みずけん戦記

せめてもう少しだけ、走らせてくれ。

電験のお勉強The Final Season 03「かつてない?危機」

2010-08-29 22:48:48 | お勉強
さて。

ここ何ヶ月かずーーーっと電験の話題に触れなかったが、その間ももちろん勉強は続けていた。
ほぼ毎週のペースで週末は予備校に行き、昼に沖縄料理若しくは大盛りのそばに舌鼓を打つという素晴らしく真面目なお勉強生活を送って、8月。

いよいよ本番まで1ヶ月となってきたところで…


ほとんど勉強が頭の中に入ってこねー

うーむ…やはりこの歳でこれだけの勉強量をこなすのはかなりきびすぃものがあるなあ。

今回受験する2科目のうち、「理論」は、覚える事項の多さもさることながら、計算問題が主体となっている。

実はこの電験は、関数電卓でない普通の電卓(機能はメモリー、ルート程度まで)に限り試験時の使用が許可されている。
それは裏を返せば、電卓くらい使わんとやっとれない計算問題(例えばルート3で割ったりとか)がしこたま登場するということなんである。

例えるなら、大学受験の物理あたりの感じに近いかな…それくらいの、要するに単純な計算ではなく導き方をひらめかねばならないという難易度で、やることは高校ではまずやらないような高度な内容だったりすると。

それでも、大学で電気専攻とまでは行かなくとも、その系統の学部の出だったらあっさり解けてしまうかも知れないが、こちとら自慢じゃないが電気については高1でビタ止まりしていた身なもんで…


もう1科目のうち「機械」に至っては、電験最難関科目の呼び声も高いのだが、まずとにかく範囲が広い。広すぎる。

その範囲のいずれも問題としては結構突っ込んだ内容を問われるんだが、年によって出たり出なかったりする分野があったりして、なかなか容赦ない問題設定だったりする。


と、こういう難易度の高さもあるんだが、何年か前の公務員のお勉強の時よりもさらに内容が頭に入らず、とにかく紙にひたすら式を書くんだがまたすぐ忘れるという繰り返しで…


これは、今年絶対合格と思ってやってきたものの、1科目が精一杯なんじゃねえかと思うようにさえなってきたのがお盆あたりの心境だった。

つまり、機械は今年捨てて理論一本で行こうかと思ったんだが。
しかし、受ける前からケツ割ってしまってはつまらない、あきらめたらそこで試合終了ではないが、やはりやるからには全力で全部やったろうと。

すると、お盆休み後半に集中して過去問をやっていくうち、少しずつではあるが分かるように、できるようになってきた。

結局のところ、オッサンになって覚えにくくなってきた部分は反復でカバーするしかないということらしい…

そんな覚醒を済ませたオッサンは、昔の夏休みの宿題の如くここ2週の週末はひたすら試験勉強に明け暮れ、こうして合間にセコセコと記事を書いているという塩梅である。


そして、来週日曜がついに勝負の時。
試験終了後ちゃんと記事がうpできるかどうか心配ではあろうが、まずは目の前の試験勉強を頑張るんでよろしく。

どことなく不完全燃焼の夏休み

2010-08-22 23:27:01 | 自転車
 初めて自転車にて埼玉上陸?を果たし、ついでに一泊して朝。

 この日は、せっかくこっち方面に来たので、久しぶりに佐野ラーメンが食べたいと思い、北方に針路を取ることに…

 しつつ、出発地から佐野までは流石に距離があるため、ちっとばかし輪行して楽しようと思ったのがいかんかった。

 最寄り駅で輪行袋に自転車を詰め…いや、まさにその詰める作業をやっている最中、通行人の会話が耳に入った。


 なんでも、「電車が運転見合わせしている」とか何とか…

 うっ…TVドラマなら手に持った車輪を落としてしまうようなタイミング(尤もそんなドラマは無いと思うが)で情報を入手してしまい、しょうがないので一旦輪行し、近くのマクドに袋詰めの状態で持って行き、朝マックを食べ、ケータイで電車情報をチェック。
 すると、やはり電車は止まっているらしく、よしんばここで電車が運転再開したとしても、混雑していて自転車を持って乗れる状態ではないだろう…と読み、結局朝マックを食べたらまた自転車を袋から出した。

 全くもって無駄な労力を費やし、再び自転車を組み結局自走にて行ける所まで行ってみべえと走り出した。

 ところが、上記の労力がプラスにならないまでも0であらば良かったんだが…
 走り始めてすぐ、なーんとなく自転車から変な音がしているような気がして、一旦自転車を止め、後輪の方を見てみると。

