みずけん戦記

せめてもう少しだけ、走らせてくれ。

ケッチと行く関門海峡一人旅、その四「門司港編Ⅱ、六曜館GIG」

2011-05-29 23:59:00 | 音楽

4月30日、19時過ぎ。 雨がシトシト降る門司港の街をフラフラ歩いた後、俺は一軒の店に辿り着いた。

店の名は、JAZZ IN 六曜館GIGという。 たまったま、この旅の少し前に門司港のことを話題にしたBS朝日の番組を観ていて、このお店の存在を知った。

その時既にこの旅に行くことは決めていたのだが、30日の夜は最初小倉の屋台でラーメンでも食おうと考えていた。 しかし、この番組で映った門司港の街、そしてこの店の焼きカレー…もとい店内の雰囲気が非常に良さそうだったため、敢えて門司港に宿を取ったという塩梅なのよ。

 

で、この夜は、立花洋一さんというピアニスト率いる「立花洋一ピアノトリオ」プラスMusa Miyukiさんというヴォーカリストを迎えてのライヴがあるっちゅうことで、前日滝部の宿から電話予約をし、満を持して焼きカ…ジャズの醍醐味を味わったろうと入店。

いかにもジャズのお店、とでも言おうか、渋い色使いの内装の店内に入り、案内されるままに席につき、ビールと焼きカレーを注文。

 

そういえば、「焼きカレー」ってさっきから書いてるけど、多分読者の方のほとんどが初耳だと思うので説明しとくと。

 

まあいわゆるB級グルメの類なんだろうが、ここ門司港では結構歴史があるらしい。ライスの上にカレーを載せ、家でピザを作るときにふりかけるタイプのチーズをパラッとまき、店によっては卵を落とし(六曜館は卵を使っている)、焼くと。カレードリア、というとイメージが沸くだろうか? やってきた熱々の焼きカレーを頬張ると、カレーなんだが、上でとろけたチーズの味が程よく混ざり、ドリアというかグラタンというか、でもお店で作りこんだであろうカレーの味が深くて非常に美味しかった。

そんな門司港の味を堪能した後は、いよいよ門司港の「音」を聴く番だ。

まず、立花さんがピアノの前に座り、鍵盤をつまびく。 その後、ベースの小車さん、ドラムの武本さんが順々に登場し(一月近く前のことなんでこの辺の順番はちょっと自信ないけど…)、掛け合いのように楽器を弾き合いながら徐々に入っていくやり方が面白かった。 その後、都合4曲くらいだったか、1時間近く演奏を聴いていたのだが、これがとても楽しくて。

このライブで分かったのは、ジャズというのは音楽ではあるんだけど、音の掛け合いがどちらかというと「会話」のような気がして、つまり言葉を発するように楽器を奏でて、そして「声を合わせて」一つの曲が奏でられるという感じのものなのかなと。 三人が三人とも、上級のスキルを持っていつつ、どこか遊び心みたいなものも忘れず、楽しくやったろうという気持ちが見えてくるような気がしてとても楽しかった。

 

ライブは一度休憩を挟んで、いよいよヴォーカルMusaさんを迎えて後半戦。 このMusaさんがまた良くて、こちらは逆に歌だけでなくスキャットを多用し、声を楽器としてピアノ達の音色に乗せるという感じで、前半とぜんぜん違う雰囲気のライブを堪能できた。

しかしだ。

このライブが始まる前からずーっと思ってたんだけど。

この夜、店内のお客さんはどうもほとんどが立花さんやお店をよく知る人のようで、俺の後ろにはドラム武本さんのご家族の方も応援に来られていたという中。

何故俺のようなジャズド素人が一番前の席に座っているんだろう…?

