クールジャパン★Cool Japan

今、日本のポップカルチャーが世界でどのように受け入られ影響を広げているのか。WEB等で探ってその最新情報を紹介。

ツイッターで世界の人々と交流し実感したこと

2015年09月02日 | クールジャパンを考える
しばらくこのブログの更新を怠っていた。徐々に復活したいと思う。最近、英語でのツイッターの活動はかなりしていた。私の関心のひとつは、日本の文化が世界で注目されているが、その実態はどうかということだ。それを知るためにも、日本に関心をもつ世界中の人とツイッターで交流することは、ひとつの有効な手段だと思われる。

実際にツイートし、徐々に反応が増えるにしたがい、日本に関心を持ち、日本を愛する人々の熱い思いをかなり実感することができた。もちろんツイッターの限界もある。客観的なデータが得られるわけではない。あくまでもインターネット上での交流だから、実際の交流とはやはり質的に違うだろう。それでも、いながらにして毎日のように世界中の人々の声を聞けるメリットは大きい。今後、もっとフォロアーを増やしていけば、日本を愛する人々の興味深いエピソードを紹介できたり、しっかししたアンケート調査なども実施できるかもしれない。

今、1000人少しのフォロアーがいるが、ほとんどが日本に関心の深そうな人々を私がフォローし、フォローし返してもらった人々である。だから、日本にひときわ関心の深い人々が私のツイートを見ているということになる。それにしても、日本人にとってはとるにたらないようなツイートが意外なほどに関心をもたれるのを実感し、それでますます英語でのツイートに力をいれるようになった。いくつか例を示そう。







こんな感じである。こうした写真を日本語でツイートしても誰もリツイートもお気に入り登録もしないだろう。日本のちょっとしたことにも強い関心を示してもらえることに、うれしさを感じつつも驚く。また、カタカナで自分の名前やハンドルネームを表記し、日本人と交流したがっている人々も多い。日本語の学習者のなかにとくにそういう人々が多い。日本語の学習者に、なぜ日本語を習い始めたのかと聞くと、数人が日本語の響きが好きだと答えていたのも印象的だった。

これは、いつもこのブログで書いている日本文化のユニークさを「日本文化のユニークさ8項目」の中の4番目を短くしたものだが、こうしたことにも関心をもつ人々がいることが分かる。今後もこのブログの内容に関連したこともツイートしていきたい。


今回はこれぐらいにしておくが、またツイート上の交流で何か興味深い話があったら紹介するつもりである。

クールジャパン現象は終るのか?(2)ジャパン関連イベントなど

2011年08月05日 | クールジャパンを考える
昨日紹介したように、「ニューヨーク・コミコン」や「アニメエキスポ」なのアメリカのイベントはいずれも来場者が増大し、成功を収めている。アメリカでもマンガ・アニメのファンは確実に増えているのだ。にもかかわらずマンガの売り上げは激しく減少している。

MANGA、宴のあとで】(朝日新聞グローブ (GLOBE)2011年2月7日)

全米で500万人を超えた、とも言われるファンの順調な拡大とは対照的に、マンガの売り上げの方は急速に落ち込んでいるのだ。

米市場調査会社ICv2の推計によると、米国での日本マンガの売り上げは2002年以降順調に伸びてきたが、07年の2億1000万ドルをピークに減少に転じた。09年は1億4000万ドルまで低下。10年はさらなる下落が予想され、大手出版社ではタイトル数の削減と大規模な人員整理を急ぐ。

業績不振の原因は、金融危機後の景気低迷だけでは説明しにくい。バットマンやスーパーマンといった英雄モノで30・40代の男性読者を引きつける米国マンガ(コミックブック)は、09年の売り上げが07年比で6%減。これに対して日本マンガは同じ時期に33%の大幅減だったからだ。


もちろん、ファンが増えているにもかかわらず売り上げが減少するひとつの理由は、インターネット上に海賊版が出回っていることである。「ファンや出版業界の中には、海賊版が出回ることで逆に海外で日本マンガの認知度が高まり、実売にも好影響を与えてきた、との見方もある」という。そういう見方があるというよりも、これはまぎれもない真実であり、アニメ、そしてマンガがここまで世界に広がった無視できない理由のひとつだろう。しかし、「マンガ販売の減少に悩む出版社にとって、海賊版サイトの存在は命取りになりかねない。数が多い海賊版サイトと出版社との争いは「いたちごっこ」」なのだという。

