LOS ANGELES FLIGHT DIARY

愛機ビーチクラフトボナンザで南カリフォルニアの空を駆ける日本人飛行機乗りの日記。

速いExperimental Aircraftとして知られるLancairを初体験することに、

2008-08-24 | Flight Log (体験飛行)
Lancair(ランスエアー)と言えばExperimental Aircraftの中では有名な機体。速いということでは定評があり、現在Cessna350/400(以前のColumbia350/400)として販売されている機体は、もともとLancair ESというモデル名でキットプレーン(自作機)として販売されていた。完成版のLancair ESが欲しい!という機体作製する時間は無いがお金はあるという人達が多く、その要望に答えてColumbia350/400という超高速シングルエンジンピストン機が生まれた経緯がある。

現在キットプレーンとして販売されているLancairはLegacy FG、Legacy、ES、ES-P、IV、IV-P、Evolutionという7モデル。どれも激速で知られる機体ばかり。その中でもLegacyという2人乗りで強力な6気筒550エンジンを載せた機体は人気があり、Reno Air Raceに出場するLegacy達は時速280-350マイル(時速450-560キロ)で飛ぶ。Legacyには憧れがあり一度は乗ってみたいなと思っていたが、そこら中にある機体ではないので、なかなか機体にアクセスがなかった。

そんな中、Lancair Lagacyのご先祖様にあたる、Lancair 235という機体に乗る機会を得た。そのLancair 235のオーナーとは空港で顔見知りだったが、彼(M氏)の車が空港内でバッテリーがあがり動けなくなっていたのを私が助けたことがきっかけとなり、是非ともLancairに乗ってくれ!という運びとなった。

この機体は80年代に販売されたもので、M氏が作製そして維持し続けている。Lancair 235とは名ばかりで、現在はIO-320のエンジンが載っている。何よりオーナーのM氏自身が翼を含めた機体を相当改造しており、4気筒エンジンながら200kt(時速370キロ)での飛行が可能。ただし飛行特性はLegacyなどの最近のLancairより癖が多く、かなりやっかいな代物らしい。

さっそく機体に乗り込むことになったが、乗り込むにも一苦労するほどタイトなコクピット。まるで寝そべるような感じで座り、ラダーを踏む足は自分の腰の位置よりも高いくらいだ。平べったいキャノピーは前方視界を阻み、タクシーですら難しくしている。この日はTaxiもさせてもらったが、あやうくTaxi wayを逸脱しそうになり、急停止を余儀なくされたほどだった。Differencial Brakeを使って方向制御をするが、Brakeが恐ろしく敏感で慣れるのに大変だ。

ランナップを終え、Torrance Airport Rwy29Rから離陸となった。最大出力で離陸滑走を開始すると、強烈な加速!というほどではないが、4気筒シングルエンジンの機体とは思えない加速をするのは確か。そして70ktくらいでローテーションとなり、すぐにギアアップして80ktくらいで上昇していく。素晴らしい上昇力と、強烈に切れのある操作感。非常に敏感な操縦桿で、1センチ以上の単位で操縦桿を動かすと、ピッチもバンクも危険なほどに変化してしまう。大袈裟な表現ではなく、親指と人差し指で操縦桿を握り、指先の感覚で操縦するような感じだ。

Long Beach Practice Areaまで飛び、3000ftでレベルオフ、パワーは比較的しぼり気味で時間8ガロンの燃料消費の設定。それでも160ktくらいで巡航していた。恐ろしい機体だ。そのままカタリナ島の方に飛び、途中海上で50度くらいのSteep Turnなどを行い、そしてPower Off Stallをやらせてもらった。Stallの特性はマイルドだが、リカバリーを誤ると当然スピンに入ってしまう。30分も飛ぶと少しは機体に慣れてきて、Torrance Airportに帰る頃にはフラフラせずに機体を飛ばせるようになってきた。アプローチと着陸はオーナーのM氏に交代となり、私は操縦桿に手をかけているだけ。降下を開始すると速度がみるみる上昇してしまうので、早めにランディングギアを出さないと空港に向って降下できない。空港まで6マイルくらいの地点でギアを出したが、左右のメインギアが出てくるのが完全に同時なわけではなく、その1秒程度のズレにより、ヒヤっとするほどロールが変化する。つねに操縦桿を握っていないといけない機体だ。ショートファイナルからは非常に浅い角度での進入となり、短めのラウンドアウトでタッチダウンとなった。

ハンガーに戻ってからオーナーのM氏としばらく立ち話をしたが、この機体を含むLancairの初期のモデルはとにかく操縦特性に癖があるらしい。現在販売されているLegacyはもう少し操縦しやすいそうだ。同じExperimental機としてはRocket IIなどの機体を操縦させてもらったが、このLancair235のじゃじゃ馬ぶりは群を抜いている。今日は本当に良い体験をさせてもらった。





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2 コメント

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Unknown (くらげ)
2008-08-25 21:24:19
無線でランセアというコールサインだけは聴いたことがありますが、この飛行機だったのですね。

セスナ152等はタキシング中に意識してつま先でペダルを踏まない限りブレーキは作動しなかったと思います。ランスエアはシビアですね。
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Unknown (C2)
2008-08-26 12:06:36
Lancairには何種類かありますが、ほどんどがLegacyかLegacy FGだと思います。正に無線で聞いたLancairはこの形の飛行機だった可能性が高いです。Student Pilotだった時代、Torranceから離陸している赤いLancair Legacyを見て、あまりの速さに感動したのを覚えてます。
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