 どうも変速機の角度がおっかしいんだ…

 これはあまり考えたくないが、宿から駅までの間では何事も無かったはずなので、さっき輪行袋に入れたり出したり動かしたりしている時に何かやってしまったかも…

 しかし、一応走れはするので、とりあえずだましだまし適当な自転車ショップがあるところまで走ることにした。まあある程度ちゃんとしたショップに持っていけば何とか直してもらえるかとその時は思っていた。


 そして、北方の久喜(くき)という街にサイクルベースあさひがあるという情報をケータイにて入手した故、そこに立ち寄り店員に見てもらった。

 するってえと、「これは変速機というか、それをフレーム(自転車本体)とつなげている部分から曲がってますね。ここのパーツは自転車固有のものなので買った店でないと如何ともしがたいです」とのお答えが。

 も、もはやこれまでか…

 既に時間は12時を回り、ここから佐野までの距離を考えると今の自転車では行けない気がしてきて、というか気力を無くし、何となくダラダラと東に向かい、栗橋という町のベイシアという大型スーパーに寄り、モスバーガーを食い、その後はやはりダラダラとやって、最終的にはやはり輪行にてK県まで湘南新宿ラインで地元に帰った。


 次の日。

 早速、自転車を買った店であるワイズロード環八R1店に持って行き、メカニックの方に見て頂くと、どうもフレーム側のパーツはもとより変速機自体も曲がってしもうたらしく、即やってくれるとのことで変速機を購入・取付までその場でやって頂いた。

 変速機の方は、今までついていたシマノのTIAGRAから105という、一つ上のグレードのものにしてもらい、結果としてグレードアップしてめでたしめでたし?となった。

 かのように思えたが、この次の日走ってみたら、3速4速あたりがどうも調子が悪く、踏み込むと一瞬空回りしてしまう。
 何だか塞翁が馬という言葉がしっくりきそうな展開だが、電験が終わったらもう一度ワイズに持っていかなければと思っている。


 そうこうしているうちに、気がつくともう電験の試験日は刻一刻と迫り…次回は久しぶりにそのネタを書くことにしよう。

なんとなく初めてづくしの夏休み

2010-08-16 00:45:01 | 雑記
 12日から17日まで夏休みを取っている。

 小生来月5日に電験三種試験を控え、受験勉強のためとにかくひとまず確実に取れるお盆に有給を設定した訳だが(自分の職場は全体での夏休みは取らないので)。
 気がつくと?12日の昼には埼玉県戸田市なんつうところにいた。もちろん自転車にまたがって。

 …イヤ折角の休みなんで自転車にも乗っておこっかぬぁ~なんて…思って軽く3時間。
 生まれて初めて(そして世間的には一生そんなことはしねえって人の方が多いとは思うが)環八を自転車で走り、生まれて初めて自転車による自走で埼玉県に突入という、初めての夏を経験した俺。

 でここから全く唐突な展開を見せるのだが、俺はその埼玉県戸田市にある戸田競艇に立寄った。
 この日はそこで、神園さやかさんという歌手のライブがあるというので、まあこれまた初めての競艇場入りを果たしつつ観に行ったのである。


 神園さやかさんは、2年だか前に一度K県内でライブをやってたのを観たことがあり、近年なかなかいない「本物の歌手」という印象を受けたことがあったので、そのうちまた行ってみたいと思っていた。
 思いつつしばらく全く行かなかったのだが(--;最近久しぶりに思い出して検索したら、現在はテレ東系の歌の楽園という番組にほぼレギュラー出演されてたりと、活躍の場を広げているようなんである。
 で、スケジュールにこの戸田競艇という渋い?場所でのライブが入っていたので、行ってみようと。


 戸田競艇に着き、まず戸惑ったのが入場の仕方。鉄道の自動改札のような機械があるのだが、入場券らしきものを売ってる様子はなく、??とやっていると、どうやら入場料として100円玉を直接機械に投入しやがれという仕組みになっており、何故かアメリカーンな印象を受けつつ100円玉を入れ、入場。

 競艇場というのは前述の通り生まれて初めてだったが、時代のニーズがそうさせたのか、想像よりも遥かに洗練された作りになっており、とても明るい社交場のような感じを受けた。

