雲のむこうはいつも青空

まったりもったり~自閉症息子のいる暮らし@ちびくまママ

初めての遅刻(その2)

2007年04月14日 | 楽しい学校生活
ちびくまは、朝起きてきてからこれまでどおりのんびりと
パンを食べていました。
ここで一応、「8時15分までには家を出ましょうね」と
声をかけると、「はい」と答えましたが、8時を過ぎても
着替えにかかる気配はありません。
小学校時代は、着替えにかかっていた時間はおよそ5分。
おそらくそれぐらいの時間があれば着替えられると
思っているようです。

予想通り、8時10分を過ぎた頃になって、息子はようやく
白靴下を履き、制服に着替えを始めました。
ところが。やはりカッターシャツのボタンがうまくいきません。
ゆっくりではありますが、前のボタンは一番上だけ残して
自分ではめ、袖口のボタンはしばらくすったもんだした挙句に
「おかあさん、これむずかしい。やって下さい」と
言ってきました。

ネクタイは簡易式で、頭からかぶって手前のリングを引くと
締められるようになっていますが、これにもまたすったもんだ。
ボディイメージの弱いちびくまにとって、目に見えない位置で
体を操作するのはとても難しいのです。
これも「おかあさん、ネクタイできない~。てつだって」と
言って来たところで手を貸しました。

ズボンはなんとか履いて、ベルトを締め、ブレザーを着て、
できあがり、のはずですが、カッターシャツの裾は
ズボンから出たまま、ブレザーの襟は立ったまま、です。
これを直してやって、やっと用意ができたときには、
時計はすでに8時25分を過ぎていました。

中学には8時30分までに登校することになっています。
これでは多分遅刻です。
でも私はにっこり笑って
「じゃあ、行ってらっしゃい。今8時27分だから、
 急いで行ったほうがいいよ」
とだけ言って息子を送り出しました。

出発した息子を上から見ていると、最初はのんびり歩いていましたが、
学校の前の道に出ても、もう誰も歩いていないのを見て
さすがに「やばい」と思ったのか、慌てて学校のほうへ駆け出しました。

「しめしめ」とほくそ笑みながら、洗濯物を干す準備をしていると、
障担K先生から電話がかかってきました。
「今日、遅刻して来たんですが、家を出るのが遅かったんでしょうか?」
「はい、すみません、制服を着るのに手間取って、遅くなりました」

そこで私はK先生に説明しました。
「着替えは自分1人でできる」と思っている息子のプライドを
傷つけずに、しかも「制服を着るのは私服を着るより難しい」と
いうことを納得させ、必要な援助を要求できるようにするには、
自分で一度着てみてもらうしかない。

しかも、着替えに必要な時間が長くなれば、小学校時代と
同じ調子で着替えていたのでは学校に間に合わない、と
いうことも、親や先生に言われて従うのではなく、
自分で考えて判断する機会を与えるには、
「自分で考えた時間で着替え始めたら遅くなってしまった」と
いう体験をさせるのが一番。

まして、緊張や焦りでガチガチになっている息子に、
朝から「早くしなさい」「間に合わないよ」と
しかりつけるような言い方をするのは全く逆効果。
だから、私は何食わぬ顔で、手も口も出さないでいたのです。

「ああ、そうですか。いや、今日から給食が始まるので、
 それがプレッシャーになって家を出られなかったんじゃないかと
 心配だったので。でも、さすがに本人、焦ったみたいですよ。
 職員室の前を前傾姿勢になって走ってましたから」

ちびくまの学校では、昇降口に行くには、職員室の前を
通らないと行けないのです。
それも、私が安心してちびくまを遅刻で送り出した理由の
ひとつなんですが(^^ゞ。

それにしても、
「これからは遅刻しないようにお母さんから言い聞かせるか
 支度を手伝ってやってください」
なんて言わない、センスある障担でホントに良かった。

はてさて、帰宅したちびくま、さすがに初めての
遅刻に懲りたようで
「きょうはあさ、おそくなっちゃった。あしたは
 おくれないようにいかないとね」
と宣言したのでした。