んでもって、俺の座ってたテーブル席の向かい、要は俺と同じ最前線に座ってたお客さん、ライブ前に武本さんとかなり専門的なトークをしていたと思ったら、どうもこの方もドラマーで、しかも今後六曜館でライブをされるというお話で… ああなんで俺はこんな方と同列にいられたんだろう…非常に申し訳ない気持ちではあったが、ライブ終了後は店長の水本さんに挨拶し、そそくさーっとお店を後にしたのであった。 次回はようやっとラスト、小倉で観た「ロボット」の話を。


ケッチと行く関門海峡一人旅、その三「門司港編」

2011-05-22 21:53:24 | 雑記

つ、疲れた…

↑は、前回取上げた角島を発って、30分もしない時点で俺が思ったこと。

前の日21時に就寝して、この日の朝もちゃんと朝飯を頂いてきたというのに…
理由は大体分かる。今年に入り、真面目に遠乗りをやっていないがため、前日の数十キロが身体にダメージとしてストックされているんだろう。全くこの歳にしてジジイ化もはなはだしい←はちょっと違うけど…

この日は、門司港のホテルを予約しており、後に書くがライブを観に行く予定があったため、時間が間に合わなくなれば電車を使うつもりではいた。
しかし、まだこんなところでケツ割る訳にはいかん。

ということで、老体に鞭打ち?グレーの空の下、海沿いの道をトロトロと走り続け、道中の完膚なきまでのどローカルな駅舎に立ち寄り、海と畑が広がる間に走る単線を見ながら、ゼリー飲料を飲んだりしつつ。

走っているうちに昼になり、そろそろ燃料補給がしてえなーと思っていたところ、海鮮やらなんやらとノボリの立った、飲み食いできそうな施設を見つけ、飛び込んでみた。

そこは、松永軒とようらブルーラインというお店。

海が臨める場所らしく、海産物関係が沢山あるようで、俺は胃に優しそうなうどんと、ふくの唐揚げ(これは胃に優しそうではないな)を、さらに胃にキビチそうな?ノンアルコールビア片手に頂いた。

うどんも旨かったが、ふくの唐揚げが当たり(旨いって意味でだよ。ふくだけに念の為補足(^^;)で、麦サイダーをプハッとやりながら、なぜかここまできて王様のブランチを見ながら完食。

その後は多少元気を取り戻し、この先にある毘沙ノ鼻という本州最西端の地、ここは昨日は時間オーバーで行けなかった所であり、折角こっち方面に来たから是非寄っておこうと張り切っていたのだが…

昨日ストップした川棚温泉を過ぎたところで、まさかの雨が。しかもどしゃ降り。

うーむ、通り雨っぽくはあるが、流石に雨が降ってしまうと厳しいわなあ・・・ということで、已む無く毘沙ノ鼻は断念し、梅ヶ峠(これで「うめがとう」と読むらしい。ゲがない)というこれまたどローカルな駅まで走り、屋根の下でケッチを袋詰めにし、もうそのまま下関まで南下。


下関駅を降りると、ここは雨が降っていないばかりか地面はほぼ乾いており、袋を濡らすことなくケッチを再組立て、走行再開。
この日も関門トンネル人道版を抜け、門司港駅近くのホテルに、雨がちらついてきたところで滑り込んだ。


ホテルでシャワーを浴び、門司港の街へ繰り出す。
この後とあるお店でライブに行ったのだが、俺はその前に、最近テレビでチラッと見た門司中央市場という所に行ってみた。

テレビでは、いわゆる「シャッター通り」になりつつも、明るく営業しているお店の方々を取上げていた。

しかし。

俺は18時過ぎ、もう店じまいの時間に行ってしまったため、もうシャッターは全であり、真っ暗なアーケードの中を歩くとそこは全くの異世界。

でも、俺こういう雰囲気嫌いじゃない。遠くまでひたすらシャッターに囲まれた、古びた商店街の風景は、何故かドキドキして、懐かしい感じがして、見知らぬ洞窟に迷い込んだかのようで(俺は洞窟すきなんだよね(^^;)。

今度はお店が開いている時に行ってみたいもんである。

さて、随分引っ張っているが、次回は門司港のジャズの名店でのライブの話ほかを。


ケッチと行く関門海峡一人旅、その二「角島編」

2011-05-15 23:09:05 | 自転車
 4月30日、山口県は滝部の旅館で、連休中もお仕事の職人さん達と一緒に朝飯を頂き(何しろこの旅館は現場系の方々が良く泊まられるので…)、俺は軒下に置かせてもらっていたケッチにまたがり、北に向かって走り始めた。

 この日の、というかわざわざ山口県の北の方で宿を取った目的は、同県の北の果てにある、角島に行くことであった。


 俺は、去年秋口にたまたまこの辺りに仕事に行ったことがあり、たまたまその直前にこの島にかかる橋、角島大橋の画像をネットで見ていたく感動し、是非行ってみたいと同行した人に無理を言い(本当は角島には用はなかったのだが…たまたま時間が余ったので)現地に行ったらもっと感動し、今度は自転車で行きてーなと思っていたのである。

 そして、山を抜け、「特牛」(←読めるかな?)という町の港を抜け、最後に坂を一つ登り切り、下った先。


 見えた!