 でもって、施設内に立派なホールがあり、沢山の座席とどでかい液晶画面が装備されていてそこがライブ会場になっていた。というか俺がいった時既にさやかさんが歌ってた。


 先にひとレースを挟み、再びさやかさんが登場し、最近出された新曲を含め数曲を、新聞とペンを持った方々の前で熱唱。
 とはいえ、往年の名曲「木綿のハンカチーフ」なども織り交ぜ、でかいハコに全く劣らない歌唱力に、競艇好きのおっちゃん方も感動していたようであった。

 ライブ後は彼女のCD販売が行われ、俺もちゃっかり並んでCDを買い、ちゃっかりサインを頂き、その上持ってたデジカメで一緒に写真を撮影して頂いたという…客観的に考察すると一体何をやっているんだこのオッサンは…と思うが、マ夏だからいんじゃね?


 その後、折角来たしついでに…と競艇ファンには申し訳ない位ナメ切った態度で、レースが行われる水上に行ってみた。

 当然ボートレースを生で見るのは初めてだったのだが、正直この迫力には圧倒されたね。

 ボートが水上を駆けるというより翔け、コーナーのターンマークギリギリのところに突っ込んで行く様は、地面の上を走るレースとは違う独特の挙動で、モーターの爆音と共に強く心を揺さぶるものを感じた。

 そして、レースの流れ等見ていると、一見ではもう全く分からないという位奥が深いらしく、思わず場内の初心者向け小冊子を見てその日の夕方宿でつらつら眺めてしまった…

 補足がてら書いておくと、場内はやはりおっちゃんの比率は高かったものの、若い女性もチラホラいたし、子供を連れて家族で来ている人もいたりと、まあギャンブルには違いないんだろうが大人が遊ぶ場所としては決して悪い場所じゃないんじゃないかなと思った。
 ボートレース自体も結構興味が沸いたし、そのうち機会があったらまた行って見たいもんである。

 とまあ、電験の勉強に全く関係ない感じの夏休み初日であったが、埼玉県内で一泊した次の日にちょっとしたアクシデントが発生した。
 

無理矢理6輪旅行記in広島4「無理矢理最終章」

2010-08-08 23:01:39 | 自転車
 広島県は三次市の、高谷山にある展望台。

 そこからの景色は、まさに息を飲む素晴らしさであった。

 まあ、やはりここまで自転車で、自分の脚で登ってきたという事実がいいスパイスになったのかも知れないが。


 写真を撮りつつ三次の街並みを眺め、俺は疲れた身体をしばし休ませることにした。

 画像の真ん中あたりに見える、馬洗川と西城川の合流した川を渡るアーチが特徴的な橋が、巴橋。
 画像では見えづらいが、この川はさらに画面下方で江の川(ごうのかわ)と合流する。

 三次の地理的特徴の一つがこの川たちであり、別のところから来た、つまり水温に差がある川が合流する関係でこの街は霧が出易いそうで、朝一でここに登ると朝霧に包まれた三次の街が見えるとのことである。
 そういう気候も手伝ってか、ここは昔から不思議な話が伝わっており、古くはあの水木しげる先生も漫画化したという「稲生物怪録」、最近では「朝霧の巫女」という、三次を舞台にした伝奇があるらしい(恥ずかしながら俺はいずれも未見)。

 一方俺は、展望台に置いてあった寄せ書き帳をチラ見し、いかにもカップルらしき二人の連名で「感動しました!また二人で来ようね」的なラブラブそうな書き込みを見るにつけ、「『自転車を空輸してきて、折角だから自走で登っちゃいました、てへ☆』とか書いてる人いねーかな…いるわけねーよな…」と、世間と自らの行動のギャップに愕然としながらも、「さー感動した後は当然昼飯ですよねー」と、さっきまでの感動はどこへやらでケータイで麓の食事処を検索。

 三次では、何でもサメのことをワニと呼び、要するにその「ワニ料理」というのがあるらしいんだが、ちょっとそういうお店が見つからなかったため、普通の洋食屋「TAKIYA」にお邪魔した。

 TAKIYAは前回の仙台旅行の時のEVANS'89程の大当たりでは無かったが(失礼)、手ごろな値段でドリンクバーもついており、料理も割とおいしかった。穏やかな雰囲気のお手ごろな洋食屋という感じだったかな。

