『カエルの楽園』は何を暗示しているか
百田尚樹氏のベストセラー小説『カエルの楽園』の舞台は「三戒(さんかい)」という戒(いまし)めを持つカエルの国、ナパージュである。三戒とは、
「一、カエルを信じろ
二、カエルと争うな
三、争うための力を持つな」
の三つの戒めのこと。
ナパージュに住むカエルの多くは、この三つの戒めさえ守っていれば平和は守られると教えられ、それを鵜呑みにしている。ところが徐々に外敵の脅威は高まり、疑問を抱くカエルも現れる。残虐なウシガエルがすでに南の崖を侵略してきている。それなのに対抗する「力」を持たないでいいはずがないと考えるのだ。ところが、三戒を信奉するカエルは、ひたすら「話し合うことだ」と言う。以下、同書から引用しよう。
『カエルの楽園』
百田 尚樹 著
「戦いに訴えるのは最も愚かなカエルのすることだ。賢明なるナパージュのカエルが取るべき道ではない。とことん話し合えば、必ず明るい未来が開ける」
「話し合いの結果、ウシガエルが南の崖を返さないと言えば?」
「それは話し合いが足りないのだ。お互いに納得いくまで話し合えばいい」
「では、もしウシガエルがそれ以上にナパージュの国に入ってきたらどうするのです? ウシガエルがナパージュのカエルを殺して食べたら?」
「それをやめてもらうように話し合うのだ」