
ついにこの日が来たという感じだ。今日はチェックライド(試験)だ。指示されたのはRedlands Airport (L12)からメキシコ国境近くのImperial (IPL)までのクロスカントリー飛行プランを準備するのと、試験官と自分の体重を考慮した機体のWeight and Balance、あとクロカンプランの一つとしてTake off distance, Landing distanceを出さないといけない。Redlands(L12)に朝9時到着の予定だから、Torrance Airport (TOA)を朝8時には離陸する必要があり、その為には我が家を6時半には出ないと無理。そうすると、5時には起きて、Flight Service Station (FSS)に電話をかけてStandard weather briefingを受け、そしてクロカンプランを完成させないといけなかった。前日も午前2時くらいまで色々と準備していたので、3時間ちょっとしか寝ていない。
TOAに到着し、必要書類を確認、Preflight Checkを開始した。朝8時になり教官到着。”いきますか”と声をかけ、離陸となった。しかし、いつものようにLong beachに向かって飛行すると、なんと海側はマリンレイヤーに被われており、内陸もかなりHazeだ。“これ本当に大丈夫?”と言う教官だが、FSSや DUATで調べた限りではオンタリオ空港のあたりでVisibility 3SM Hazeという以外はひどいVisibilityやCeilingを示す情報はなかったし、DUATでOutlook VFRというのを確認していた。つまりTOA-L12の飛行については天候は問題ないと判断していた。しかし、ロングクロカンのフライトプランを作成する為に、FSSからWeather Briefingを受けたのが5時頃。その間にマリンレイヤーが3マイルくらい内陸に入ってきていたというのが正しい解釈だと思う。ロングビーチに出たがVisual pointとなるクイーンメリー号などは見えないので、“GPS持ってます?”と教官が尋ねてきた。こういう時にGPSは頼りになる。Socal ApproachにコンタクトしてFlight followingを開始した。GPSがあるので雲に隠れた地上目標物も簡単に見つけられるし、Class B Airspaceをバーストすることもない。そうこうしているうちに、飛行機は降ろせそうな雲の状態になってきた。
L12に到着すると、さっそく試験官の部屋に入った。今日は機嫌が良いみたいだ。軽く自己紹介を行い、前日に終わらせておいた必要書類を試験官と教官と私の3人で完成させると、いよいよ試験開始だ。
最初は飛行機に常備する必要がある書類(AROW)、飛行機に義務づけられる検査(A.V.I.A.T.E.D)などについて聞かれ、機長(PIC)として飛ぶには何を持参する必要があるかという初歩的な質問が続いた。このあたりは簡単に答えられた。そしてエンジンの質問は楽勝で、キャブヒートが起こる場所を説明したり、Detonationが起こった時の対策などを説明した。気象はTerminal Aerodrome Forecast (TAF)の予報するエリアの半径を聞かれたり(答えはRunway Complex中心から5マイル)、Area Forecastの範囲の広さなどを聞かれた。Prognostic chartは予報か?という質問も受け、Troughについて、また等圧線の意味、風の向きなどを聞かれた。またClass BとClass Cの違い、Special VFRなどについてきかれた。地図についてはエアスペースと、自分の選択したコースについての説明した。自分は山の近くや水の上の飛行をさけ、 Military Operating Area (MOA)の真ん中をつっきるコースを選択した。試験官はそれにまつわる法規などの試問をしてきた。あとCongested areaは何故黄色か?とか、Night flightでの注意点などもきかれた。全体的に出来はよかったと思う。口頭試問は無事通過し、” Let’s fly and have some fun”と言われた。ここまでのところは順調で、試験官の機嫌も良いようだ。先にPreflightを開始していると試験官が機体のところまで出てきた。ここでRudder trimとStatic portについて聞かれ、Rudder trimの調整の仕方の説明を要求された。ここは無難にこなした。