 その後は、三次市内でないと中々売ってない淡雪という、フワフワとして口の中でとろける、儚ささえ漂うフシギなお菓子を購入し、車を置いてある尾関山公園へサイクリング。


 三次から尾関山方面に向かう道すがら、うだつのある古い家が並ぶ通りがあり、うだつの上がらない男関東代表としては、これで多少なりとうだつが上がれば良いのだが…と思いつつ自転車で通り抜け、公園に帰還。


 その後は、車で山道をドライブし、そのまま宿へ…と言いたいところだが、そこはホレ6輪旅行と書いたからにはもうちょい自転車に乗らにゃあいけん、ということで広島空港周辺にある広島中央公園のサイクリングコースに寄り、もちろん再びシャウラを下ろしサイクリング開始。

 だが、なんぼサイクリングと言っても、実は全日本の自転車ロードレースなども行われるこの全長12.3kmのコース、起伏も激しく一筋縄では行かない。

 既に午前のヒルクライムで脚を使い果たした感のある俺は、下ったと思ったらまた登りという油断のならないコースを、時折飛行機が直近で轟音を響かせる中何とか走りきった。
 ここは自転車持込であれば、100円を任意で払うことで何周でもできるんだが…流石に1周でお腹一杯オメオメと引き下がり、そのまま空港近くのホテルにチェックイン。

 次の日の帰りの便が7時35分という早朝便しかとれなかったため、この日にレンタカー屋に車を返し、帰りは自転車で…と思ったら親切な従業員のおねいさんがこの車でホテルまで送って下さった。

 流石に手馴れた感じで車を操るおねいさんの運転でホテルに向かう間、ちょっと話をしたんだが、どうも前述のサイクリングコースでは全日本だけでなく地元の人が参加するレースもちょくちょくやってるらしく、自転車を空輸してくるのはそう珍しいことではないらしい。
 道理で行きの時に輪行袋を持参しても、驚きもしない訳だ…

 謎が解けたところで、ホテルの露天風呂でほっと一息つき、空港でかったあなご飯をガツガツ食い、就寝。

 次の日は朝陽が煌く中、自転車で広島空港に行って、また輪行袋に入れて空輸。
 もちろん、羽田に着いたら着いたでまた自転車を組立て、何事も無かったかのように羽田から家まで爽やか汗ダクサイクリングをして、文字通り家に帰るまでが6輪旅行といった風情で最初から最後まで旅行を満喫したのであった。

無理矢理6輪旅行記in広島3「タカタニヤマノボレ」

2010-08-01 23:47:11 | 自転車
 広島二日目、朝の栄養補給を軽く?済ませた俺は、早々にホテルをチェックアウトし、再びデミオに乗り込み市街地を後に。

 ちゃっちゃっと広島高速、広島自動車道と乗り継ぎ、山陽の山あいを抜ける中国自動車道を走り、広島県三次市へ向かった。


 まず、読みが分からない人の方が多いと思うが、三次と書いて「みよし」と読む。

 正直、俺も今まで知らない街だったんだが、広島に田舎を持つ友人から話を聞き、是非一遍行ってみようと思っていたところである。


 三次インターチェンジで降り、軽くルートミスをして市内をくるっと回り道し、思ったよりは都会と見えた街をドライブ。

 市内めぐりは自転車でやろうと思っていたので、まず駐車場探しだ。
 市の中心にある三次駅。ここのド駅前の駐車場もそこそこ安かったが、「えっとできれば無料かそれに近いお値段が宜しいかと…」と貧乏人根性炸裂の俺様、引き続きクルクル市内を巡り、尾関山公園に到着した。

 ここはとりあえず駐車場がフリー(桜の時期はまた違うのかも知れないが)だったので、本当は公園利用者以外の利用はアレなんだがデミオを停めさせて頂き、駐車場近くの庭を見、ご不浄をお借りし、「では公園利用者となったところで…」デミオの後ろからチャッチャッと取り出したるは残りの2輪、シャウラ君。

 苛烈なお天道様の光に焼かれるまま、ドリンクの入ったボトルをケージにセットし、イザ三次サイクリングに出発。


 三次という街の特色の一つは、川が多いことである。
 メインの川である江の川(ごうのかわ)と、その支流である馬洗川、西城川等が絡み合い、混ざり合うこの地はその川の水温の差からか霧が出やすいらしい。
 その、江の川のほとりを自転車で走っているうち、高谷山(たかたにやま)という山へ登る道の入り口が見えてきた。

 これも友人から聞いていたのだが、三次市は四方を山に囲まれており、三次市内を一望できるスポットが幾つかある。
 事前に友人から拝借したガイドマップには、高谷山に霧の海展望所と書いてあった。

