みずけん戦記

せめてもう少しだけ、走らせてくれ。

レ・ミゼラブルという「僥倖」

2007-06-10 22:38:09 | 映画、演劇等々
 突然だが話は3月末ごろにさかのぼる。

 レ・ミゼラブルというミュージカル、去年も行ったのだが今年も観に行こうという話がさらにその以前から友人達との間で盛り上がっていた。
 だが、多くの人々が知っているであろうこのミュージカル、他のそれら同様そうそう簡単にチケットが手に入るものではない。
 なもんで色んな手を尽くし、先行予約でA席を2枚を取ったのに続き、CNプレイガイドという所で本発売日直前に抽選予約をやっているというのでわざわざ会員登録し、そしてうまいことS席2枚をゲット。

 もっともそれだけでは「僥倖」という程ではない。それは届いたチケットを確認したときに分かった。
 席の列はA列。これ即ちミュージカルの時の最前列なんである。
 流石にこれを見た時は末高トムよろしくおったまげた。まあそのせいで?多少席の割り振りのすったもんだも発生したがとりあえず前半後半で入れ替わるという作戦を決行。


 そして昨日、帝国劇場にてレ・ミゼラブルを鑑賞した。

 ストーリー自体は一度観ているので大体把握していたのだが、そのせいもあってかとにかくあっという間の3時間であった。改めてこのミュージカルがいかに凝縮されたものなのかを知ることができたな。
 俺としては、前半部でジャン・バルジャンが自らの罪を悔い改めながらも、どこかに影として付きまとうその昔の罪と闘い続ける様が印象深い。そしてある意味、その罪が具現化された存在というのがバルジャンの生涯の宿敵・ジャベールなんであるが、今回のジャベール役は鹿賀丈史さんが努めていた。彼は実はこのミュージカル開始当初のキャストで、今年レミゼ20周年ということで特別出演だったのだが、彼のジャベールがまたかっこよかった。今後彼のジャベールが観られる機会があるかどうかは分からないのでそういう意味でも幸いであった。

 今回、前述の座席交換作戦により俺は後半をA列即ち最前列で観たのだが、これはとてつもなく稀有な体験だったのは言うまでもない。演者一人一人の細かい表情はオペラグラスなどなくてもつぶさに見てとれ(何しろ再接近時で数メートル程度だったので)、また舞台下・オケピのオーケストラの演奏もすぐそこだったので大迫力である。

 別所哲也演じるジャン・バルジャンはジャベール共々そのたたずまい自体(姿勢、表情等)威厳に満ちつつも人間の苦悩を見事に表現していたし、菊地美香演じるバルジャンの娘コゼットは清楚かつ可憐、その恋の相手・マリウス役の藤岡正樹も若さに満ち、恋と使命感の狭間で悩む青年を演じており、こりゃ女性はほっとかないよなぁ~と指をくわえてみてた(?)。

 去年に引き続き、レミゼを観るきっかけでもある坂本真綾は叶わぬ恋に焦がれるもう一人のヒロイン・エポニーヌ役で登場。というか少なくとも俺はレミゼで「ヒロイン」といえばエポニーヌなんだろうと思っていて、往時の本田美奈子さんが演じたこともあるくらい最も演技力、歌唱力が要求される役の一つなんである。それを彼女は見事に演じ切り、俺はファンでは無いが坂本エポニーヌには訳も無く心惹かれてしまう。それだけ素晴らしい声なんだよ。しかも今回間近で観られたし。何か物凄く色白で綺麗な人。

 他にもレミゼというドラマを彩るキャストは数あれど、今回最後に取り上げたいのはある意味本作品の最重要人物!?テナルディエ夫妻だ。
 ほとんどのキャストがひたすらシリアスなのを尻目に、彼らは舞台である19世紀のパリを道化の如く、強かに生き延びる。彼らの登場シーンは何かもう面白くってしょうがなくてね。
 ただ、テナルディエ達も究極的にはバルジャン達同様、自らの強い信念に基づいて生きるという意味で、とても重要なキャラクターなんだと今回気づかされた。結局ストーリーの最後まで苦悩し続ける民衆達、そして実は、現代においてなお様々な苦悩を抱えて生き続ける我々にとっても、彼らの前向きな生き方は一つの救いなのかも知れない。まあ俺はなぐさめ上手ではありたいけど(笑)


 ちょっと今回は本作品を観てない人にはなんのこっちゃな話だったかも知れない。ただ、やはりレ・ミゼラブルは多少の苦労はあるが観る価値は十二分にあるし、是非一度観に行って頂きたいというのが俺の正直な気持ちだ。

 そして、この素晴らしいミュージカルと出会うきっかけを作ってくれた坂本真綾さんと、友人しうまい君、ワイエヌ君に感謝の意を込めて。

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