しかし、このブログの関心は、ビジネス戦略としてクールジャパン現象をどう利用するかではなく、世界での、日本のサブカルチャー人気そのものに陰りがでているのかどうかということであった。マンガ・アニメについてのビジネス戦略に関心のある方には、次のブログが参考になるかもしれない。下にタイトルを掲げ、リンクだけしておく。

アメリカでアニメやマンガが売れなくなった本当の理由?Too much expectations and not enough marketing lead to manga slump in US

さて、ここでは昨日も触れた櫻井孝昌氏の本のうち、このブログでまだ取り上げていなかった『ガラパゴス化のススメ』に触れながら、話をすすめよう。世界のジャパン熱の現状とそれが若者文化に与える影響についてである。

現在、世界中で1万人を超える日本関連のイベントは珍しくもなんともないと櫻井氏はいう。彼が2010年に参加した大型イベントだけでも、パリのジャパンエキスポはもちろん、ハワイの「カワイイ・コン」(2010年、1万人参加)、米国ボルチモアの「オタコン」(2010年、2万9千人参加)、スペイン・バルセロナの「サロン・デル・マンガ」(2009年、7万5千人参加)などがあるという。

ちなみに、英語版ウィキペディアの、世界の主なアニメ・コンベンションのリストには、95のコンベンションが挙げられている。これはアニメに特化されたコンベンションのリストなので、ゲームなどのジャンルも含めた日本関連のコンベンションの実数は、はるかに多いだろう。今は時間がないが、それぞれのコンベンションの規模や参加者数の増減などもじっくり調べてみたいと思っている。これらを丹念に調べることが、世界のクールジャパン現象の動向をつかむのにある程度役立つだろう。

ところで櫻井氏によれば、現在ジャパン熱を世界にもたらした大きなポイントは、アニメ・マンガのクリエイティブなオリジナリティであり、それを一気に広めたネットの存在だという。ネットの役割は大きく、そこにはネット上の海賊版という問題も含まれる。しかし、世界各地でこれだけジャパン関連のイベントが開かれる背景にネットによるアニメ・マンガの普及という事実があるのは否定できない。

ビジネス関連でいえば、パリジャパンエキスポに関しては、今年は日本企業の参加もだいぶ多くなっているが、たとえばバルセロナなど他のイベント会場には、日本人、まして日本企業の参加はほとんどないという。ジャパンエキスポに割り込んででも自国コンテンツの拡大をねらう韓国などに比べ、日本企業は世界中に広がるジャパン関連のイベントをまったく利用していないというのが実情なのだ。日本企業が積極的に参加・支援をすることで、これらのイベントがさらに盛大になる可能性は高いのではないか。

「MANGA、宴のあとで」のレポートの中にも「海賊版を取り込め」という発想でのいくつかの試みが紹介されているが、ネットの力で世界中に広がったジャパン関連イベントを、今度は絶好のビジネスチャンスとして最大限に活かしていく発想の転換こそが必要だろう。

さて、私の関心事のひとつであった、世界のクールジャパン現象に動向については、主なイベントの規模拡大や櫻井氏のレポートで知るかぎりは、陰りどころかますます熱が上がっているように思われる。しかし、もう少し数字的な裏付けが欲しい。これについては時間をかけて世界のそれぞれのイベントに当たってみたい。

私自身は、日本のサブカルチャーが世界に大きな影響を与えつつあるという大きな流れは、ほとんど変化しないと思っている。これについては『ガラパゴス化のススメ』の内容を紹介しながら、次回に触れてみたいと思う。

《櫻井孝昌氏の関連著作》
アニメ文化外交 (ちくま新書)
世界カワイイ革命 (PHP新書)
日本はアニメで再興する クルマと家電が外貨を稼ぐ時代は終わった (アスキー新書 146)

《関連記事》
『日本はアニメで再興する』(1)
『日本はアニメで再興する』(2)
アニメ文化外交 (ちくま新書):YouTubeでのJapan熱を裏付ける本(1)
「カワイイ」文化について

クールジャパン現象は終るのか?(1)

