万3千年も続きました。しかもその精神的な遺産が、強力な国家や宗教などによって圧殺されずに、現代日本人の精神の中にも生き続けています。世界がほとんど忘れ去ってしまった文明の古層が、現代日本の中に息づいているのです。

たとえば日本のどこにでも見られる神社は、縄文人の信仰の遺産の一端だとも言えるでしょう。そこに「日本文化のユニークさ」の基盤がります。世界がマンガ・アニメに引かれる背景には、現代文明の最先端にありながら他の近代国家がほとんど忘れてしまった縄文的な何かがそこに息づいているからではないでしょうか。その何かとは、生命と無生命、人間と他の生き物を明確に区別しない文化、アニミズム的、多神教的な文化とも言えるでしょう。生命のあるものとないものとがたえず交わり、絡み合う世界を描くマンガ、アニメ、ゲームなどの魅力。このように、機械と生命と人間の境界があいまいで、それらが自由に融合していく日本のファンタジー世界は「テクノ-アニミズム」の魅力とも呼べるでしょう。

(3)他文明の吸収力
大陸から適度な距離で隔てられた島国であり、外国に侵略された経験のない日本は、大陸の進んだ文明の負の面に直面せず、その良い面をひたすら尊崇し、吸収・消化することで、独自の文明を発達させることができた。

ユーラシア大陸のほとんどの国は、古代から他民族によって侵略され文化を破壊された経験をもちます。近代では、アジアとアフリカと南北アメリカのほとんどの国がヨーロッパ諸国の植民地とされました。日本がそういう経験をもたず、古代からの固有な文化を保ちながら現代に至ったこと自体が奇跡のひとつと言えるでしょう。日本は、こうした歴史のため、海の向こうから来るものを、恐ろしく破壊的で邪悪な何かと感じるのではなく、進んだ文明をもたらしてくれる善きものと感じ続けたのです。こうして中国文明も西洋文明も貪欲に吸収することができました。この意味で非常に学習力の高い民族だったと言えます。その結果、文明の古い層を残しながら文明の先端をも走っている、重層的な国なったのです。その重層性の中から、世界を魅了する日本文化の発信力も生まれてくるのです。

続きは以下の動画で御覧ください。
⇒ ★日本文化・10の奇跡―世界を魅了する発信力の秘密


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日本語の響き、きれいor汚い? 海外250人が直返答

2024年05月02日 | 日本についてのアンケート
★これほどに日本語の魅力に取りつかれている人々が多いとは驚きです。さらに確認するには次の動画をご覧くさい。
日本語の響き、きれいor汚い? 海外250人が直返答

私は、以前からずっと日本語の響きはあまりきれいではないだろうと思っていました。ところがここ数年、ユーチューブなどで見ると、日本語の響きの美しさに魅せられたり、それで日本語学習を始めたりと言う人が意外に多いことに驚きました。
たとえば日本で英会話講師としても知られるサマー・レイン( Summer Rane)さんの場合はこうです。彼女が9歳ぐらいのときアメリカではドラゴンボールZがすごく人気で、彼女も次のエピソードを見るのが待ちきれなかったといいます。そのアニメの日本語を耳にしたとき、何と美しい言語だろうと感じ、どうしてもしゃべるようになりたいと決心をしたそうです。そして高校生になってから本格的に日本語の学習をはじめ、今ではほぼ完ぺきな日本語を話します。彼女の例のような話をよく耳にするようになりました。

それで、教師をしていた私は、教室で何回か生徒に「日本語の響きはきれいに聞こえると思うか」と質問し手を挙げてもらいました。するときれいに聞こえるだろうと答える生徒はかなり少なく、あまりきれいではないと思っている生徒が多かったのです。以前の私と同じです。

私は、自分のX(ツイッター)アカウントで日本の観光地や風景、文化などを紹介しており、幸い世界中からフォロワーも多いので、これを利用し、数年前に海外の人々にとって日本語はどのように聞こえるのかを聞いてみることにしました。その時は50名ほどの人々に回答をいただいたき、結果は驚くべきものでした。その結果は、授業で教材としても使いました。その回答のいくつかは、このあとすぐに紹介します。

今回、もう一度同じ質問を世界に向けて投げかけて見ました。前回の回答の傾向が変わっていないか確認し、最新の情報に更新したうえで、この動画を作りたかったのです。質問は次のようなものでした。

「日本語を母国語としない皆さんにとって、日本語は美しい響きをもつと思いますか、それともきたなく聞こえますか。皆さんのお考えを聞かせてください。もし可能なら、あなたの国名も教えてください。」

私や私の生徒たちがそうだったと同様に、多くの日本人は、日本語の響きはあまり美しくないと思っているのではないでしょうか。この動画を見る前に、皆さんはどう思われていたでしょうか。そしてこの動画を見た後では印象が変わりましたか。下にコメントを下さればうれしいです。