いつも通りにチェックリストに沿ってエンジン始動、そしてTAXI to Runway!となった。最初はSoft field take off。ここではピッチが上がり過ぎと注意され、ピッチを抑えると下り勾配のRunwayと平行に飛行機が飛んでしまい、かるく注意された。べつに駄目だしという感じの注意ではなかった。そしてSan Bernardino Airportに向かい(SBD)に向かい、着陸のチェックから始まった。最初はエンジンをアイドリングにしてのEmergency Landing、そのままShort Field Take off、2回目はSoft Field Landing、そしてShort Field Take off、3回目はSoft Field Take offからタッチアンドゴーでNormal Take off、そのままCross wind departureでFreeway 10に向かった。LandingのチェックではLanding そのものよりもパターンの回り方についてこだわりがあるようで、とくに各レグは30度バンクで90度きちんと回るというのを強調されたが、ここでも駄目出しはなかった。FWYの上ではSターンを行い、3ターン終えたところで、”Perfect!”というお褒めの言葉をもらった。そしてSBDからクロスカントリーに入った。最初のEstimate time enrouteは12分、チェックポイントはBanning Pass の入り口(VPLBP)だ。予定よりも1分くらい早くVPLBPに到着し、ここで予定通りHeadingを修正してBanning Airport (BNG)に向かった。BNGをインサイトした所でHemet Airportへのダイバートを指示された。HeadingとEstimate time enroute to Hemetを計算し試験官に着いたえ、5分ほどの飛行で無事にHemetをインサイトした。
ここからマニューバーチェックが始まった。最初はSteep turnだったが、これはお褒めの言葉をもらった。StallはPower off, onとも無難にこなしたと思うが、特に評価はなし。そのままSlow flightに入ると、少し気に入らないらしい。自分としてはPractical Test Standard (PTS)に沿っているつもりだが、試験官は飛行規定速度上限ぎりぎりくらいで飛んでもらったほうがいいみたいだ。ここでフラップ無し、10度、20度、30度でのSlow fligthをやってみるように言われたが、これは試験というよりもエクストラインストラクションという感じだ。そしてフードワークに入り、 Unusual attitudeからのリカバリーは何なくこなしたと思う。そしてL12に戻るように指示され、無事着陸となった。
無事に着陸した所で試験官は "もしTaxi wayで人をひいたりしなければ合格だよ"と言ってくれた。当然田舎空港のTaxi wayに人がいるわけもなく、人をひくわけもない。After landing check listを済ませ、CTAFで自分の位置をTaxiの方向をコールし、そのまま慎重にTransient parkingに戻った。”合格!だよ”と試験官が手を差し伸べてきたので握手をした。最高の気分だ。
思えば時間がかかったようで、また早かったようで、不思議な感じがする。嬉しさや感動が湧いてくるような単純なものではなく、感慨深いというのが正しい表現だ。教官と自分との共同作業の中で、まだまだ未熟ながら自分が一人のパイロットにまで育て上げてもらったと思う。訓練期間に感じたすべての喜怒哀楽を思い起こしてみても、本当に楽しく貴重な体験をした半年間だった。
2006年7月
TOAに到着し、必要書類を確認、Preflight Checkを開始した。朝8時になり教官到着。”いきますか”と声をかけ、離陸となった。しかし、いつものようにLong beachに向かって飛行すると、なんと海側はマリンレイヤーに被われており、内陸もかなりHazeだ。“これ本当に大丈夫?”と言う教官だが、FSSや DUATで調べた限りではオンタリオ空港のあたりでVisibility 3SM Hazeという以外はひどいVisibilityやCeilingを示す情報はなかったし、DUATでOutlook VFRというのを確認していた。つまりTOA-L12の飛行については天候は問題ないと判断していた。しかし、ロングクロカンのフライトプランを作成する為に、FSSからWeather Briefingを受けたのが5時頃。その間にマリンレイヤーが3マイルくらい内陸に入ってきていたというのが正しい解釈だと思う。ロングビーチに出たがVisual pointとなるクイーンメリー号などは見えないので、“GPS持ってます?”と教官が尋ねてきた。こういう時にGPSは頼りになる。Socal ApproachにコンタクトしてFlight followingを開始した。GPSがあるので雲に隠れた地上目標物も簡単に見つけられるし、Class B Airspaceをバーストすることもない。そうこうしているうちに、飛行機は降ろせそうな雲の状態になってきた。
L12に到着すると、さっそく試験官の部屋に入った。今日は機嫌が良いみたいだ。軽く自己紹介を行い、前日に終わらせておいた必要書類を試験官と教官と私の3人で完成させると、いよいよ試験開始だ。
