現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

小沢正「きばをなくすと」目をさませトラゴロウ所収

2018-09-17 18:24:04 | 作品論
 トラゴロウは、遊んでいるうちに右のきばをなくしてしまいました。
 そのために、「うちの子じゃない」と、おかあさんに家を追い出されてしまいます。
 しかたなく、トラゴロウは右のきばを探しに出かけます。
 きばが片方しかなくて普段の力を失ったトラゴロウは、にわとりにみみずを、ぶたにくさったじゃがいもを、ひつじにかれくさを、きこりときこりのおかみさんにトラゴロウのきばでだしをとったスープを、嫌々ながらに飲まされます。
 最後に、右のきばを取り戻して口にはめたトラゴロウは、普段の力を取り戻して、きこりときこりのおかみさん、ひつじ、ぶた、にわとりを次々に一飲みにしてしまいます。
 満腹して家に戻ったトラゴロウに、おかあさんはびっくりして、「そ、そんなに いっぺんに たべると おなかを、こわしますよ」って、言えただけでした。
 力を失ってみんなに嫌な目に合わされていたトラゴロウが、力を取り戻してみんなを食べまくる姿は痛快です。
 でも、そうした魅力的なお話の中に、「自分とはなんだろう?」「他人が評価する自分とは?」といった子どもだけでなく大人でも日常で直面するシリアスな問題への問いかけが、巧妙に潜まされています。

目をさませトラゴロウ (新・名作の愛蔵版)
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理論社



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マージョリー・ワインマン・シャーマット「雨もり」ソフィーとガッシー いつもいっしょに所収

2018-09-17 09:04:26 | 作品論
 ガッシーは、家が雨漏りしたのでソフィーに電話をしました。
 ソフィーが駆けつけると、ガッシーは修理を手伝ってもらおうと思ったのではないのです。
 二人で、雨漏りの見張りをしようというのです。
 二人は雨漏りを見張りながら、チョコを食べたり、チェッカーをしたり、歌を歌ったりしながら、楽しく過ごします。
 雨が止んで家に帰りながら、ソフィーは雨漏りの見張りを思いついたガッシーに感心しました。
 仲良し同士が、たわいないことで楽しむ様子がうまく描けています。
 今も昔も、仲良しの女の子同士(男の子たちも同じです)が、グダグダ一緒に過ごす楽しさは変わりません。

ソフィーとガッシー いつもいっしょに
クリエーター情報なし
BL出版
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