2011年08月04日 | クールジャパンを考える
MANGA、宴のあとで】(朝日新聞グローブ (GLOBE)2011年2月7日)

「クール・ジャパン」の行方
昔浮世絵、今MANGA。現代日本のポップカルチャーの代表格であるマンガは多くの国の言葉に翻訳され、出た先々でファンを生み、世界を席巻する勢い──のはずが、最近は売り上げ減少、苦戦を強いられているという。ブームは早くも黄昏(たそがれ)を迎えたのか。「クール・ジャパン」とはやし立てたあの盛り上がりは一時の宴(うたげ)に過ぎなかったのか。


このような出だしで始まるレポートは、フランス、アメリカ、ベトナム、韓国などの「マンガ」出版事情を扱い、かなり分量がある。ただし、このレポートはいわゆるクールジャパン現象の、ビジネス面での陰りを扱っているにすぎない。各国の「マンガ」出版に少し陰りが見えることは、私も少しは気になる。しか私自身の本来の関心は、クールジャパン現象が世界の文化にどんな影響を与えているのか、それが文明史的にどんな意味があるのかということである。日本のポップカルチャーは、世界に大きな影響を与えてきたし、今もそれは変わっていない。

日本のポップカルチャーがなぜ、世界に大きな影響を与えてきたのか、その背後にある文明論的な意味が理解されれば、ビジネス面での多少の浮き沈みはあっても、大きな流れに急激な変化はないことが分かるはずだ。たとえばこのブログでは「日本文化のユニークさ」を5項目に分けて追及し続けているが、マンガやアニメの魅力の背後にはそのユニークさが息づいているのだ。世界は、マンガやアニメを通して無意識のうちにも、そのユニークさに魅力を感じているのではないか。

まずは、このレポートでも示される、フランスでの「マンガ」売り上げの数字を見ておこう。

昨年仏国内で発行されたマンガ単行本は、前年より100点以上増えて1631点。しかし、売り上げは約1億ユーロ(約111億円)で、前年比3.6%の減。仏語圏にマンガが広く普及して以来例のない大幅な後退となった。(中略)

フランスは日本のアニメやマンガが最も愛される国として有名だ。パリ郊外で毎年開かれる日本文化の祭典「ジャパン・エキスポ」は、昨年18万人が集う盛況ぶりだった。なのに、なぜ売り上げが伸び悩むのか。米国でも最近マンガが売れなくなっている。何かが起きているに違いない。


フランスのある編集者が言うように、「頭打ちになっていることは確かだ。日本マンガは売れすぎた。『ナルト』は仏文学のどんな有名作家よりも売れた。今も売れ続けている。ただ、続く大ヒットが出てこない。新しい少年マンガがフランスには必要だ」というのが、フランスでの実状だろう。

一方で、こうした報告もある。

パリ・ジャパンエキスポに19万人以上 昨年を上回る】(アニメ!アニメ!ビズ2011年7月13日)

6月30日から7月3日までフランス・パリ郊外で開催されたジャパンエキスポの来場者が過去最高となった。ジャパンエキスポによれば、今年の来場者数は当初予想していた19万人を大幅に超えたという。 過去最高であった2010年の来場者数17万5000人を上回った。
 
今年で12回目を迎えるジャパンエキスポは、毎年夏にノール・ヴィルパント展示会会場で4日間にわたり開催される日本カルチャーの大型イベントである。当初はアニメ・マンガ・ゲームなどを中心としていたが、近年はJ-POPやファッション、さらに伝統文化なども取り込んでいる。また、日本の行政や企業などの関わりも拡大しており、日本の文化発信の拠点として注目されている。

そうした取り組みは、来場者数の急増にも表れている。2008年の13万5000人、2009年の16万5000人、2010年の17万5000人と、来場者は10万人を越えたあとも一貫して増え続けている。2011年は前年比で1万5000人増の高い目標を掲げたが、これをクリアーした。

米国では7月1日から4日までロサンゼルスで開催されたアニメ・マンガのイベント アニメエキスポが、今年の来場者が過去最高、12万8000人を超えたと発表している。米仏で日本のカルチャーイベントが勢いを増している。

ジャパンエキスポでは、期間中は昨年と同様に10万㎡もの会場に600もの出展ブースが設けられた。また、ライブイベントも数が多く、4日間で20を超える無料コンサートが開催された。