 えーネットで調べたところによると、離島にかけられた通行料金無料の橋としては、沖縄の古宇利大橋に次ぐ国内二位の長さであると。

 しかし。

 ここで感じるのはそんな一位とか二位とかいう記録ではない。

 日本海を豪快にブチ抜くこの角島大橋の前に立つと、この国にこんな異世界があったのかという感動に襲われる。

 とりあえず、橋の横にある広場から何枚か写真を撮って、イザ念願の角島大橋、ケッチで渡ってみた。


 ここは不思議なところで、去年行った時もそうだったのだが、滝部あたりが曇り空で、雨が降るんじゃないかと懸念して角島大橋にくると、ここだけはまるで別の気候であるかのように妙に天気が良かったりするのだ。

 日差しが照りつけ、強い海風が欄干の間を抜けて楽器のように音を鳴らす中、俺とケッチはこの大橋を走りぬけた。
 生きること、自転車に乗るということがこんなに刺激的だと感じたのはどれくらい久しぶりのことだろうか。


 感動ひとしおの中、去年は行かなかった角島の端っこの方まで行って見る事にし、橋から続く一本道をそのままずーっと走り抜けた。思ったよりも長い。

 角島をひたすら西に走りぬけた先に、白い灯台があった。

 自転車を停め、200円だかを払って灯台に登ってみた。
 どうも昔作られたときの構造がそのままのようで、狭い螺旋階段を登りきると、日本海が広がる景色が広がる展望スペースに出られた。
 意外と観光客が多数いる中、柵はもちろんあるが狭い(幅1mくらい?人がやっとすれ違える程度)スペースに海からの強い風が吹き付ける中、おっかなびっくり写真を撮りつつ景色を眺めた。

 灯台の足元に灯台の資料館があったので寄ってみたんだが、どうやらこの灯台、明治初期に御影石で作られたものがほぼそのまま残っているらしい。


 ここ角島は、地図で見て頂ければ分かると思うが、海洋交通的には何と言うか「曲がり角」的な場所、資料館では確かここが針路変更点だったっけかな?と要するに重要な地点であり、そのため古くからナビゲーションのための灯台が欠かせなかったと。

 そんな歴史のある灯台があると初めて知り、角島って実は日本における重要な島なんだなあとこの地に対する思いを新たにした次第。

 その他、資料館には港や海上で不審な船や人を見かけたら118番ということも書かれていて、まああまり詳しくは書かないが場所柄結構危険な匂いのする海って気はするので、なるほどなーと思ったりもしたな。ちなみに118番はマイナーだけどレッキとした緊急通報番号なので間違えないようにしよう。


 そんなこんなで、角島を満喫したあと、当然角島大橋を渡って本土に戻ったのだが、帰りは行きよりさらに風が強く、欄干が低いので飛ばされて海におっこっちゃわないかとビビリながら走ったというのが実情…


 帰り際、名残を惜しみながら、本土側の大橋を上から見渡せる場所に上り、今回添付した写真を撮影。

 この場所から大橋を見ると、この世のものとは思えない景色が俺の脚を止めてしまう。


 この時俺は、いつの日かここに住みてーなと思った。

 しかし、今はまだ、行かねばならないところがある。


 名残を惜しみつつも角島大橋を後にし、ケッチで今度は関門海峡に戻るべく、海沿いの道を一路南へと走り出した。
 

ケッチと行く関門海峡一人旅、その一「門司港→滝部編」

2011-05-08 23:35:59 | 自転車
 さーいい加減書かねば…

 もう終わりつつあるゴールデンウィーク、俺はその初っ端4月29日から、新幹線にて九州は福岡県の都市、小倉に行った。

 近年俺が旅をする時は必ずと言っていい位自転車を連れて行くのだが、今回は初めてKHSの折り畳み自転車F-20R、通称ケッチ君を連れて行った。
 つうかまあ、ケッチはこういう輪行の旅用に買った訳であり、まずは行きの新幹線に乗る際にその小ささが役に立った。

