
トーランス空港は世界一のヘリコプター生産数を誇るろロビンソンヘリコプターの本社がある。そんな関係から、最新モデルのロビソンR66が飛んでいる姿をよく見る。R66の1号機の白い機体(N466R)のテスト飛行をしていた時も、何回か見かけた程だ。ある意味ロビンソンらしくシンプルで簡潔だなと思ったのが、タービンエンジンを搭載した最新型のR66のデザインが、ピストンエンジンのR44にそっくりなものを採用したこと。あえてジェットヘリという部分を前面に出して差別化を測らなかったのが渋い判断だと思う。エンジン音を聞いてしまえば全然違うのは当然で、R66はタービンエンジンの甲高い音、R44はライカミング6気筒ピストンエンジンの図太い音を出して飛ぶ。しかし、パッと見た感じはR44とR66の見分けがつき難いと言われている。
先日の事になるが、私がトーランス空港に着陸して給油中、JJヘリコプターのインストラクターHさんが通りかかり、立ち話しになった。その最中、まっ黒に塗装されたロビンソンの機体が離陸していった。Hさんも私も即座に反応し、
”あれ、R66ですね”
とすぐに見破ることができた。そこでHさんに質問されたのが、どうやって見分けたかということ。ロビンソンの機体はR22/R44ともに何千時間も飛ばしているHさんは、エンジン音ですぐに分ったとのことだ。ただ、私は外観で見分けをつけたと話した。すると、どうやって?という質問を受けたので、私なりの見分けるポイントを説明した。
R66はフロントからサイドのアクリルパネルの窓の下縁が全て一直線上に整列しているのに対し、R44は少し段差がある。これが前から見た時にR66にシャープな印象を与え、R44にはデザイン上やわらかな印象を与える(上の写真参照)。これが私が両機を見分けるポイントだ。もちろん、それ以外にもスリットの位置や、後ろから見た時の排気口の位置とサイズが両機では全然違うので、近くでみれば一瞬で差が分る。あまりにもマニアックで非実用的な知識だが、ジェネアビパイロットとしては知っておいて損はない知識だ(と思う)。
それにしても、ロビンソンヘリコプターがジェネアビにもたらした恩恵は大きい。ロビンソン機の誕生以前は、ヘリコプターの訓練と言えばジェットレンジャーなどの機体が訓練機の主流で、何百万円もかかるものだった。それが百万円から2百万円の訓練費が一般的になったのは、ロビンソンR22という機体のお陰で、それゆえに自家用ヘリコプターが増えることになった。タービンエンジン搭載のR66はロビンソンの中で最も高価な機体だが、他のタービンヘリに比べたら桁が違う安さで、何十年落ちのジェットレンジャーの中古機よりも安いほどだ。なのに性能はR66の方がいい。凄いことだ。
創業者のフランクロビンソンは御健在だが、ヘリパイロットではない私ですら尊敬するAviatorの1人だ。一代でここまでの会社を作り、ついにはタービンヘリまでラインナップに加わり、世界一の生産数のヘリコプターメーカーという立場を不動のものにするだろう。
今は自家用運行で年間二百時間以上は飛ぶという飛行機狂いのわたくしですが、2005年に免許取得を決断した時には固定翼か回転翼か迷ったほどです(2005年12月の日記)。時間が確保できれば、いつか回転翼にも挑戦してみたいなと思っています(R22で1時間半、R44で1時間、合計2時間半くらいは回転翼のログブックに飛行時間がついてます!)。
それにしても、ロビンソンは素晴らしい会社ですね。ヘリ業界のあり方を変えた会社だと思います。企業理念、設計理念ともに尊敬に値します。細かい事を言えば、過去数年のR22の強烈な値上げには多少の疑問もありますが、R66を70万ドル台に設定したあたりは企業戦略だけでなく良心すら感じます。