日本からはマンガ家のいがらしゆみこ さん、内藤泰弘さん、アニメーターの結城信輝さん、音楽家 大島ミチルさん、X-JAPAN、May’nさんら数十人ものゲストが招かれている。また、日本の東日本大震災からの復興を応援するプロジェクトも行われた。

ジャパンエキスポは、2012年も7月5日から7月8日まで4日間引き続きパリで開催を予定する。さらに2011年は新たに、フランス中部のオルレアン、隣国ベルギーのブリュッセルでも同様のイベントを開催する。既に継続的に開催されているフランスの南部マルセイユのジャパンエキスポ・シュードと併せて年4イベント体制となる。


2011年のジャパンエキスポの最終的な入場者数についてはレポートによって少し違いがあるが、19万人をかなり超え、20万人に達したという報告もある。フランスでのマンガの売上高のわずかな減少は、ジャパンエキスポで見る限り、日本のポップカルチャー人気の衰えを示しているとはいえないようだ。

一方アメリカの場合はどうだろうか。

米国アニメエキスポ 来場者過去最高 128000人超える】(2011年7月05日)

7月1日から4日まで、米国ロサンゼルスで開催された日本アニメ・マンガの大型イベント アニメエキスポ(Anime Expo)は、来場者数が実数で4万7000人以上、延べ人数で12万8000人を超えたと発表した。アニメエキスポは1992年からカリフォルニア州で開催されている。日本アニメ・マンガのイベントでは北米最大規模を誇る。

これまでの過去最高は2009年の4万4000人(実数)、2010年は実数では前年比を下回ったともされているが延べ人数10万5000人だけが明らかにされている。2011年は、この双方を大きく上回ったことになる。また、延べ人数では前年比で22%増と、来場者は2006年以来の高い伸びとなった。

今年のアニメエキスポが大きな伸びをみせたのは、業界を取巻くムードの変化もあるのかもしれない。近年は大手企業の撤退が相次ぎ業界全体が重いムードに包まれていたが、そうした動きも一段落しつつある。また、2011年は6000人を動員したボーカロイドのアイドル 初音ミクのコンサートなどボーカロイド関連の積極的な動きも影響したかもしれない。
 
また、ゲーム関連の存在感の拡大、ニコニコ動画やクランチロールなどの動画配信サイトのライブ中継の本格化など、新しい時代の流れを取り込みつつある。

一方で、ここ数年、米国で指摘される関連イベントの成長とアニメ・マンガのビジネス不振のミスマッッチ問題は解決されていない。アニメは2000年代半ば以降、マンガは2008年以降、北米での売上げが急減しているからだ。

2011年のアニメエキスポ成功は、依然北米には多くのファンと潜在的なマーケットがある可能性を感じさせる。アニメ・マンガの北米展開に、大きな課題を投げかけるものだ。


この記事の最後にも示されているように、アメリカでの「マンガ」販売売上の落ち込みは、フランスよりもかなり深刻だ。前年度比20%減だという。にもかかわらず、アニメとマンガのイベントは、アニメエキスポ以外でも盛況が報告されている。昨年10月のイベント「ニューヨーク・コミコン」は、5回目となったが、マンガやアニメの熱狂的なファンが全米各地から押し寄せた。来場者は3日間で9万6000人、これまでで最多を更新したという。

このギャップを私たちはどうとらえるべきなのか。これまで何回も紹介してきた櫻井孝昌氏の本でも、各国のマンガ・アニメ関連フェスティバルの熱狂的な様子が熱く語られており、日本のポップカルチャー人気はますます盛り上がっているのことが分かるのだが‥‥。

《櫻井孝昌氏の関連著作》
アニメ文化外交 (ちくま新書)
世界カワイイ革命 (PHP新書)
日本はアニメで再興する クルマと家電が外貨を稼ぐ時代は終わった (アスキー新書 146)

《関連記事》
『日本はアニメで再興する』(1)
『日本はアニメで再興する』(2)
アニメ文化外交 (ちくま新書):YouTubeでのJapan熱を裏付ける本(1)
「カワイイ」文化について