 これまでロードバイクを輪行する時は、前後輪を外し、後輪を挟んでいた所に金具をつけ(後ろの変速機保護用にね)、俺の場合は出っ張るペダルも外し、ワサワサと大きな輪行袋に入れ、よっこらせと担いで改札口に臨んだと。
 それがケッチの場合、フレームの真ん中のレバーを開き、自転車を真っ二つに折りたたんだら、クイックリリースレバーを開けてハンドルを取り外し、サドルは外すか下ろすかして、後は輪行袋に入れやがれ~い(例によって若本規夫さんの声で読みやがれ~い)という塩梅。
 まあ言葉では伝わりにくいが、ロードバイクの時と比べて時間は半減したし、重さこそほとんど変わらないものの大きさは半減なので新幹線の最後尾の座席後ろのスペースにスポッと入り、他の客の邪魔にならず安心である。

 という訳で、都合4時間以上を新幹線内で暮らし、やっとこさ小倉に着いた俺は、そのまま在来線にてまず門司港駅に行き、そこで自転車を開放…する前にまず昼飯。
 というのも、門司港駅周辺は結構賑やかな観光地であり、あまりチョロっと自転車を停めておけなさそうだったので…わざわざ袋詰めのケッチを担いでやってきた先は元祖瓦そば たかせというお店。

 ここは、店の名前にもなっている「瓦そば」という珍しいそばが食べられる。
 瓦そばというのは、つまりそばが瓦の上に乗っているのだが、瓦は鉄板のように熱々に焼けており、茶そばの瓦に接している部分は「おこげ」とでも言おうか、焼けてパリパリになるのである。
 そんな茶そばと、牛肉や錦糸玉子などの独特な具を、温かいおつゆで頂くと、これが不思議な美味なのだ。

 久々の妙味を堪能した後、お祭ムードに包まれた門司港レトロにてソソクサとケッチを組立て、いよいよ自転車旅のスタート。

 自転車で本州と九州を行き来するためには、関門トンネルの人道の方を通ることになる。通行料20円。
 大型エレベーターで降り、自転車を転がしてトボトボ歩き、また向こう側のエレベーターで登るとそこはもう本州。
 下関はしかし、今回素通りして北へとケッチを転がした。


 この日の終着点即ち宿は、山口県の北部に位置する滝部という所の旅館だったため、まずはそこを目指して走ったろうということだった訳だが…
 実は遠乗りをするのは結構久しぶりだったため、40kmくらい走っただけでヘロヘロになり、何とか川棚温泉駅まで辿り着いたところでサッサと自転車を降り、再びケッチを畳み袋詰めにして電車にライドオーン。

 意外と?学生さん達で混んでいる車内でウトウトし、結局目的地である滝部駅までそのまま乗り、夕暮れ迫る滝部の町でケッチを再度組立てし、旅館までちょろっと走り到着。


 さて、今回泊まった旅館だが俺は以前仕事でこの地方に来た際泊まったことがあった。その時は一緒に行った方が予約されてたんだけど。
 一休みして風呂を頂き、夕飯は一人だったためか部屋に持ってきてもらうことになり、部屋でフィギュアスケートなんぞ観ながらガツガツ頂いた。
 ここの旅館は、お風呂が温泉だったりする訳でもないし、至って普通の旅館といった風情なのだが、とにかく飯がうまいのよ。
 この夜も、多分地元で取れた魚の刺身や焼き魚が美味で、恐らく大目に入れて頂いたおひつのご飯はキッチリ全部食べてしまった。イヤ本当美味かった…


 この滝部のいい所は、とにかくほぼなんもないというところ。一応歩いて数分のところにコンビニはあるが、ビールも飲んじゃってすっかりいい気分になり、まー別にコンビニに用ないからいっかぁ~ってことで、21時過ぎには就寝
 まさか旅に出てこんな時間にオネンネするたあ思わなかったが…次の日は色々目白押しだったんで丁度良かったかも。という訳で次回に続く。

 ※ちなみに写真は山陰線滝部駅の風景。いい感じの町でしょ。