LOS ANGELES FLIGHT DIARY

愛機ビーチクラフトボナンザで南カリフォルニアの空を駆ける日本人飛行機乗りの日記。

フライトログ:チェックリストの重要性と離陸中止

2017-01-10 | Flight Log (機長)

朝から雨、二日連続で雨模様。IFRで飛ぶかなとも思っていたが、ちょっと腰が重い。軽く飛びたい気分だった。すると、ちょっとばかり晴れ間が見えてきた。これは丁度いい!と、空港に向かった。プリフライトでは燃料の水混入を念密に調べる。プリフライトを続けていて思ったのは、意外にも雨上がりの機体が綺麗。きちんとワックスがかかっているからか、そしてカバーをしてあるから。ただ、やっぱりハンガーに入れてあげたいなと思うのも事実。サンタモニカ空港のハンガーはまだ数年待ちだ。

エンジン始動、ランナップエリアへ。こちらがRwy21から離陸する時、向こう岸には訓練機のセスナ172。晴れ間を狙って皆が空に上がり始めた。この日はフラップ10度くらいで離陸を試してみた。Bonanza S35のPOHにはshort field take offの項目がない。実際にやってみると、ローテーションまでに機体が暴れる。ローテーションスピードが70ktじゃなくて60ktくらいになるのかもしれない。POHに記載がないので、今後こまめにデータを取って行かなければならない。

さすが低気圧の前線が入ってきているだけあり、不愉快というほどじゃないが、ずっと揺れっぱなし。Santa Monica Pierのところでfrequency changeとなる。ローカルの訓練機は別として、VFRで飛んでいる機体はあまりないのだろう。異常に早いFrequency changeだ。気流も不安定だし、あっさり右ターンしてSpecial flight ruleへ。気温は低めで上昇力は十分にあり、2500ftで反転してもSMO VOR遥か手前で3500ftに到達。そのまま3500ft、2500rpm、23inch、16gph、50F ROPで飛行。IAS162kt、PA3400ft、OAT55F、TAS171.2ktと出た。さらに2400rpm 21inchくらいまで絞ると、IAS150 TAS159ktまで減速。ただ、燃費は13gphと抜群にいい。パロスバーデスの海岸線に出て、雲の床の真下を飛ぶ。ちょっと幻想的な光景だった。そしてPoint Farminからトーランス空港管制塔を呼ぶ。すぐにstraight in, Rwy29R cleared to landとなる。ここはLocalizerに乗って、autopilotを使って遊んだ。3-4mile finalでは横風がひどくなる。必死でcrab wind correctionする機体。Wind sockを見ると真左のXwindになっていた。autopilotのwind correction、なかなか上手だった。そのままノーフラップで進入し、2mile on finalでautopilotオフ、自分の操縦になってからはleft wing lowでのwind correction、いい感じに着陸が決まった。

その後はFuel pitにタクシー、満タンにする。いつも居る、黒いSocataがエンジンかけたまま給油待ち。別に気を使う必要もないのだが、ちょっと急ぎ気味でエンジン始動、これがいけなかった。チェックリスト無しでエンジンをかけ、そのままついでにRwy29Rにタクシー、ランナップ後に離陸。ところが、離陸滑走開始し、あと1、2秒でローテーションという時、ボン!という音とともにドアが開いてしまった。機内にはチャートやらメモ帳やら様々な紙が舞う。すぐにスロットルを戻して離陸中止。こういう時、長い滑走路は安全だなと思う。2500ft級の滑走路なら、そのまま離陸してパターンを回らないといけなかったと思う。管制塔には aborting take off, door popped open, request returning back to the run-upと伝えた。taxi back to Rwy29R via C-A-Jと管制官。再び気をとりなおし、アイドリングにしてドアを閉める。さらにきちんとドアがしまっているのを手でおして確認。ちなみに、1000rpmでプロペラが回っているだけでも、ドアが完全に閉まることはない。それだけprop washは強い。上空なら絶対に閉まらない。チェックリストのbefore engine startの項目の一つで、cockpit door close-checkという部分がある。ここで手をドア上部に押し当てて確認するのだが、それを飛ばしていた。ダサい。

念のため、再びチェックリストに目を通し、Rwy29Rから再度離陸。Right downwind departure、1700ftでレベルオフし、2400rpmの快適巡航。すごく静かでいい。17000ftでIAS140ktも出ていれば十分だ。コンプトン横を抜け、ちょっと大回り気味でLA riverにそって飛行。ダウンタウン横で管制塔を呼び、Squawk0250をもらってRwy21にstraight in。Jetの離陸待ちがあるので急ぎたかった。そのままノーフラップで飛び、空港敷地内、ラウンドアウト直前まで90ktを維持。ただ、右横風が強く、ノーフラップの85ktラウンドアウトなのに、FBO Altanticの前でタクシーアウトできた。クロスコントロールによる減速効果って素晴らしいなと感動。ここで管制塔が、Are you going to Atlantic?とのこと。ローカル機なのに、この管制官には覚えられてないようだ。No, I am based here, taxi to NE tie-downとつたえる。すると、OK contact graoundと管制官。そのままのんびりタクシーし、無事にスポットイン、機体を軽く拭いて、カバーをかけ、もうひと雨に備える。

American Bonanza Societyのonline safety courseで習ったが、飛行中にコクピットドアが開くことで死亡事故も起こっているらしい。意外に多いとのこと。100-200fpm程度のドラッグになるらしいが、とにかくドアに触れず、すぐに着陸するようにという指導だった。離陸滑走中にコクピットのドアが開いてしまうのは、ドアロックがボロかった訓練機のDuchessでよく経験した。離陸中止してドアを締め直し、無駄な飛行時間がつきイライラしたものだ。今回は自分の凡ミス。やっぱりチェックリストは大事だと思う。


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