LOS ANGELES FLIGHT DIARY

愛機ビーチクラフトボナンザで南カリフォルニアの空を駆ける日本人飛行機乗りの日記。

フライトログ:真横からのGust

2015-12-12 | Flight Log (機長)

週末の朝から飛ぶつもりでいたが、なんとTurbulence AIRMETが出るほどの天気。LA Basin全体が北風で、しかも強風。ロサンゼルス海岸線に並ぶ空港は北からサンタモニカ空港Rwy21、ロサンゼルス国際空港Rwy24とRwy25、ホーソン空港Rwy25、コンプトン空港Rwy25RL、トーランス空港Rwy29RL、全て210から290の方位を向いている。北風が吹くと、どの空港も右クロスウィンドとなる。トーランスとサンタモニカ、そしてロサンゼルス国際空港の風速は15から20kt程度で、Gustは22-27ktという数字が出ていた。

真横からこれだけの風が吹くと、ロサンゼルス国際空港に降りる旅客機も極端なクラビングでファイナルを降りてくるのが観れる。場合によってはゴーアランウンドも撮影できるかもしれない。あと、サンタモニカ空港ではビジネスジェットのゴーアラウンドも撮影できるかもしれない。午後になれば少し風も弱まるようで、そうなったら自分もXwind Landingでもして遊ぼうと思った。

さっそく一眼レフと望遠レンズを片手に出かけ、最初はサンタモニカ空港に向かう。Rwy3使用。ビジネスジェットがトラフィックパターンを回って着陸する姿が見える。Gulfstream G4が滑走路いっぱい使って着陸してくる。なかなか見れない絵だ。この時、Wind 330 at 17kt Gust22kt, wind direction from 300 to 360とのこと。Rwy3からIFRで離陸するのはコース取りが極めて面倒になるので、だれもが避けたいところ。このような真横に近い風だと、パワーがあるビジネスジェットのIFRの離陸はRwy21、ビジネスジェットの着陸はRwy3、小型機は離着陸Rwy3となる。ただ、小型機はほとんど飛んでない。Mooney Bravoが1機果敢に離陸していっただけ。

そんな中、訓練機のPiper Cherokeeがタクシーアウトしてきて、Rwy3に向かっていった。電話でATISをとると、Wind330 at 15, Gust20ktとなっていた。十分POHに規定されたXwind landingの範疇なので、練習するんだろうと思った。そんなCherokeeに刺激され、結局自分も飛ぶことにした。撮影中断、写真なんて撮ってる場合じゃない。

とりあえずADDSでPIREPsを確認する。FL120以下の高度では、大型機がTurbulenceをレポートしていない。これはいける。愛機グラマンの油量を確認する。なんと4クオーツちょっと。しかもかなり黒い。さっそく1クオーツ足した。そしてエンジン始動、Rwy3までタクシー。先ほどのCherokeeが給油している姿が見えた。それを追い越しRwy3へ、そしてランナップを開始。すると、Transient parkingに向かって風待ちをするというCherokee。果敢な訓練機だと思っていたが、かなり安全策をとるようだ。確かに、あと1、2時間すればさらに風速が収まるという予想だ。風待ちしながらレストランで座学でもするのだろう。

こちらはランナップの後に離陸。Rwy3から滑走を開始。風は真横から吹いている。横風成分だけで12ktはある。Gustの時には15ktを超えている。操縦桿を左に切り、かなり左ラダーを踏み、それでも右へ流される。そしてrotationとなるが、風が不安定でピッチを上げられない。Airspeed indicatorが5ktくらいの幅でガンガンゆれる。機首は左を向き、そのままピッチを抑え気味で飛行。ピッチを上げると機体がふわっと舞い上がり、そして一気にairspeedを失いそうで怖い。比較的上空の風は安定していると思ったが、サンタモニカマウテンから来る乱気流がとんでもないことになっていた。それがPOHに基づいて正しいのか正しくないのか知らないが、離陸出力で90ktくらいのAirspeedになるようにピッチを抑え込むと、Turbulenceの中で一番操縦しやすい感じがした。そのまま延々と東に向かって飛ぶ。1400-1500ftを飛んでいるとましだが、2000ftに近づくととんでもなに揺れ。そのままダウンタウンまで飛んだ。ヘリが1機ドジャーススタジアム周辺を飛んでいた。サンタモニカ空港の管制塔とはかなり東に入るまで話していた。そして南へ進路をとる。ここでfrequency changeとした。このコースではガタン!と突然ポケットに落ちるようなゆれがあった。あとリフトとシンクが繰り返し、スロットル操作が忙しい。2400rpm固定だと、リフトが強い時に高度維持するとイエローアークに入りそうだ。コンプトン空港を過ぎ、トーランス空港に向かう。ATISはwind320 at 15と悪くない。そのまま降りて、風がやむまで待つかななんて思ったほど。そんな風に考えていると、再び激しい揺れでボコん!!と頭をキャノピーのぶつけてしまった。程よい風は楽しい。頭をぶつけるような風は楽しくない。帰還だ。

2500ft Mini Routeを考えたが、上昇途中でやる気を削ぐような酷い揺れ。結局比較的ましな1500ftに戻り、もと来たコースを逆戻りした。スロットルを操作しながらイエローアークに入れないように、そしてリフトにのってClass B Airspaceに入らないように飛行。ダウンタウンくらいから空港管制塔を呼び、Rt trafficを指定した。Squawkをもらい、お願いした通りRight traffc Rwy3となる。ベースが向かい風になり、オーバーシュートしにくい。この時、他の機体がsurface windを聞いていたが、Gust17に落ち着いていた。風向きは330-360と変わらない。

サンタモニカの海面は白く波打っている。ノーフラップでのランディングをすることにした。そのままベースに入ると、飛行機が進まない。80ktは出ていたが、60kt台のGSになるのだから仕方ない。そして左クラブで降下。ショートファイナルでウィンドシェアがあり、そのままIAS80ktで滑走路に入る。左エルロン右ラダーのクロスコントロールでラウンドアウト、そしてノーズアップ。ここで思ったより強い横風になりリフトが抜け気味でドスン!という接地になった。ノーズギアもバウンスし、メインギアが浮き気味に。ゴーアラウンドを考えたが、2バウンド目くらいで収まった。ダサダサのランディング。手足のように動く愛機なんてとでも言えない。

肩を落としながらタイダウンスポットまでタクシー。まだまだ修行が足りない。

 


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