先日うだうだ書いた「ダークナイト」のエキスポIMAXで鑑賞した時の感想、というか印象。
つまり「これってIMAX 70mmフィルム版の画角と同じなの?」という俺の中のモヤモヤですが、解決しました。
先に結論を書くと、70mm版と同じ画角でした。
1.85:1版からの左右トリミングでは?という疑念はすべて私の勘違いから発生した言いがかりでした。
大変お恥ずかしい…。
ここに訂正してお詫び申し上げます。
ただ、冒頭のビルにカメラが寄っていくシーンで、画面の左端のガラスの反射に一瞬映るはずのヘリが見えなかったのは勘違いではありませんでした。
実際に左右はカットされていて、少なくともスクリーンには映っていませんでした。
要するに、「左右は若干カットされているけど、上下サイズは間違いない無く70mmフィルム版のフォーマットから起こされたフォーマット」ということです。
なぜ今回自分はそんな「デジタルIMAX(1.85:1版)からの左右トリミングでは?」と勘違いしたのか、ひとしきり考えてみました。
そもそもダークナイト上映フォーマットとして存在しているバージョンではそれぞれ画角が違います。
・縦横比 1:1.43 のIMAXレーザー/GTテクノロジー
・縦横比 1:1.81 のデジタルIMAX
・縦横比 1:2.35 のシネマコープ
「ダークナイト」の様にIMAXフィルムで撮影されたカットがある場合、それをそのままの大きさで上映しようとすると1:1.43 のスクリーンが必要になるわけですが、日本では今のところと大阪と東京の2スクリーンしか存在しません。
なのでその他の日本にあるIMAX上映館では、デジタルIMAXのスクリーンに上下をカットした1:1.81のバージョンで上映されることになります。
BDのセルパッケージに収録されている本編もそのバージョンですね。
今までに俺は散々ぱらBD版を観てきたのだけど、今回エキスポは1:1.43 のスクリーンなので、今回の「ダークナイト」上映はさぞ上下が広く感じられるのだろうと期待してました。
がそこまでそんな風には感じなかったわけですが、これは多分に自分の思い込みが原因になっていました。
まず自分は「ダークナイト」の冒頭部分でいつもついつい見てしまう場所があります。
オープニングでビルのガラス面にカメラが寄っていくIMAX撮影の映像。
実はこれにはうっかり撮影用のヘリが映っているのです。
↑左端の黒いのが撮影時のヘリコプター
これが映っていないということは、少なくとも赤線のあたりでカットしてるってことじゃないか!
と思い込んだわけですね。
そうなると人間には「先入観」が働いて、以降の場面ではすべて「左右カット」という風に見えてきます。
そしてここで大きな勘違いが発生。
「画面レイアウト的に上下に違和感がないのだから、これはデジタルIMAX(1:1.81)版を左右カットしたものじゃないの?」、
「それを縦に1:1.43 のスクリーンサイズに合わせて上映してるんじゃないの?」と。
しかしこれは私の間違いでした。
鑑賞時に上下比較できるようなポイントを押さえていなかったことや、ジョーカーの顔のアップが画面いっぱいに映るので、「これで上下カットしたら切れるやん!」と思い込んだことが原因ですが、後から考えれば、上下の配置に違和感がないのはそれが“余白”ではなくプロが計算したレイアウトなのだから当たり前ですね。
(実際に1:1.81版ではジョーカーの顔のアップで上下が少し切れてるし。)
先日書いた通り、上下カットについてはTwitterでも指摘いただいたわけですが、その時に教えてもらった70mmフィルム版の画角が特典収録されたBDを買って自分の目でも確かめました。
7年前に発売された5000セット限定品なので、新品はプレミア価格、中古でもそこそこの値段だったけれど、自分で言いだしたことなので確認しないわけにはいきません。
中古で買った「コンプリート・トリロジー アルティメット・コレクターズ・エディション」、これの6枚目がこのBOXにしか入っていない特典ディスクです。
これを見比べると、例えば通常のBDだと冒頭の銀行強盗のシーンで下の様に見えているバスの上部が
特典ディスクに収録されている70mmフィルム版だと下のように見えています。
映っていなかった窓が画面に入っているのが確認できますね。
で、エキスポで上映されたものがこの特典ディスクの70mm版の通りだったのかを、もう一度エキスポに観に行って確認してきました。
この通りだったのです。
嗚呼、本当になんという恥ずかしい言いがかりの様な思い込みをしてしまったのか。
「左右カットされているのだから、上下はデジタルIMAXと同じに違いない」は発想が飛躍しすぎ…。
しかし冒頭のヘリが映っていなかったのもまた間違いありません。
であれば左右がカットされているかデジタル処理されたのかのどちらかですが、今回の上映版は左右カットされたバージョンだという認識です。
終盤に差し掛かる病院爆破のシーン。
特典ディスク収録の70mmフィルム版では画面の左端にある三角の梁が、エキスポのスクリーンでは赤線から左側が映っていませんでした。
下に挙げた画面右端の窓も特典ディスクのものですが、エキスポの上映版では3枚すべてではなく一番右の窓の赤線から右側が映っていません。
正確にはスクリーンの外に行ってしまった、といった方が正確かもしれませんが、少なくとも左右は若干カットされています。
なので冒頭のヘリのシーンもデジタル処理でヘリを消したのではなく、そもそも画面買いにカットされたということになります。
まあ…こんな細かい話は、実際には映画の内容には全く影響しないので、どうでもいいことですけどね。
自分は2008年に劇場で3回観たし、2011年にデジタルIMAXでのリバイバル上映を観に行って、そして今回はエキスポの1:1.43版を2回観に行ったわけですが、それだけ観ても全く飽きることなく話に引き込まれ、ヒース・レジャーの存在感と演技に圧倒されています。
ただ自分としては冒頭の「ヘリが見えなかった」という一点がノイズになって、「このバージョンはどういったものなのか?」でモヤモヤし、ついには全く見当はずれな思い込みに至ったわけです。
それは精神状態としても作品に対する鑑賞姿勢についても良くない。
なので、それをハッキリしたかったし、色々調べて最終的にクリアにもなったので今回は良かったのだと思います。
「話に集中して観ろよ」という自己批判をしてしまう部分はあるけど、何度も観ているからこそ映っているものの違いが気になってしまったのかもしれないという面では皮肉な気もしています。
でもそれだけ好きな作品なのだということは間違いありませんし、それだけはハッキリと言っておきたいと思います。。