LOS ANGELES FLIGHT DIARY

愛機ビーチクラフトボナンザで南カリフォルニアの空を駆ける日本人飛行機乗りの日記。

フライトログ:戦闘機が飛ぶというので、セネカを飛ばしてチノ空港まで出撃

2011-02-05 | Flight Log (機長)
この日はチノ空港ではT氏のジェット戦闘機 Folland Gnatが飛ぶことになっていた。この日はセネカで飛んで行く事にした。トーランス空港に向かい、セネカに給油。右席にはYOさんが同乗することに。エンジン始動、特に問題ない。この個体が癖があるのだが、流石にそれも覚えた。特に右エンジンが始動直後に機嫌が悪い。左右のエンジンで燃料ブーストポンプの使うタイミングを変えてあげればいいのだが、それを知らないでクロカンにでも行こうものなら、目的地でプラグをかぶらせて帰ってこれないことになる。のんびりとRwy29Rにタクシーしていく。座席位置や高さなど、あまり細かい事がきにならなくなった。どんな座席位置でもラダーが奥まで踏めれば絶対に下ろせると思えるようになったので、このセネカも大分飛ばし込んできたなと実感する。

ランナップを行い、Rwy29RからStraight outで離陸した。いつものように35インチの出力で離陸、素晴らしい力強さ、120ktでクルーズ上昇しているのに1500fpm以上の上昇を維持する。海岸線で左旋回する前にFrequency changeとなった。そして左旋回し、いつものようにパロスバーデスの南側の海岸線を飛びながら上昇せず、パロスバーデスの丘の北側を飛んでトーランス空港の上空に戻った。3500ftでレベルオフし、ここでSocal Approachを呼んだ。Flight followingでチノ空港を目指す。3500ft、IAS160ktくらいだが、GSは150kt台。結構な向かい風で、しかもかなり揺れる。Squawkをもらっているので、フラトン空港の北にあるClass B Airspaceにさえ入らなければ問題ない。オンタリオ空港とサンタアナ空港のClass C Airspaceは気にせずに飛行。サンタアナの丘を越え、チノ側へ飛ぶ。フラトン空港くらいからスロットルを戻し始め、この時点で30インチ程度のスロットル開度。さらにスロットルを絞り、Socal Approachからチノ管制塔へハンドオフされる頃には、綺麗にランディングギアが下りる速度まで減速。この日はSanta Ana Windが吹いていたので、チノ空港はRwy8を使っていた。東向き飛行なのにGround Speedが遅いのだから、ATISを撮らずともRwy8は予想できる。管制官はRwy8L、report established on finalと指示してきた。ランディングギアを下ろし、機体のドラッグを固定。スロットル調整で降下しながらファイナルに乗せた。その後はRt crabbingを維持。Windsockを見ると、完全に右真横のクロスウィンドだった。この機体でクロスウィンド、まったく気にならない。ソフトに接地できないとランディングギアが壊れて大変な事になるセネカだが、ソフトに接地できる自信があれば問題ない。セネカはラダーも効くし、Asymmetric thrustで風上から接地させると勝手にソフトランディングになる。こちらがFinalに乗ったとreportする前に、Rwy8L cleared to landと管制官。ノーフラップ、85ktくらいでアプローチし、そのままずっとフラップを使わずにRwy8Lに着陸となった。真横のクロスウィンドだったので5ktくらい足したが、着陸する瞬間は風が弱まり、着陸距離がすごく伸びてしまった。ほぼFull lengthを使ってブレーキを労り減速、タクシーアウトした。

グランドにコンタクトすると、Taxi via P, D cross Rwy21とのこと。どうせ指示するなら、Taxi via P cross rwy21,then Dと言って欲しいが、これが正しい言い方なのか? T氏ハンガーに到着すると、目の前にはGnatが駐機してあった。既にOさん達はT氏のハンガーに来ていた。一発で誰の機体か分るVelocityが駐機してあるので、Oさんの姿がなくてもOさんが来ていると分る。機体を停め、エンジン停止した。

さっそく皆の所に近寄っていく。そこで分ったのだが、なんと電動トリムのリレーが故障して、この日は飛ばないらしい。エンジンは始動するし、エンジンが回っている限り油圧で操舵可能なのだが、万が一エンジンが停止した場合は電動のトリムがないと操舵が重すぎて操縦できなくなるらしい。そんな状態で飛ぶわけにはいかない。Gnatを眺めながら、T氏としばし話しをした。ただ、Gnatが飛ばないのに長居してもしかたなく、帰途につくことにした。

Taxi R,D, A, Rwy8とチノ空港グランドコントロール。OさんのVelocityも続いてタクシーしてきた。ランナップの後、Rwy8Lにhold short, Right downwind departureをリクエストした。するとCross Rwy8L hold short Rwy8Rとチノ空港管制塔。この時、Rwy8Lのファイナルに1機侵入してくる機体があったのは知っていたが、実はその機体も戦闘機!!(おそらくL-39)だった。Rwy8Rからの離陸許可が降り、センターラインに乗せてからエンジンチェックしてブレーキリリースしようとしていると、その戦闘機がRwy8Lに下りて来た。このアメリカという国は、超が千個くらいならぶ航空大国だと思う。この地球上でこれだけ豊富な機種が自家用運行している場所などここだけだ。当たり前のように自家用の古い戦闘機達が飛び交う。本当に飛行機に寛大で、お金があるなど思う。そんな事を思いながら、こちらも離陸し、オンタリオ空港のClass C Airspaceに入らないように2500ftでレベルオフした。OさんのVelocityはLeft Downwindで離陸していった。戦闘機を飛ばす贅沢とは桁が違うが、こうして自分も下駄代わりにマルチエンジンで気軽なローカルフライトを楽しんでいるし、もう1機はExperimentalのCanard、Velocityというのだから、我々もこの航空大国の文化を十分楽しんでいるなと思う。

マルチエンジンの芸当だが、サンタアナの山岳部の上を法的に最小限のクリアランスで西に向って飛ぶ。エンジンが2個回っているのは本当に安心だ。そしてオンタリオ空港のClass C Airspaceを抜けると、4500ftまで上昇した。帰りは2400rpm スロットル30インチの低出力設定。サンタアナウィンドの追い風を利用し、燃費節約フライトをした。ロングビーチの上空を通過する頃、目の前5マイルくらい先を横切る比較的大型のジェット旅客機。もしかしたらトーランス空港に大きなビジネスジェットがおりるのかなと思っていたが、それにしても大きい。もっと近づくと、なんとロングビーチ空港に降りるジェットブルーのエアバスだった。この日はロングビーチ空港もRwy12を使用しており、普段は見れないパターンを回る旅客機をみることができた。ただ、この忙しい空域をエアバスが飛び抜けていくのは危険だなと思う。機内のTCASも鳴りっぱなしだと思う。すぐにトーランス管制塔にコンタクト、Rwy29R straight inとなった。こちらの斜め前には双発のCessna310と思われる機体がRwy29Lに向っておりていく。これ降りれるのか?という高さだった。しかもこちらよりも10ktくらい速い。ただ、最終的には綺麗に3000ftのRwy29Lに下ろしていた。こちらはRwy29Rに着陸、なかなかの出来だったが、Rwy29Lに下ろしたパイロットの方が上手だ。

短時間のフライト、そして短時間のチノ空港訪問。ただ、航空大国アメリカを象徴するようなひと時だった。




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