最初は飛行機に常備する必要がある書類(AROW)、飛行機に義務づけられる検査(A.V.I.A.T.E.D)などについて聞かれ、機長(PIC)として飛ぶには何を持参する必要があるかという初歩的な質問が続いた。このあたりは簡単に答えられた。そしてエンジンの質問は楽勝で、キャブヒートが起こる場所を説明したり、Detonationが起こった時の対策などを説明した。気象はTerminal Aerodrome Forecast (TAF)の予報するエリアの半径を聞かれたり(答えはRunway Complex中心から5マイル)、Area Forecastの範囲の広さなどを聞かれた。Prognostic chartは予報か?という質問も受け、Troughについて、また等圧線の意味、風の向きなどを聞かれた。またClass BとClass Cの違い、Special VFRなどについてきかれた。地図についてはエアスペースと、自分の選択したコースについての説明した。自分は山の近くや水の上の飛行をさけ、 Military Operating Area (MOA)の真ん中をつっきるコースを選択した。試験官はそれにまつわる法規などの試問をしてきた。あとCongested areaは何故黄色か?とか、Night flightでの注意点などもきかれた。全体的に出来はよかったと思う。口頭試問は無事通過し、” Let’s fly and have some fun”と言われた。ここまでのところは順調で、試験官の機嫌も良いようだ。先にPreflightを開始していると試験官が機体のところまで出てきた。ここでRudder trimとStatic portについて聞かれ、Rudder trimの調整の仕方の説明を要求された。ここは無難にこなした。
いつも通りにチェックリストに沿ってエンジン始動、そしてTAXI to Runway!となった。最初はSoft field take off。ここではピッチが上がり過ぎと注意され、ピッチを抑えると下り勾配のRunwayと平行に飛行機が飛んでしまい、かるく注意された。べつに駄目だしという感じの注意ではなかった。そしてSan Bernardino Airportに向かい(SBD)に向かい、着陸のチェックから始まった。最初はエンジンをアイドリングにしてのEmergency Landing、そのままShort Field Take off、2回目はSoft Field Landing、そしてShort Field Take off、3回目はSoft Field Take offからタッチアンドゴーでNormal Take off、そのままCross wind departureでFreeway 10に向かった。LandingのチェックではLanding そのものよりもパターンの回り方についてこだわりがあるようで、とくに各レグは30度バンクで90度きちんと回るというのを強調されたが、ここでも駄目出しはなかった。FWYの上ではSターンを行い、3ターン終えたところで、”Perfect!”というお褒めの言葉をもらった。そしてSBDからクロスカントリーに入った。最初のEstimate time enrouteは12分、チェックポイントはBanning Pass の入り口(VPLBP)だ。予定よりも1分くらい早くVPLBPに到着し、ここで予定通りHeadingを修正してBanning Airport (BNG)に向かった。BNGをインサイトした所でHemet Airportへのダイバートを指示された。HeadingとEstimate time enroute to Hemetを計算し試験官に着いたえ、5分ほどの飛行で無事にHemetをインサイトした。
ここからマニューバーチェックが始まった。最初はSteep turnだったが、これはお褒めの言葉をもらった。StallはPower off, onとも無難にこなしたと思うが、特に評価はなし。そのままSlow flightに入ると、少し気に入らないらしい。自分としてはPractical Test Standard (PTS)に沿っているつもりだが、試験官は飛行規定速度上限ぎりぎりくらいで飛んでもらったほうがいいみたいだ。ここでフラップ無し、10度、20度、30度でのSlow fligthをやってみるように言われたが、これは試験というよりもエクストラインストラクションという感じだ。そしてフードワークに入り、 Unusual attitudeからのリカバリーは何なくこなしたと思う。そしてL12に戻るように指示され、無事着陸となった。
無事に着陸した所で試験官は "もしTaxi wayで人をひいたりしなければ合格だよ"と言ってくれた。当然田舎空港のTaxi wayに人がいるわけもなく、人をひくわけもない。After landing check listを済ませ、CTAFで自分の位置をTaxiの方向をコールし、そのまま慎重にTransient parkingに戻った。”合格!だよ”と試験官が手を差し伸べてきたので握手をした。最高の気分だ。
思えば時間がかかったようで、また早かったようで、不思議な感じがする。嬉しさや感動が湧いてくるような単純なものではなく、感慨深いというのが正しい表現だ。教官と自分との共同作業の中で、まだまだ未熟ながら自分が一人のパイロットにまで育て上げてもらったと思う。訓練期間に感じたすべての喜怒哀楽を思い起こしてみても、本当に楽しく貴重な体験をした半年間だった。
2006年7月