 「うーむ…折角三次に来て自転車に乗っているんだから、ここは一つ展望所まで登ってみるか!」とそらもう軽~い気持ちでシャウラのハンドルを山に向け、ペダルを回した。


 「あっ…俺の脚オワタ?」とフト思ったのは、山道に入って実に60秒後位のことであったな

 とにかく斜面が急なんである。
 しかも、急激に上がってきた心拍数に応えんと深く息をすれば、まるで喉が焼けるかのような熱気が辺りに漲っていた。

 すぐに出てきた看板には、展望所まであと4.何キロと書いてあった。
 こ、これは厳しいなんてもんじゃあない。

 とりあえず行ける所まで行ってみよう、ぐらいの気持ちで登り続けるが、ここんとこ登りは怠け切っていたためかギアを一番軽くしてもペダルが重い重い。

 この頃この地域を襲った大雨の影響か、一部通行止めになっていた道を迂回しつつ坂を登るが、道のりは果てしなく遠く感じられた。


 この感覚、久しぶりだ。

 真上に太陽があるせいで、日陰がほとんど無い山道を登るうち、身体全体が熱を発するような感覚が襲ってきた。
 だるいという状態を通り越して、意識が脳から逃げ出しそうになるギリギリのタイミングで、日陰を見つけ一旦休憩。

 マズイな。

 一応保温(保冷)仕様のボトルであるものの、すっかりヌルくなったスポーツドリンク、しかしそもそもその量が少なくなってきた。

 どうにも自販機が無さそうな山奥の道の中、完全に水がなくなったら流石にアウトだろう。

 だが、ここで引き返してはどうにも詰らん。折角ダウンヒルをやるなら一番上からが楽しかろう?というもっと詰らん理由から、再びヨレヨレと山の上に向かってペダルを踏ん張った。

 照りつける日差しの下、ペダルを回せばあっという間に心拍計は160台後半の数字を刻む。
 ひと漕ぎ、ふた漕ぎ。目の前をイタチか何かが通り過ぎ、脇の草むらに消えた。
 さらに漕ぎ、トカゲが鈍い光を放ちつつ走っていった。
 右、左、ペダルを回し、こんな時にフト、何故か足元の蟻ン子に目が行く。踏まないように。
 漕ぐ度に、身体がストーブにでもなったみたいに熱を放つ。少なくとも俺にはそう感じられた。
 汗と一緒に、意識が蒸発しそうになる、ギリギリ一杯のところ。

 この旅の前後、俺は自宅で衛星放送のツール・ド・フランスを観ていた。
 あれに出る選手達は、見た感じスンナリとどんな坂も登っていくように見えるが、やはり自分で登ってみるとその辛さが身に沁みる。

 喉が焼けるような、心臓が弾みすぎてハジケそうな、この強烈な感覚を味わえば、ツールの見方も変わるんじゃないか?

 アンディ・シュレックも、アルベルト・コンタドールも、こんな感覚といつも戦っているんだろうなあ。もちろんアイツらと俺とは次元が違い過ぎるんだろうが。

 そんなことを考えるような考えないような状態で、意識が飛ぶギリギリのところを保ちつつ、ひと段落。
 坂がなだらかになったところに、民家と、草刈機を操る地元の人、そして飲み物の自動販売機。

 九死に一生を得たような心持で、冷えたペットボトルを一本購入し、一口二口飲みつつボトルにも補充した。

 この先はあと少し…でも無かったりはしたんだが、にわかに日が翳り、一方山の木々は一層と生い茂りその結果日陰の多い道を走ることとなった。

 これでなんとかイケる。

 幾分気持ちが楽になりつつ、心拍数は相変わらず170手前を保ちつつ、ついに車が何台か止まっている場所が見えてきた。

 や、やっと展望台だ…

 そう思って自転車を降りると、高谷山ガイドマップかなんかの看板の近くに、展望台はこの先徒歩3分とあった。

 うっ…ここでもうちっとだけ歩かせるというのは…かなりプレイの仕方を心得ているなコンチクショウと思ったが、さりとて再び目の前の坂道を自転車で登るのは勘弁だったため、ヒイヒイ言いながら歩いた。


 展望台への坂を登り切ると、木々が立つ空地の奥にまるで古代の神殿のように、展望台が姿を現した。


 …てなところで、展望台からの景色は次回に回すことにして今回は高谷山の神殿ならぬ展望台の写真を載せておこう。