雲のむこうはいつも青空

まったりもったり~自閉症息子のいる暮らし@ちびくまママ

画鋲事件・つづき

2006年04月26日 | 時には泣きたいこともある。
障担はその夜、私と息子を心配してメールをくれました。

「それをやった子が何食わぬ顔をしているのかと思うと
 もう交流級へは行かせたくない気持ちです」
と私は返信しました。

もし、これが「靴に画鋲」の意味も、それがクラスメートの
仕業だろうこともわかる子だったら、明日またニコニコ笑って
学校に行けたりするでしょうか?
自分がやったことの結果を、その子に思い知って欲しい、という
気持ちもあったのです。

でも、翌朝、息子は何もなかったのようにニコニコ笑って
学校へいく準備を始めました。
ここで「学校を休みなさい」と言うことは、彼に
「クラスメートが自分に悪意を向けたこと」を
教えて彼を二重に傷つけることのような気がしました。
障担からも「どうか今日も登校させてください」と
メールが入っていました。
結局、ちびくまは何事もなかったような笑顔で登校しました。

その顔を見て、画鋲を入れた子は何か感じてくれたでしょうか。

その日の連絡帳には、模倣を防ぐため、全学年に
それぞれ一般的な指導をすることと、
その日、「なぜこのようなことが起きたのか」
「今後どのように指導していくか」の会議が行われることが
書いてありました。

その間、私はネット仲間に事の次第を打ち明けて、
彼女らと話し合いました。
私たちが以前から話し合っていたのは、「障碍のある子を
からかったりいじめたりするのは、その子自身が何か
大人にわかってもらいたい問題を抱えているから」と
いうことでした。

でも、いざ我が子がターゲットになったとき、すぐにそんなふうには
気持ちを切り替えられませんでした。

話を聞いた夫も、「そいつを捕まえてぶん殴ってやる」と
息巻いていましたが、私もそうできるならやりたいくらいの
気持ちだったのです。

それでも、息子は「靴に画鋲が入っていた」事実はわかっていても
その裏にある人の悪意を想像する力を持っていません。
私たちは、「周りの人を信じられること」こそが息子の生きる力に
なると信じて、何よりも息子が「ぼくの周りのひとはみんなぼくに
優しくしてくれる、守ってくれる」と感じていられるような
環境づくりに奔走してきました。
そのことを、こんな出来事で台無しにされたくない、と思いました。

世の中には悪意をもった人がいます。
今も「こわい人に連れて行かれてお家に帰れなくなるかもしれないから
知らない人にはついていかないこと」は教えています。
でも、学校の中でも同じように悪い人がいるのよ、とは教えたく
ないと思いました。いずれは教えなければならないかもしれないけど、
少なくとも今は。

それで、息子には「靴に画鋲が入っていたのは、誰かが
わざとやったものであること」は教えないことに決めました。