今回は「機動警察パトレイバー2 the Movie」の感想の書き換え記録。
改訂前と改訂後です。
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「機動警察パトレイバー2 the Movie」【改訂前】
人気アニメシリーズ劇場版第2作。
今回は“戦争と平和”が大きなテーマになっているが、今作はまさに“押井イズム”炸裂の一本。
“正義の戦争”と“不正義の平和”の不明確な境界線。
“レイバー”そっちのけでのリアルな政治的なやりとりは、もはやロボットアニメではないですなw
主人公を後藤や南雲にしている時点で“ドラマ”をやりますと言っているようなものだけど、特に南雲の過去を描いたことで、この映画の奥行きを深いものにしてる。
後藤、南雲、柘植、荒川の人間ドラマですな。
演出では都内に自衛隊が展開する様が圧巻です。
日常と非日常が同居する違和感に囚われるけれど、それはこの映画の言う表裏一体の“戦争”と“平和”の具現化した世界なのかも。
違った意味で、アニメだから出来るリアリティ溢れる演出。
実写とは違うその世界の空気。
絵の力とは恐ろしいものです。
押井作品らしく台詞の多い演出。
でもそれが“説明”に聞こえないところが彼の作品の凄いところだと思う。
情報過多だけれど、決して冗長な演出でない。
台詞が多いのに「台詞に頼っている」と感じない不思議な映画です。
しかし後藤と南雲の関係、なんだかたまらないねえw
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「機動警察パトレイバー 劇場版」【改訂後】
OVAからTVシリーズや連載漫画にメディアミックス化されたロボットアニメの劇場版第2作。
横浜ベイブリッジ爆破事件が発生。
その後TVなどで自衛隊の戦闘機による爆撃として報道されるようになるが、そんな中、特車二課に陸幕調査部別室の荒川と名乗る男が現れる…。
もはやこれをロボットアニメといっていいのか?
押井守の思想を語るためにパトレイバーの世界観を使った、と表現するのが正しいか。
レイバーなんて冒頭と終盤の数分しか出てこないもんね。
というかそれがレイバーである必要ですらないんじゃないかという気もする。
じゃあレイバーが出てこないから面白くないかというと然にあらず。
確かにこれまでのOVAや劇場版1作目ともノリは違うけれど、これはこれで仮想的な戦争ドラマとしてはとてもすごく引き込まれる作品です。
“戦争と平和”という語りつくされたテーマの中で、現代の日本を舞台にした“正義の戦争”と“不正義の平和”の不明確な境界線を語るその内容にはとても考えさせられる。
見た目からして怪しい陸幕調査部の荒川。
彼の存在は監督の代弁者としての機能だろうが、彼の語る思想の真実性はとても高いと感じるし、そのことをさらけ出させるために仕組まれた事件の中心人物である柘植による“虚構”の戦争状態という演出が、作中を通じての重厚な緊張感を見事に持続させるね。
そこは状況のシミュレーションとして話に説得力がなくてはウソになってしまう部分だけど、その部分がとてもよく出来ている。
そしてそれにより日常の景色の中に治安出動した自衛隊を置くことで、表裏一体の“戦争”と“平和”というテーマを見事にビジュアル化してしまった。
これには実写とは違う、アニメだからこそ出来る地続きのリアリティという空気を感じる。
こういう場面での絵の力とは素晴らしいね。
登場人物のデザインはOVAや劇場版1作目よりもさらにリアルに寄せていて、人間ドラマとしての真実味を底支えしているか。
ただレイバーがほとんど出てこない事とも合わせて、キャラデザインの違いはシリーズファンからすると違和感がなくもないが…。
まあこの作品に限っては、テーマを語るための道具としての世界観だと考えるとその様な表現も理解はできる。
マクロ的には前述のとおり戦争と平和の大きなテーマがあるけれど、人間ドラマとして存在する後藤・南雲・柘植の三角関係がまた…たまらない。
後藤と南雲の関係はそれこそシリーズを通じて描かれてきたものだけど、信頼や敬意や好意がそれとなく感じられる中で“過去の男”として現れた柘植の存在がトゲとなる。
ハッキリとは言わなくても、これは完全にラブストーリーだよなあ。
シリーズから第二小隊という集団を極力排して後藤隊長という一人の男を主役にしたことで、話に奥行きがこれまでと違う方向に掘り下げられたところも面白い。
まあ第二小隊としての活躍をもっと見たかったというのも無いと言ったらウソになるけれど、この作品の完成度を観てしまうと…そんな気持ちは引っ込んでしまった。
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この映画は学生の時に観てとても衝撃を受けた作品です。
パトレイバーなのにレイバーが出てこない!という驚きと、こんな話をアニメでやるの?という驚きがないまぜになった感じ。
まあ押井守の趣味が出すぎているとも言えるけど、それが俺の感性にはとてもハマったんだよね。
それ以来何回も観た作品だし今回改訂するにあたっても改めて観なおしたけれど、今の日本のことを考えた時、20数年前に作られたこの映画が語る日本の“平和の状態”が今も何も変わっていないと感じるところがすごい。
すごいというか…恐ろしい。
感想を書いているホームページはこちら。
