LOS ANGELES FLIGHT DIARY

愛機ビーチクラフトボナンザで南カリフォルニアの空を駆ける日本人飛行機乗りの日記。

愛機ボナンザS35について雑感

2020-05-07 | 航空関連エッセイ

ADS-Bの義務化に伴いGarmin345トランスポンダーを装備。もともと装備していたGarmin GNS530WにTraffic画像やNexradレーダー気象画像などが表示されるようになり、さらにナビゲーション機能が強化された。思いの外トラフィック機能は便利で、これならもっと早くADS-Bを装着しておけばと思わせるほど。Nexradの気象情報もIFRの安全性を高めるのは間違いない。以前はGarmin GDL69 Satellite Data Linkの気象データを使っていたが、年単位の有料サービスだった。Nexradは無料だ。最近IFRフライトが増えているが、今の愛機のコクピットパネルの出来にはほぼ満足している。できればアナログ計器とGNS530Wの組み合わせからG600TXiとGTN750Xiの組み合わせにアップグレードしたいが、かなり高額な出費になる。もし次のアップグレードを狙うなら、G530WをそのままにしてGarmin G5装着になるだろうか。VNAVの機能はないが、STECオートパイロットとGarmin530Wの組み合わせは最高で、ナビゲーションからアプローチのLNAVまでは申し分ない働きをしてくれる。シングルパイロットIFRを、十分安全にこなせる。

 

ボナンザという機体だが、VFRのローカル飛び、クロスカントリーともに柔軟にこなす。コンチネンタルエンジンのエンジニアに勧められ、2300rpmでの巡航はしないようにしているが、2400rpm/20inchという低クルーズ出力設定でも十分に速く、2500rpm 75%出力なら170kt越えは確実。カタログ性能の最高速178ktは十分に出るし、条件によってはTAS180ktを記録する。巡航速度130ktから170ktという幅広い速度域で扱え、145ktでランディングギアを落とせば、まるでセスナ172のように速度制御が簡単になる。操縦桿を操作する感じも心地よく、高速域から低速域までその心地よい感覚は変わらない。気流が不安定な中では、強靭な構造は本当に頼もしく感じる。唯一の難点は、ラダーの効きの悪さと、気流が不安定な時にテールが歳差運動をすること。それをラダー操作で打ち消すのがV tail Bonanza乗りというものだが、後部座席に乗る人はたまったもんじゃないだろう。

 

コンチネンタルIO-520BAというエンジンだが、アイドリングの音がたまらなくいい。プロペラは2枚、8フィートの直径のものが装着されている。3ペラの方が見た目はいいが、最高巡航速度は2枚の方が高い。最大出力での離陸時に騒音がすごいという欠点がある。ただ、ボナンザ特有の音だと識別できるし、それも味だ。ボナンザのエンジンはシリンダーヘッド温の管理が大切。離陸時にVy 2500rpm / 25inchで上昇を続けると、どうしてもシリンダーヘッド温が高めになる。できるだけ早くクルーズクライムに切り替えピッチを下げ、エンジンにたくさんの空気を当ててあげるようにしないといけない。巡航時もシリンダーヘッド温には気を使っているが、カウルフラップを開けたままだと最高速が3ktは下がってしまうので、巡航高度に達してからできるだけ早く閉じてしまうようにしている。巡航開始時は少しミクスチャーをリッチ目で飛び、速度が伸びてから100-150度 rich of peakにミクスチャーを調整している。これもコンチネンタルエンジンのエンジニアに言われたことだが、Lean of peakはおすすめじゃないとのこと。色々異論反論があるが、自分はLean of peakはしないことにした。外観は申し分ない。テーパー翼、Vテール、しっかりしたランディングギア、流線型の胴体。どんどん近代化されていく航空計器とは真逆に、そのクラッシックな造形は美しい。

 

取り止めもない文章を綴ったが、整備やアップグレードを終える度、このボナンザがどんどん好きになる。Vテールボナンザの中でも、S35ボナンザ、V35ボナンザは絶対におすすめできる。速度、操作性、積載能力など、A36ボナンザに見劣りしない性能がある。私見だが、Vテールボナンザが飛んでいる姿はA36/G36ボナンザより美しいと思う。

Bonanza S35という機体のオーナーになれて幸運だった。その一言に尽きる。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。