「クール・ジャパンに強敵」2010/07/25(日)朝日新聞朝刊より

2010年07月25日 | クールジャパンを考える
本日の朝日新聞朝刊の一面に掲載された「クール・ジャパンに強敵」という記事が、「2ちゃんねる」などでもかなり話題になっている。このブログのテーマのひとつが、マンガ・アニメが世界に広がる背景を日本文化との関連で考えることなので、その視点から、少しコメントしてみたい。

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欧州のMANGA(マンガ)ファンが集う会場の一角に、韓国でマンガを意味する「MANHWA(マンファ)」 の看板が掲げられた。今月1日から4日間、パリ郊外で開かれたジャパン・エキスポ。「かっこいい」という 意味で「クール・ジャパン」と呼ばれる日本のマンガやアニメの祭典だ。ここ数年は各国から15万人前後が押し寄せる。

「マンファ」の看板を掲げたのは、韓国政府所管のコンテンツ復興院のブース。開催11回目で初めて 出展した。会場を視察していた経済産業省の渡辺哲也クール・ジャパン室長は「韓国はとうとうここまで 来たのか」とショックを受けた。「ここもいずれマンファに席巻されるかもしれない」

韓国は1990年代から文化産業の育成に力を入れてきた。コンテンツ復興院はその1翼を担う機関。 政府の補助金約1800億ウォン(138億円)を中心に運営され、海外戦略づくりや人材育成などを行う。 「21世紀は文化産業がすべての産業をリードするようになる。それが韓国政府の認識だ」と李在雄院 長は語る。

中国も、07年の共産党大会で「文化軟実力(文化のソフトパワー)」を重要国策の一つに位置づける。 映画や出版などと並び、近年はアニメ産業育成に注力。関連企業を集めた「動漫(アニメ)産業基地」を大連、天津、長沙など約20ヶ所につくった。従業員1千人を超えるアニメ企業がいくつも育っている。

経済やスポーツの分野で次々と日本の優位を奪ってきた両国。文化の領域でも存在感を増している。 (朝日新聞朝刊 1面より)

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私の率直な感想は、基本的には脅威に感じる必要ないということだ。マンガやアニメも、小説などと同じように作家の才能に依存する面があるから、天才的な作家が現れて世界に受け入れられる可能性はどの国にもあるだろう。だから韓国や中国でも国の援助があれば、それだけ才能ある作家が出やすくなるという一面はある。

しかし、今世界で日本のマンガやアニメがこれだけ受け入れられているのは、それらが発信する日本の社会や大衆の文化や、若者の生き方が全体としてクールと感じられているから、という背景がある。

世界カワイイ革命 (PHP新書)』でも繰りかえし強調されているように、日本のマンガやアニメだけではなく、ファッションやカワイイ文化などの全体が、自由でクールな最先端の文化として憧れられている。マンガやアニメはその発信源のひとつとして受けとめられている。そういう背景を抜きにして、マンガ・アニメのこれだけの広がりは考えられない。

「日本人は、日本のアニメやマンガが、恋愛観をはじめ、ヨーロッパの若者の考え方に大きな変化を与えていることを知っているのですか」とイタリアのジャーナリストが聞いたという。同じような質問を著者は何度も受けている。これはどういうことか。アニメやマンガに描きこまれた私たち日本人の生き方の背景となっている考え方・文化や社会が、今、世界に強くアピールしているということではないのか。

もちろん韓国や中国から傑作が生まれてくることもあるだろう。しかし、そのことと、世界で日本のポップカルチャーが憧れをもって迎えられているこという事実との間には、背景となっている文化の違いという、無視できない大きな違いが横たわっているのだ。

中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす (NB online books)』の著者がいうように、民が作り、民が選び、民が育て、民が楽しむというが、サブカルチャーの本質だ。徹底的に民の力で培われるからこそ、サブカルチャーとしての魅力を発し、世界の人々の心をとらえる。(かつての浮世絵もそうであった。)中国のように国家が保護策をとり、国家主導で製作者を育てても、若者の自由な生き方や選択を背景とした、真に若者の心をとらえる永続的なサブカルチャーの発信など不可能だろう。単発的な傑作が生まれることはあったとしも。


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クールジャパンに何を学ぶか

2009年05月31日 | クールジャパンを考える
最近、比較的こまめに更新するようになったこともあって、このブログへのアクセス数も増えています。こちらでコンスタントに毎日350前後のアクセス。昨日は422のアクセスでした。同じ内容のミラー・ブログでも、毎日250前後のアクセスがあるます。このブログのテーマそのものに多くの人々が関心をもっているからだと思います。

