LOS ANGELES FLIGHT DIARY

愛機ビーチクラフトボナンザで南カリフォルニアの空を駆ける日本人飛行機乗りの日記。

フライトログ:サンタアナウィンドの強風の中、AA1でフライト。

2009-10-12 | Flight Log (機長)

俗に言うSANTA ANA WINDと呼ばれる強い風が吹く日曜日の午後。飛ぶか飛ばぬか考えつつ、サンタモニカ空港に向かった。空港に到着すると、あまり飛んでいる機体がいない。Wind Sochも真横を向き、Gustyで風向も一定しない。かなりの強風なのがわかる。ATISを取るとWind 260 at 15kt gust 20ktとのことだが、実際にリアルタイムで着陸機に対してタワーが風の情報を読み上げており、風は20kt、Gustは25-30ktくらいある。ただ、真横のCrosswindじゃないし、ラダーを使い切らない限り大丈夫だろうと判断した。愛機Grumman AA1に乗り込みSouth East Run Upでエンジンチェック。隣にはJustice Aviationの訓練機、セスナ172が並んだ。こんな日に訓練に出るとは少し驚きだ。

すぐにRwy21から離陸許可が下りた。滑走を始めた途端に機体が不安定になる。離陸許可が下りる時にはWind 250@17ktとのことだったが、Gustは20kt以上だったと思う。ローテーション前にこれだけ機体が不安定になったことはAA1では初めてだ。もともと不安定な機体だが、横風成分が強いGustがあると、ローテーション手前の機体の挙動は極めて不安定。あっという間に機体は宙に浮いた。そして宙に浮いた後も、ガタガタ揺れながら高度を稼ぐことになった。目の前にはサンタモニカの海が見えて来た。ここで普段のサンタモニカビーチの様子とは違うことが分る。海面がかなりさざ波だっており、いつも見慣れた景色ではない。明らかに風が強いのだ。

順調に高度を上げ、3500ftでLAX Special Flight Ruleへ。ホーソン空港、ロングビーチ空港、トーランス食う食おのATISを取るが、どこもGustが強い。トーランス空港の上空3500ftを旋回、Tower周波数もモニターしたが、飛んでいる機体は極めて少ない。こんなAIRMET Tが出ている日には飛ぶ機体が少ないのだろう。ここでサンタモニカ空港のFinalを飛ぶLear JetからWind ShearのPILOT REPORTが出た。揺れも酷いし、どこにも下りずに帰還することにした。

トーランス空港の東で2500ftに旋回降下、そしてホーソン空港管制塔にコンタクトし、Mini Routeでサンタモニカ空港に向かうクリアランスをリクエスト。Squawk 0206、2500ftでHawthorne / Fwy405 Intersectionを目指す。その交差点に到着する遥か前にLAX Tower 119.8にハンドオフされた。この時に反対方向からCirrusがMini routeに入ってきたらしく、こちらは2000ftへと降下するように言われた。しばらくするとCirrusが500ft上、完全に真上を通過していった。お互い飛んでいるコースは全く同じということになる。この頃、LAX Tower 119.8は着陸する旅客機達に風情報を送っており、Gust33ー35ktという数字を読み上げていた。

LAX Towerからサンタモニカ空港へとハンドオフ。Left Traffic Rwy21となったが、さすがに飛んでいる機体がいない。すぐにCleared to Landとなった。ベースレグを曲がると、どんどん風で東に流れるのがわかる。ここでC172EPが離陸するようで、管制塔が許可を下ろしていた。勘弁してくれよ!!!という感じだった。かなりぎりぎりのタイミングとなり、管制塔からは”Finalで360 turnをするように”と言われた。できればこんな風のなか360したくないが仕方ない。東向きに旋回した時には、海からの西風に押されるようにエアスピードが5kt以上低下。やはりこういう風の日はエアスピードを高めに取っておいたほうがいいなと思いつつ、こんな低高度で360なんてさせるなよと怒りつつ、スロットルを入れてエアスピードを稼ぐ。360ターンを終えてFinalに機体を乗せる。左横45度から60度くらい、風速15-20kt、Gustは25-30ktはあるだろうか。クラビングで進入、ショートファイナルでノーズをまっすぐにし、ラウンドアウト。ここでスロットルは残し気味にし、完全にラウンドアウトしてからスロットルを抜いた。エアスピードは85ktくらいでラウンドアウトしたと思う。さすがに速度もあり、風もあり、なかなか機体が下りない。あと上がったり下がったりと、突風に遊ばれるように機体は不安定になる。とにかくノーズから行かなければいい!ので、ドン!と接地してもメインから下りるようにラダーと操縦桿で戦う。なんとかメインから接地、風を考慮すれば80点の着陸だった。

機体が完全に停止、ほっと一安心。管制塔からは”Thank you for your help”とのこと(360ターンの件)。ふざけんなよ!と言いたいところだったが、”Anytime for Santa Monica ATC!”という感じで愛想を振りまいてしまった。

機体を駐機係留し、その後はRwyを眺めていた。Justice Aviationのセスナ172RGが1機下りてきたが、おもいっきりバルーニングする大変な突風。ランディングギアを壊すのでは?と思うような強烈な接地をしていた。パイロットの腕というより、これはGustのせいだと思った。引き続き下りて来たBusiness Jetのチャレンジャーですらかなり不安定な動きをしていたし、クロスウィンドに対して地上滑走でも左エルロンを思いっきり切っていいた。

こういう日は用事でもないかぎり空に上がらないほうが賢明だ。横風成分など関係なく、Gust30ktという数字が出たらGrumman AA1では飛ばない方がいいようだ。




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2 コメント

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negative! (goodday-taka)
2009-10-13 04:14:10
横風着陸は難しいですよね。しかも、gustyだと・・・

ファイナルで、360 turnと指示があった時、unableと言えないんですか?(冗談じゃない!という意味で)

それとも黄色のsamuraiは十分スキルありと管制官は知っていた?!
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Unknown (C2)
2009-10-13 10:45:09
>goodday-takaさん
ほんと、冗談じゃないという感じでした。スペーシングの為に360ターンしろ!という指示より、短いスペーシングなのにC172に離陸許可を出した瞬間には、”おいおいふざけんなよ”と機内で叫びました。日本語で。

こちらがスキルあり!なんて思ってないかもしれませんが、これだけ頻繁に乗っていると最近では管制官とも仲良くさせてもらっているので、できるだけ協力しようという気持ちでいます。
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