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LOS ANGELES FLIGHT DIARY

愛機ビーチクラフトボナンザで南カリフォルニアの空を駆ける日本人飛行機乗りの日記。

飛行機免許を取得するにはスクール選びから

2006-12-06 | 航空関連エッセイ

こうやって趣味としての飛行機遊びのブログを公開していると、時々ですが飛行機免許取得方法などについてメールで質問を受けます。インターネットでの情報収集が容易になった今の時代、むしろ情報が氾濫していてホームページ等で公開している内容の全てを鵜呑みにすべきかどうか悩んでしまう人も多いようです。

飛行機訓練費用が比較的安いと言われるアメリカでも、免許取得するまでには小型自動車が購入できるくらいの費用がかかります。つまり、高価な買い物であるという認識を持つ事が大事だと思います。高額商品を購入するのと同じで、じっくり検討し、そして他社と比較し、納得してから行動に移すべきです。私もどこのスクールに行くかで悩みましたが、最終的に自分に一番合ったサービスを提供してくれるスクールを選べたと思っています。自分が検討した項目は以下の通り。

1)まずは体験飛行

2)訓練費用の見積もり
a.同乗飛行訓練時間は何時間?、単独飛行時間は何時間?で計算しているか。
b.座学は何時間?で計算しているか。
c.機体は何を使用し(C152/C172/PA28など)、1時間当たりの費用は幾らか?
d.支払い方法(すごく大事)

3)訓練機体の種類と数
a.自分が訓練したい種類の機体は何機あるか?
b.その機体の登録番号

4)そのスクールの合格実績
a.最近のプライベートパイロットの合格率など
b.合格までの平均訓練飛行時間

5)そのスクールの教官(CFI)の数
a.日本人教官の数、または外国人教官の数

6)免許取得した後の機体レンタル
a.どんな飛行機がレンタル可能か?
b.何機がレンタル可能か?
c.それらの機体の登録番号は?
d.クロスカントリー飛行などで1日機体をレンタルすることは可能か?

これらのことを全て検討し、体験飛行を複数回行い、一つのスクールに絞り込みました。

通常、フライトスクールはFBO(Fixed Based Operation)と呼ばれる空港併設の施設に入ってることがほとんどで、機体レンタルやパイロットグッズの販売などのサービスも提供しています。アメリカ在住の方ならば、体験飛行の予約もかねて一度FBOを訪ねてみるのもいいかもしれません。そのスクールの雰囲気がよく分かります。もし日本から分割渡米で通いながら飛行機免許取得を目指すなら、ビザや宿のサポートや相談を受けられるかという項目も考慮すべきでしょう。それらのサービスが必要な場合、当然のことながら多少費用は高くなるかもしれませんが、日系のスクールに選択肢がしぼられると思います。

それぞれのスクールのホームページでも、上記の項目をチェックすることができます。特に訓練機/レンタル機についての情報は重要だと思いますので、必ず調べるべきでしょう。ほぼ全てのスクールが訓練機/レンタル機の機種と登録番号(Nから始まる5桁の数字、もしくはアルファベットとの組み合わせ)を掲載しています。反対にそのあたりの情報が不明瞭なホームページは信頼に値しないと考えたほうがいいでしょう。

訓練機の数と生徒の数のバランスは重要です。私はセスナ172で訓練をしましたが、自分が普段乗っている機体が整備に入っても、他のセスナ172で訓練継続が可能でした。そのスクールに1機しかない種類の機体で訓練すると、その機体が整備の間は訓練が進まず、そして他のパイロットや生徒さんがその機体をレンタルされても訓練が進みません。

訓練機体の1時間あたりの費用は訓練費全体に大きな影響を与えます。セスナ152という二人乗りの機体は比較的安価で訓練ができる為に日本人に人気がありますが、大柄な人には窮屈かもしれません。かと言って4人乗りのセスナ172で訓練をすることになれば、時間辺りの費用が30−40ドル高くなり、60時間程度の訓練を想定すると、2000ドル以上の価格差が出てきます。コストパフォーマンスにこだわるか、機体の大きさや自分の好みにこだわるか、熟考する必要があります。