私自身、日本のポップカルチャーを中心とした様々な日本文化に世界中の関心が集まっているのがうれしく、また意外でもあり、もっと情報を集めたいと思ってはじめました。一方で、最近、このような情報を集めて少しでも多くの方に知ってもらうことには、もう少し別の意味もあるなと思い始めました。

そう思うようになったのは、齋藤孝の『なぜ日本人は学ばなくなったのか (講談社現代新書 1943) 』を読んだこともひとつのきっかけでした。

1980年代以降、「勉強」がむしろ「生きる力」を阻害するものという愚かな誤解が横行した。実際は、生命力は、努力して学び、身につけた技によって養われる。どこかでこの時代の流れを変え、日本に「積極的な学ぶ構え」の大切さを復権したい――著者・齋藤孝は、そんな願いに20年突き動かされてきたといいます。その熱や危機感が充分に伝わる、読み応えのある本です。

日本人はなぜ学ばなくなったのか。それは「リスペクト」を失ったからだ。努力しなくなったのも、勉強しなくなったのも、社会が様々に崩れつつあるのも、根本は、知性教養や人格への敬意が失われたからではないか。彼は、大学の教授として学生に接しての様々な体験やいくつかのデータなどから、現在の若者の間に起っている変化を、深い洞察力とともにとらえています。

日本の良さが崩れつつある原因のひとつを彼は、多くの日本人が「自分たちがどのような自己形成をすべきかというモデルをすでに喪失している」ところに見ます。戦後の日本の社会では、日本の社会や文化がもっていた良さをすなおに肯定したり、はっきりと語ったりすることが、悪いことのように見なされてきました。おかげで、日本を讃えたり、日本人であることに誇りを持つといったアイデンティティがつくりにくくなっていたのです。

自分たちの社会や文化を否定的にしか教えない教育をずっと受けてきたのです。それもあって、自分を自己形成する「核」すらも見失ってしまった。しかし、自分たちの文化を否定的に見てきたのは日本人だけで、今、世界中の人々が日本文化の素晴らしさに気づき、憧れをもっている。

それを知ることは、自分たちの文化を否定的にしか見れなくなっていた色眼鏡を一度はずし、もういちど客観的に日本文化の良さを見直すことにつながる。自分たちが守るべき大切な「核」が何であるかを再発見することにつながる。――最近、私はそのためにも、何がクールジャパンなのか、色々な角度から調べていくことが大切だと思うようになりました。

日本発のアニメやマンガ、Jポップなどの何がクールと受けとめられているのか。そこに表現されている日本人の感性や世界観のどのようなところがクールだと評価されているのか。あるいは、日本を旅行したり、日本で生活したりした外国人たちが、日本の社会や文化のどのようなところに驚き、賞賛しているのか。それは、日本人が無自覚のうちにまだ維持している、日本の良さであり、私たちが守っていくべき大切な何かでしょう。

無自覚に維持していたもの(もしかしたら失われつつあるもの)をはっきりと自覚化し、それをもっと磨きあげる。それが日本の社会全体に必要とされているし、個人の自己形成のモデルや「核」としてもはっきりと自覚化して再構築していく必要があるのでしょう。

クールジャパンというテーマに、これほど関心がもたれる背後には、自分たちの社会や文化を否定的に見ることしか教えられてこなかった日本人が、自分たちの良さを再発見し、何を守り磨いていかなければならないのかを、必死で探し求める情熱が隠されているような気がします。

クールジャパンは幻想か04

2007年09月14日 | クールジャパンを考える
再び、「クールジャパンは幻想か」の考察に戻ろう。下に見たような新聞記事からしても、その現象をどう呼ぶかは別として、日本のポップカルチャーが広く受け入れつつあるとう事実は、否定できないだろう。