さて、この私の質問に対し、今回は、質問して一週間後の時点で 214 名の人が回答してくれました。その内、日本語の響きは「美しい」と答えた人は191名、「何とも言えない」と答えた人は22名、「ひどい響き」と答えた人は1人でした。

私のフォロワーには日本に興味のある人が多く、そのため、日本語に対しても好印象を持っている人が多いようです。回答者には日本語学習者も20名ほど含まれていたのでなおさらでしょう。上記の結果は、このことを念頭に置いた上で見る必要があります。

しかし、それにしても、前回と同様に圧倒的多数の人々が、日本語は美しい響きをもつと感じていることに驚かされます。どんな回答が多かったのか、いくつかを取り上げて見ます。数年前のアンケートの回答からもいくつか選んでいます。すべてをご覧になりたいかたは、下にリンクする私のXアカウントをご参照ください。

まず、先ほどのサマー先生のように、日本語の響きの美しさに魅せられて、日本語の学習を始めたという人々の例をいくつか拾ってみましょう。

「私はドイツ出身で、その響きの美しさに惹かれて日本語を勉強し始めました。 これがきっかけで、日本の文化、人々、メディア、食べ物に対する生涯にわたる愛が始まりました。」

「チェコ人です。日本語は、とてもソフトでエレガントでペースがいいと思います。だから私は日本語と恋におちいり、勉強したいと思うのです。」

★これほどに日本語の魅力に取りつかれている人々が多いとは驚きです。さらに確認するには次の動画をご覧くさい。
日本語の響き、きれいor汚い? 海外250人が直返答

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世界は日本からこれを学びたい!日本では当然の光景だが

2024年05月01日 | 世界に広がるマンガ・アニメ
この記事は、次の動画の内容の5分の1程度の紹介です。全体はこちらで御覧ください。⇒世界は日本からこれを学びたい!日本では当然の光景だが Fusion of tradition and future!


米国の第96回アカデミー賞では、日本から山崎貴監督の『ゴジラ-1.0』、宮崎駿監督の『君たちはどう生きるか』そしてビム・ヴェンダース監督の『Perfect Days』の三作品がノミネートされ、そのうち『ゴジラ-1.0』と『君たちはどう生きるか』が、それぞれ視覚効果賞と長編アニメ賞に輝きました。そして『ゴジラ-1.0』は日本だけでなく米国や世界の多くの国々で日本映画として記録的なヒットとなりました。

さらに最近では、真田広之主演の戦国スペクタクル・ドラマシリーズ『SHOGUN 将軍』がハリウッド製作陣の手で映像化され配信が始まりました。米国ではFXとフールー(Hulu)、日本や英国を含む他の地域ではディスニープラス(Disney+)で配信され、世界的に絶賛の嵐といってもよいほどの高い評価を得て、話題となっています。

《中略》

40年前に比べれば世界中の人々の日本への関心と知識は大幅に増しています。日本を旅行した人の数もはるかに多くなっています。マンガやアニメをきっかけにして日本文化に関心をもち学び始めたり、日本語を学ぶ人の数も激増しています。だからこそ日本を見る眼も深まっているし、本物の日本の映像や文化を強く求めるようになっているのでしょう。真田広之が願ったように日本をテーマとした作品がますます増えていくでしょうが、それらは、本当の日本を描くことが何にもまして大切な条件になるでしょう。日本関連の作品が成功するか否かは、底の浅い安っぽい日本のイメージではなく、真の日本の姿をどれだけ映し出すかにかかってくるのです。

では何が日本文化をそれほど魅力的なものにしているのでしょうか。前回の私の動画『日本人のどこがユニーク? 世界の130人が熱く語る!』でも紹介したように、私は最近、自分のX(ツイッター)アカウントで次のような質問を投げかけて見ました。

「日本人や日本の文化・社会のユニークさは何だと思いますか。一つ二つ挙げてみてください。」この質問に幸い多くの回答が寄せられ、二日ほどでおよそ130になりました。その内容も様々な視点からの興味深いものばかりでした。その中には、ある共通の見解を示すものがかなり多く含まれていました。それは、日本文化の魅力の一側面を確実に表現していると思われます。そのいくつかを拾ってみましょう。

「本当に私が日本社会で最も素晴らしいと思うのは、本質的な日本らしさを保ちながら、変化し、適応し、外から新しい要素を加えていく能力です。言語であれ、技術であれ、文化であれ。」

《以下略》

この記事は、次の動画の内容の5分の1程度の紹介です。全体はこちらで御覧ください。⇒世界は日本からこれを学びたい!日本では当然の光景だが Fusion of tradition and future!


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