教官の数も重要だと思います。人間同士ですから、機内という狭い空間で肩を並べると、性格が合う合わないもあります。いざとなった時には他の教官と飛べる環境というのも重要だと思います。また、性格的に気の合う教官が見つかっても、時に一緒に飛んだ事のない教官と緊張しながら飛ぶ事で、ふとスランプから脱出できたり新しいことを学べたりすることもあります。

私見ではありますが、訓練費用の事前一括納入というシステムはトラルブのもとになるので、絶対に避けるべきでしょう。パイロットになれるもなれないも本人の頑張り次第という面が大きいと思います。たとえ自家用でも、様々な理由で訓練を中止する人がいます。スクール側もその可能性を承知しているはずで、それなのにトラブルのもとになる訓練費一括納入を迫るようなスクールがあれば論外です。絶対に避けましょう。ちなみに、”ブロック制の支払い”といわれる方式で、事前に1000ドル程度の単位で自分のアカウントに前払いすると、機体レンタルなどの費用にブロックレートが適応されて安くなることがあります。現地のスクールや機体レンタルサービスを提供するFBOでよく見られる方式で、これは訓練費用一括納入という方式とは異なりますので、それだけで信頼に値しないスクールということにはなりません。

日本人にとって悩ましいのがTSAの登録です。911テロ以降、アメリカが過剰に反応して作った制度で、米国内で飛行機の訓練を受ける外国人に対して背景調査と指紋採取を強制するものです。手続きが全て英語で面倒な為、それを理由に米国での飛行機訓練を避ける人も少なからずいるようです。確かに煩雑で不親切な手続きですので嫌になりますが、スクールの人に助けてもらえば何とかなると思います。

いかがわしいフライトスクールの特徴ですが、やたら派手な飛行機がHPに沢山載っていること。ビジネスジェットとか、タービンへりとか、およそ訓練とは関わりなく、そのスクールが保有しているはずもなく、運行実績すらないような他人の機体を載せて、何を訴えているのか意味不明です。飛行機のことを知っている人なら、そんなHPを見て一瞬で胡散臭ささを感じるはず。ということは、自ずから飛行機の事を知らない人を対象にしたHPであることを示しているわけです。FBOやスクールとは、自家用免許取得後も長い付き合いになります。胡散臭いスクールやFBOは避けて通った方がいいでしょう。

もし飛行機免許取得を考慮しているなら、とにかく体験者に意見を聞いてみる。それが大事です。私の個人的なお勧めは、日本人の訓練生もアメリカ人の訓練生もいるような現地に根ざしたフライトスクールです。現実的に、日本人だけと飛んでいて、アメリカのジェネアビの世界を見ることは不可能です。せっかく飛行機が生まれた国、アメリカで操縦訓練をするわけですから、ジェネアビの世界にどっぷり浸かってみるのもいいかもしれません。


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
スクール (miki)
2013-09-06 13:33:56
いつも楽しく読ませていただいています。サンタモニカでトレーニングを受けられたようなのですが、そのスクールは今も存在していますでしょうか? 興味があり、一度お話をお伺いしたいと思いました。
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Unknown (C2)
2013-09-17 02:03:33
>mikiさん
コメントありがとうございます。私は自家用単発免許の訓練はトーランス空港で受けました。そのスクールは残念ながらすでに存在しません。

アメリカのGeneral Aviationの世界を深く知りたいのであれば、やはりアメリカ人の出入りの多い現地校がお勧めです。飛行機のパートナーシップ、メンテナンス、オーナーシップなど、免許を取った次のステップに進むには、アメリカで飛行機を所有し飛ばしているアメリカ人達と友達になるのが一番の早道です。

日本から通いで免許を取るのであれば、やはり日系スクールの方が融通を効かせてくれるので良いでしょう。ロサンゼルスには私が個人的に信頼できてお勧めできるスクールもいくつかあります。

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