とくにフランスでの日本のポップカルチャーの受容が顕著なようだ。これは7月に開催された恒例のExpo Japan 2007 の盛況ひとつを見ても明らかだろう。

面白いのは、日本の江戸時代のポップカルチャーだった「浮世絵」を最初に評価し、ジャポニスムJaponismeが最初に広がったのも、フランスだったということだ。

ジャポニスムは、19世紀後半~20世紀初頭にヨーロッパでみられた日本美術への芸術的関心、すなわち日本趣味をさす。1856年に、パリの版画家ブラックモンが陶器の包装紙としてつかわれていた葛飾北斎の「北斎漫画」を発見し、そのデッサンの卓抜さを画家仲間におしえたことから、ジャポニスムは数年のうちにパリ中にひろまったという。マネ、モネ、ドガ、ゴッホらの印象派の画家たちも、浮世絵の奇抜な構図や、平面化された大胆で鮮明な色彩対比などに影響されて、日本趣味の絵画を数多くえがいたのである。

フランスの印象派の画家達は、日本の絵画に宗教のしばりがなく、自由に思うままに描かれていることに衝撃を受けたというが、現代、日本のアニメやマンガが受け入れられる根底ににも、同様の理由があるのかもしれない。

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皆様による、数分でできる投票が、あと380集まれば、このアニメが、アニメランキングのトップ10内に躍り出て、世界にその存在を知られるようになるのです。

ぜひ投票をお願いします。またブログ「はだしのゲン」を世界へ を紹介していただいたり、呼びかけ文 をブログやメールに貼り付けていただけると、なお目標が実現しやすくなります。詳しくは、呼びかけ文 や、 「はだしのゲン」への投票を!! をご覧ください。

クールジャパンは幻想か02

2007年09月04日 | クールジャパンを考える
インターネットの検索での数字を調べながら「クールジャパン」という現象が、決して幻想とは言えない、というところを明らかにしていくつもりだった。数字については、おいおい挙げることとし、ここでは、評論家・日下公人氏が『数年後に起きていること―日本の「反撃力」が世界を変える』(PHP、2006年)でマンガやアニメについて語っていることに触れながら考えていきたい。

日本のアニメ・マンガが急速に世界中に広がり、そこに込められている日本的な生き方・考え方(日本精神)が、国境を超えて広がりつつあると、氏はいう。ちょうと古代のギリシャ、ローマが、法律、思想、生活文化を輸出することで、国境の外に「ギリシャ、ローマ圏」を持っていたのと同じようなことを、今の日本のマンガ・アニメが行っているというのだ。

「クール・ジャパン」と言う言葉は、海外であまり使われてはいないが、マンガ・アニメなどから感じられる日本人の生活スタイル・思考法をクールと感じる大衆は世界中にいるのである。それは、youtubeなどでの日本に関する動画(アニメやJPOP)などに寄せられる世界中からのコメントを読んでいても感じることである。
「日本人はクールだ」「日本人に生まれればよかった」「日本人になりたい」「日本に行きたい」などの書き込みがかなり目につくのである。

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クールジャパンは幻想か01

2007年08月28日 | クールジャパンを考える
ある現象が、世界でどれだけ流行しているか、受け入れられているかを知るためのかんたんで誰にでもできる方法は、その現象に関係する言葉を、インターネットの検索エンジンで調べて見ることだろう。そのヒット件数の多さを比較するのだ。

最近私は、これに加えてWikipediaで調べて見るという方法も使っている。そのキーワードが何ヶ国語で事項として取り上げられているかを調べるのだ。

それでcool japanという言葉を検索エンジンで調べると、日本語サイトでは見受けられるが、英語サイトでは探すのが難しい。Wikipediaには、日本語・英語ともそういう項目は作られていない。

あるブログで、「クール・ジャパンというキーワードは、少なくとも欧米のメジャーなマスコミで使用されているのを過去2年で僕は見たことが無い」「マンガやアニメといった個々の文化ならともかく、クール・ジャパンという現象に実体があるのかないのか相変わらずよくわからない」などと論評されているのも、検索エンジンで調べる限り、真実を突いているのだろうか。

私には、どうもそうではないように思える。日本以外でcool Japan という言葉自体は使われていないが、そういう言葉を使って表現しても不自然でないような、日本のポップカルチャーの流行は、依然として続いていると言えそうだ。

それは、例えば、manga、anime などという言葉や、Nrutoなどの作品名を検索で調べて見れば、すぐわかることだ。

最近では、Youtube で検索するのも、一つの手だろう。次回は、その結果の一端を紹介してみたい。

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