
愛機グラマンが飛行中のマグニート故障に見舞われた。機体は当然ながら駐機場所のサンタモニカ空港にあるが、マグニートは取り外されてオーバーホール中。今回オーバーホールをお願いしたのはトーランス空港にある某ショップで、マグニートの事ならその人に聞け!と皆が言う程の腕利き。というわけで、暫くはグラマンで空を飛べない。こういう時はパイパーセネカを出撃させるしかない。思い立ったらすぐ行動、さっそくトーランス空港に向った。
セネカを飛ばすのは1ヶ月ぶりくらいなので、じっくりとプリフライトチェックをした。まず最初にやることは、コクピットと後部座席の両方のドアの鍵を開けること、そして荷物室に置いてあるPilot's Operating Handbook / POHをコクピットに持ってくること。非常に不思議なのだが、パイパー社のサラトガやセネカなどの6人乗りの機体で、POHを荷物室に置いてある機体が多いこと。飛行中に絶対手が届かない所にあるのは、ソロフライトの時には危険だと思う。現に、一昨年、セネカで飛んでいる時にノーズのランディングギアライトが点灯しなくなり、上空にてPOHに沿ったトラブルシュートをしなければならなかった事がある。もしあの時、POHが荷物室にあれば、まったくPOHには手が届かなかっただろう。最悪の場合、オートパイロットに入れて後ろの席まで取りに行くという裏技があるが、危険極まりない選択肢だ。原則的にソロで飛ぶことがほとんどの自分にとって、POHが機内にある事を確認するだけじゃなく、いざとなれば操縦席から簡単に手が届くところにある事を確認するのが大事だと思っている。
プリフライトも終わり、コクピットに乗り込み、左エンジンから始動、そして右エンジンという順序。のんびりとタクシーし、ランナップを行い、Rwy29Rからストレートアウトとなった。パロスバーデスの丘の上には雲があり、それを避けるように飛ぶことにした。3000ft Scatteredの雲だったが、これがグラマンなら間違いなく下を潜らないといけなかったと思う。ただ、そこはセネカ、35inchのスロットル開度で100ktまでピッチアップ。気持ち良い上昇毒度で雲に向って上昇していき、十分なクリアランスを取って雲の上に抜けることができた。そのまま南側に進路を取り、Los Angeles International Class B Airspace 8000-10000の下を飛ぶ。途中高度が上がり過ぎたので、ノーズを下げて7500ftを維持。Class Bを抜けてから再度ピッチアップして上昇を開始した。10500ftまで上昇し、そこからはビッグベアー空港までDirectのコース取った。35inch,2500rpmの出力設定で巡航、オートパイロットも使用。この日はなんともMPが安定せず、右エンジンのMPがドンと3inchくらい低下したり、それを合わせているとミクスチャーが動いたり、なかなか安定しない。ワイヤー調整や吸気系の整備が必要かもしれない。
そのまま順調に巡航し、March Airspace、San Bernardinoの上空を飛んでいく。この日のビッグベアー空港はRwy8を使用していた。Straight in したいなとも思ったが、ビーチクラフトバロンが先行しており、left downwind entryで行儀良くしているのをCTAFで聞いてしまった。仕方ない、こちらもそうすることに。双発であることを活かして普段よりも南側のコース取りで山沿いを飛び、そして左旋回してRwy8のDownwindに入る。Rwy8のファイナルは自分のお気に入りで、滑走路の方位080に対して20度くらいオフセットして湖の上を飛ぶ。この景色が凄く奇麗。Rwy8の手前で右ターンしてHeading 080とし、フラップ10度のままラウンドアウトする。ちょっと高めだと思い、フレアを強めにかけたが効きが悪い。冬場とは言え、6700ftの標高を感じる空気の薄さだ。ここはハードランディングを避け、少しスロットルを入れて接地の柔らかさを調整した。双発と言えども所詮はレシプロ機のセネカなので、スロットルで高度を調整するのはファイナルまでで、ラウンドアウトから接地は操縦桿捌きだけで勝負したいところだ。
トーランス空港から離陸し、ビッグベアー空港Rwy8に着陸するまでの動画:
ビッグベアー空港に乗り入れて最初にやることは給油。下界の空港は1ガロン当たり5ドル台後半だが、ここビッグベアーは4ドル99セントだった。これは満タンにするしかない。ところが、マナーの悪いパイパーアローが1機居て、やたらと遅い給油をしている。どうやら訓練生らしいが、同乗していた3人で会話しながら手際が悪い。このマナーの悪いアローに続き、私とセネカが2番目、3番目はサラトガだった。奇しくも3機すべてがパイパーの機体。結局そのサラトガはシビレを切らして給油を諦めて離陸していってしまった。飛行機にクラクションがあれば、私もサラトガも鳴らしていた事だろう。クラクションが無い代わり、私もそのサラトガも、1200rpmくらいの回転数のままエンジンを止めずにプレッシャーをかけつづけたが。そのマナー違反のアローだが、あとで無線を聞いてみると、かなり訛りのある英語だった。欧州から来ている訓練生だと思う。こういうマナーの悪さは国柄なのかどうかしらないが、アメリカでの飛び方全般について、インストラクターからきちんと包括的な教育をしておいた方がいいのではないかと思う。
いつもあまりサングラスをされていないように見えるのですが
何か拘りがあるのですか?
僕はグライダーではサングラスした方が雲の輪郭など
良く見えるし、その気になればサーマルも見れるんじゃないか(笑)と思ってサングラスはしてました。
鋭い指摘ですが、頻繁に空に上がりますので、目を守る為にサングラスした方がいいとよく言われます。これだけの頻度で飛んでいると、顔と腕が日焼けするほどなので、目にもよくないなと思ってます。ただ、飛行機を原チャリ代わりに気軽に乗るというモットーのもと、思い立ったらFSSに電話しながら空港に向かい、プリフライトの後はサンダル姿で機体を飛ばすというスタイルなので、ついついサングラスなどの装備を忘れてしまいます。