改訂前と改訂後です。
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「機動警察パトレイバー2 the Movie」【改訂前】
人気アニメシリーズ劇場版第2作。
今回は“戦争と平和”が大きなテーマになっているが、今作はまさに“押井イズム”炸裂の一本。
“正義の戦争”と“不正義の平和”の不明確な境界線。
“レイバー”そっちのけでのリアルな政治的なやりとりは、もはやロボットアニメではないですなw
主人公を後藤や南雲にしている時点で“ドラマ”をやりますと言っているようなものだけど、特に南雲の過去を描いたことで、この映画の奥行きを深いものにしてる。
後藤、南雲、柘植、荒川の人間ドラマですな。
演出では都内に自衛隊が展開する様が圧巻です。
日常と非日常が同居する違和感に囚われるけれど、それはこの映画の言う表裏一体の“戦争”と“平和”の具現化した世界なのかも。
違った意味で、アニメだから出来るリアリティ溢れる演出。
実写とは違うその世界の空気。
絵の力とは恐ろしいものです。
押井作品らしく台詞の多い演出。
でもそれが“説明”に聞こえないところが彼の作品の凄いところだと思う。
情報過多だけれど、決して冗長な演出でない。
台詞が多いのに「台詞に頼っている」と感じない不思議な映画です。
しかし後藤と南雲の関係、なんだかたまらないねえw
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「機動警察パトレイバー 劇場版」【改訂後】
OVAからTVシリーズや連載漫画にメディアミックス化されたロボットアニメの劇場版第2作。
横浜ベイブリッジ爆破事件が発生。
その後TVなどで自衛隊の戦闘機による爆撃として報道されるようになるが、そんな中、特車二課に陸幕調査部別室の荒川と名乗る男が現れる…。
もはやこれをロボットアニメといっていいのか?
押井守の思想を語るためにパトレイバーの世界観を使った、と表現するのが正しいか。
レイバーなんて冒頭と終盤の数分しか出てこないもんね。
というかそれがレイバーである必要ですらないんじゃないかという気もする。
じゃあレイバーが出てこないから面白くないかというと然にあらず。
確かにこれまでのOVAや劇場版1作目ともノリは違うけれど、これはこれで仮想的な戦争ドラマとしてはとてもすごく引き込まれる作品です。
“戦争と平和”という語りつくされたテーマの中で、現代の日本を舞台にした“正義の戦争”と“不正義の平和”の不明確な境界線を語るその内容にはとても考えさせられる。
見た目からして怪しい陸幕調査部の荒川。
彼の存在は監督の代弁者としての機能だろうが、彼の語る思想の真実性はとても高いと感じるし、そのことをさらけ出させるために仕組まれた事件の中心人物である柘植による“虚構”の戦争状態という演出が、作中を通じての重厚な緊張感を見事に持続させるね。
そこは状況のシミュレーションとして話に説得力がなくてはウソになってしまう部分だけど、その部分がとてもよく出来ている。
そしてそれにより日常の景色の中に治安出動した自衛隊を置くことで、表裏一体の“戦争”と“平和”というテーマを見事にビジュアル化してしまった。
これには実写とは違う、アニメだからこそ出来る地続きのリアリティという空気を感じる。
こういう場面での絵の力とは素晴らしいね。
登場人物のデザインはOVAや劇場版1作目よりもさらにリアルに寄せていて、人間ドラマとしての真実味を底支えしているか。
ただレイバーがほとんど出てこない事とも合わせて、キャラデザインの違いはシリーズファンからすると違和感がなくもないが…。
まあこの作品に限っては、テーマを語るための道具としての世界観だと考えるとその様な表現も理解はできる。
マクロ的には前述のとおり戦争と平和の大きなテーマがあるけれど、人間ドラマとして存在する後藤・南雲・柘植の三角関係がまた…たまらない。
後藤と南雲の関係はそれこそシリーズを通じて描かれてきたものだけど、信頼や敬意や好意がそれとなく感じられる中で“過去の男”として現れた柘植の存在がトゲとなる。
ハッキリとは言わなくても、これは完全にラブストーリーだよなあ。
シリーズから第二小隊という集団を極力排して後藤隊長という一人の男を主役にしたことで、話に奥行きがこれまでと違う方向に掘り下げられたところも面白い。
まあ第二小隊としての活躍をもっと見たかったというのも無いと言ったらウソになるけれど、この作品の完成度を観てしまうと…そんな気持ちは引っ込んでしまった。
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この映画は学生の時に観てとても衝撃を受けた作品です。
パトレイバーなのにレイバーが出てこない!という驚きと、こんな話をアニメでやるの?という驚きがないまぜになった感じ。
まあ押井守の趣味が出すぎているとも言えるけど、それが俺の感性にはとてもハマったんだよね。
それ以来何回も観た作品だし今回改訂するにあたっても改めて観なおしたけれど、今の日本のことを考えた時、20数年前に作られたこの映画が語る日本の“平和の状態”が今も何も変わっていないと感じるところがすごい。
すごいというか…恐ろしい。
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