第93回アカデミー賞授賞式が終わりました。
新型コロナウイルスの影響で式の形式もいろいろ変化していたけれど、これまでのドルビー・シアターと違ってユニオン駅のに設けられた会場の規模間の方が個人的には好み。
でもそれ以上にいろいろと思うところのある授賞式ではありました。
司会なしなのは去年と変わらないものの、式の進行はかなり淡々として、パロディ映像やコラボ映像もなしのストイックな印象だった。
トリビュート映像はかなり巻き気味で落ち着きがなく、出席者に寄っていく手持ちカメラはなぜか手振れが若干乗っていてステディカムを使ってないのかと疑うレベル。
中継映像の画像が全体的に甘い(SDをアップコンバートでもしているかのような)感じなのは別の送信系の技術的な話なんだろうけど、そういう部分も気になってしまった感じです。
逆に映画のオープニングチックな導入と、全編シネスコで撮っているところはこの授賞式自体を“映画”として表現しようという演出意図も見えて、それ自体は悪くないと思ったかな。
でもそれが故に、受賞者の発表順を入れ替えて最後に感動を呼び込もうとするような狙いすぎた演出が最後に裏目と出るわけですが。
さて、去年は6部門中3部門を的中させた主要6部門ですが、今年はどうだったでしょうか。
作品賞:「ノマドランド」(予想的中)
監督賞:クロエ・ジャオ(予想的中)
主演男優賞:リズ・アーメッド
→受賞者はアンソニー・ホプキンス
主演女優賞:フランシス・マクドーマンド(予想的中)
助演男優賞:サシャ・バロン・コーエン
→受賞者はダニエル・カルーヤ
助演女優賞:アマンダ・サイフリッド
→受賞者はユン・ヨジョン
6部門中3部門的中。
去年も同じ6部門中3部門的中だったけど、作品賞・監督賞・主演女優賞を外して主演男優賞・助演男優賞・助演女優賞を当てた
去年とは真逆の結果。
面白いもんですな。
実際「ノマドランド」は別格のオーラを漂わせていたので、当てた3部門の予想は鉄板だったしこの結果も驚きはなかったかなあ。
一方である意味で個人の希望的なところを上げた3部門ではすべて外したので、やっぱり難しさも感じるところ。
アンソニー・ホプキンスの主演男優賞受賞は「羊たちの沈黙」以来の2度目。
彼が主演する「ファーザー」はまだ日本公開されていないので観られていないけど、より楽しみになったね。
式の演出側からすると、その主演男優賞の発表が今回のハイライトになる予定だったんだろう。
例年なら式の最後に発表する作品賞を演技賞の前に発表し、主演男優賞を式の最後に発表するという流れにしたのはそういう意図しか感じない。
昨年亡くなったチャドウィック・ボーズマンが受賞すればそりゃ感動を生むだろうけど、結果的に演出側の目論見は外れ、会場に出席していないアンソニー・ホプキンスが受賞してスピーチもなしで終了という"演出としては"一番寒い結果で締めくくられてしまった。
まさに策士策に溺れるってやつだ。
アカデミー賞は「どの候補が受賞するかは、発表する瞬間まで集計した会計事務所しか知らない。」という事になっているので、今回の出来事は図らずもそのことを証明した結果にもなるのだけど、だとするならば演出側はやはり誰が受賞するか分からない前提で演出しなければならないわ。
今回の様な“特定の誰かが受賞しなければ演出が締まらない”という事態に陥ったことは、完全に失態以外の何ものでもないと思う。
新型コロナの影響で通常の式進行やショーアップが難しい中での演出を工夫したことは理解するけれど、完全に裏目でしかなかった。
これは汚点だよ。
とまあ式の演出自体に色々思うところはありました。
さて、主要6部門以外の予想は当たっていたのか、どうだったでしょうか。
脚本賞:「サウンド・オブ・メタル -聞こえるということ-」
→受賞作は「プロミシング・ヤング・ウーマン」
脚色賞:「ノマドランド」
→受賞作は「ファーザー」
長編アニメ映画賞:「ソウルフル・ワールド」(予想的中)
国際長編映画賞:予想なし
→受賞作は「アナザーラウンド」、この受賞時のスピーチは良かったな、心を打たれた。
長編ドキュメンタリー映画賞:予想なし
→受賞作は「オクトパスの神秘: 海の賢者は語る」、ちょっと面白そうだから観てみようと思う。
短編ドキュメンタリー映画賞:予想なし
→受賞作は「Colette」
短編映画賞:予想なし
→受賞作は「隔たる世界の2人」
短編アニメ映画賞:予想なし
→受賞作は「愛してるって言っておくね」
作曲賞:「ソウルフル・ワールド」(予想的中)
歌曲賞:「シカゴ7裁判」の「Hear My Voice」
→受賞作は「Judas and the Black Messiah」の「't'Fight for You」
音響賞:「サウンド・オブ・メタル -聞こえるということ-」(予想的中)
美術賞:「Mank/マンク」(予想的中)
撮影賞:「Mank/マンク」(予想的中)
メイクアップ&ヘアスタイリング賞:「Mank/マンク」
→受賞作は「マ・レイニーのブラックボトム」
衣装デザイン賞:「Mank/マンク」
→受賞作は「マ・レイニーのブラックボトム」
編集賞:「サウンド・オブ・メタル -聞こえるということ-」(予想的中)
視覚効果賞:「TENET テネット」(予想的中)
予想した18部門で的中したのは10部門。
的中率4割だった去年から考えたらだいぶ改善したかなw
しかしやっぱり候補作すべてを観ているわけではない以上、なかなかむつかしいものは感じるところではある。
以前に比べれば配信系で観ることができる機会が増えたのはありがたいけれど、やはりそれでもすべて観られるわけではないし…。
まあNETFLIXやAMZONのオリジナル系はおいおい見ていこうと思います。
映画館での鑑賞は、ちょっと世間の状況を見ながらになってしまうのは仕方がないかな。
さて、今年の大外れとなった演出を踏まえて、来年の授賞式はどんな形になるか。
興味がわきますね。