LOS ANGELES FLIGHT DIARY

愛機ビーチクラフトボナンザで南カリフォルニアの空を駆ける日本人飛行機乗りの日記。

フライトログ:ビッグベアーレイクまで飛行機で家族旅行 第一話

2010-09-16 | Flight Log (機長)
この日はセネカIIを駆ってBig Bear Lakeに1泊旅行に行く事にしていた。母親が渡米中という事もあり、是非とも気ままな自家用機旅行というものを体験させてあげたかった。空港でのセキュリティーチェックも無し、荷物のスキャニングも無し、長いチェックインの列に並ぶことも無し、機内乗り込みを待つ列に並ぶ必要もなし。何より、決まった出発時刻も無く、気が向いた時に飛べるのが自家用機旅行の良いところ。

とりあえず家族でトーランス空港に向う。さっそくセネカIIの横に車を付け、トランク2個と大小のバッグを貨物室と後部座席に詰め込む。それからプリフライトチェックを行い、エンジンオイルを足し、皆で機体に乗り込んだ。ところが、左エンジンが始動しない。厳密に言えば、スターターが回らない。さっそく右エンジンを始動するが、これは問題ない。起電力が無いのか?と思いながら、一応POHに沿ってトラブルシューティングを行う。始動した方のエンジン(今回は右エンジン)を2000rpmにしてバッテリーを充電し、それからもう一方の始動を試みろというのがPOHに記載されている。さっそく書かれている通りにしたが、左エンジンのスターターが回らない。これは困った。すでにBig Bear Lakeの湖畔にあるコテージは予約してあるし、車で行くには時間がかかる。さっそく困った時に頼りになるR氏に電話したが、どうやらセスナ172を飛ばして訓練中飛行中のようだ。これはもう車で時間かけて行くしかないかなと思っていた所で、プリウスに乗ってR氏が搭乗。

さっそくトラブルシュートするR氏。そして、これはスターターモーターの故障かもしれないとのこと。それから、ダッチェスで飛んで行っていいよと、嬉しい申し入れ。さっそく好意に甘え、全ての荷物をビーチクラフトダッチェス / BE76に移した。最近飛んでいるのはセネカばかりなので、このダッチェスを飛ばすのは1年ぶりくらいになる。ただ、この機体では相当なソロ時間もあり、何より自分がMulti-engineの訓練をした機体。あまりブランクを感じない。

さっそくダッチェスのエンジン始動。エンジンの始動などは素直で、流石に訓練機だけある。この日のトーランス空港はRwy11Lを使っていた。ランナップの後、Rwy11Lから離陸。スロットル25インチ、プロペラ2500rpmで上昇。流石にセネカII / Vなどの機体に慣れているせいか、ダッチェスだと速度が遅いし上昇力もない。もちろん、普段飛ばしているグラマンAA1とは異次元の機体ではあるが。

マルチエンジンの利点を活かし、ロングビーチよりも海側に出て、そこからロサンゼルス国際空港のClass B Airspaceのfloor 7000ftの下を抜けることに。そしてClass B Airspaceを抜けた瞬間に上昇開始、9500ftを目指す。100ktくらいのノロノロ上昇だった。これがセネカなら、120ktを維持しながら1500fpm以上で上昇、数分で1万フィート越えの世界だ。一度パフォーマンスの高い機体に甘やかされると、こういう時に辛く感じる。

マルチエンジンと言えども自然吸気エンジンだけあり、このダッチェスではチノ空港の真横くらいに来てやっと9500ftに到達。ここからレベルオフ、2500rpm、フルスロットル20インチの設定。これでIAS 130kt, GS 155kt前後だった。セネカならハーフスロットル35インチで190ktから200ktの世界、残念だ。ただ、操縦している自分には残念なだけで、景色を楽しむ乗客にはその差を感じる事はない。薄い雲が点々とする地上の景色を楽しんでいるようだった。

Big Bearまで15マイルくらいの地点から降下を開始した。高度と速度のマネージメントは比較的容易なダッチェス。ある意味、本当に乗りやすい機体だ。Big Bearの南側の山を越える時には気流が不安定な所があるので、できるだけ降下を遅めにしたい。特に飛行機に不慣れな人を乗せている時にはそうしている。この日のBig BearはLabor Dayの連休中ということで混雑していた。Rwy26から何機か飛び出てきている。こちらは規定通りに湖の南からアプローチ、湖横に来てから8000ftでレベルオフ。Rwy26から離陸してDownwind departureをするCherokeeが1機いたが、流石に高度を稼げていない。心配するほど低高度を飛んでいる。Downwind legでAGL 500ftくらいしかなかった。そのCherokeeに続いて、こちらもDownwind entryした。自分の事よりもそのCherokeeが気になったが、無理にピッチアップしないで徐々に高度を上げているようで、High density altitude operationに慣れているパイロットなのだということが伝わってきた。ただ、明らかに機体パフォーマンス不足、もしくは機体パフォーマンスに比べて積載量が多すぎると思った。

こちらはそのままフルフラップでベース、ファイナルと曲がり、90ktくらいでアプローチ、ショートファイナルで85ktくらい。80ktでラウントアウト、高地なので少しスロットルを残し、長めのフレアで接地となった。完璧な着陸じゃないが、悪くはない。それにしても、このダッチェスは飛ばしやすい機体だ。

無事にTransient parkingに駐機、Hobbsでエンジン始動から1時間のフライト、離陸からは0.7時間程の短いフライトだった。タクシーでロッジまで向かい、初日の夜はゆっくりと食事、そして湖畔を散歩して過ごした。何より、天の川が綺麗に見えたのには感動した。

飛行機の機動力というのは素晴らしいと思う。





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