雲のむこうはいつも青空

まったりもったり~自閉症息子のいる暮らし@ちびくまママ

ぼけとつっこみ(その1)

2007年10月22日 | 「発達障碍」を見つめる眼
関西の人間、特に大阪人はみんな自然に「ぼけとつっこみ」を
体得しているとか言われるのですが、まあ、それが本当かどうかは
とりあえずおいておいて。

親の会の集まりとか、行政との交渉の席なんかではガンガン
しゃべりまくる私は、周りの人たちからはきっと「つっこみ」キャラだと
思われていると思うのですが

ちびくまとの生活においては、ずっと「ぼけ」役に徹しています。

それはちびくまの言葉の発達に遅れがあると気が付き、でもまだ
それが「障碍」と呼ばれるほどのものだとは思っていなかった
(「思いたくなかった」のかも)頃から、ちびくまがいろいろなことを
わかっているのか知りたくて、また、ちびくまのコミュニケーションを
引き出したくて始めたことがすっかり定着してしまった感じです。

ちびくまは、5歳くらいまで私や他の人の真似をすることや
一般的な親子遊びへの興味はほとんど持っていませんでしたが、
絵本を読んでもらうことはとても好きで、生後7ヶ月のころには
既に「この本を読んで」ということだけは身振りで示すことが
できました。1歳1ヶ月で歩けるようになるとまずしたことは
お気に入りの絵本を私のところへ持ってくることでしたし、
1歳半のときに1つだけ出てきて、すぐに消えてしまった
初めての言葉も「ゆんで(読んで)」でした。

1歳半検診でひっかかったときも、「新聞もってきて」
「わんわんどれ?」には全く反応しないのに、
「『3びきのこぶた』持ってきて」「『ぐるんぱのようちえん』
持ってきて」という指示には確実に従えたのです。

最初は私に絵本を渡してしまうと、すぐに「旅に出て」いた
息子でしたが、私が「聞いていないのかな」と思って読むのを
やめると、途端に戻ってきてページをパンパンと叩いて
続きを読むように要求してきました。

3歳くらいになると膝に座って一緒に絵本を楽しめるように
なってきましたが、「ぞうさん、なにしているのかなあ?」などと
絵本の文そのもの以外の話かけをするとすぐページを指差して
「そんなことここに書いてないだろう」と言わんばかりの
不服そうな顔をするのでした。

試しに「てにをは」や文尾などを少し変えて読んでみると、また
ページをバンバンと叩いて「ちがうやろ!」という意思表示。

アメリカの養護幼稚園に入ると、先生たちが
息子が確実に欲しがりそうなものを、わざと「見えているのだけど
大人の手を借りないと手に入らないところ」に置いては
息子の言葉や態度で「とって」の意思表示を引き出しているのを見て

それを家でも試してみると同時に、息子の意図はいつもどおりで
こちらにははっきりわかっていることも、とりあえず一度は
「おとぼけ」してみることに決めました。

文字と数字が読めて、街で見かける車のメーカーは
ほとんど知っていて大きな声で読み上げる息子でしたが
私に伝えようとしてくれることと言えば欲しいものや
して欲しいことの要求だけで、それ以外には
ほとんどコミュニケーションのネタがなかったからです。