最初に読んだ時は、これほど完璧な小説は今まで読んだことが無かった・・・
それほど情緒的で主人公の心情にのめり込める名作でした。
時代小説の形態をとってはいますが普遍的なテーマが根底に流れていて、まるで黒澤映画作品のようです。
鈴鹿の森に山賊が住んでいました。
怖いものが何も無い男でしたが桜の森だけは怖くて仕方がなかった・・・
【桜の花の下から人間を取り去ると怖ろしい景色になります】
ある日、男は都から八人目の妻をさらって山に戻りますが・・・
うん、この小説は美しい=狂気のイメージを
日本人になじみの桜の木として描いていて、孤独とか空虚を感じます・・・
でも終わり方が幻想的で、美しい表現なので読み終わった時の満足度はかなり高いです(笑)
この小説から坂口安吾を何冊か読んだけど、ちょっと思想的過ぎて楽しめない・・・
安倍公房もそうだけど、有名作家といえども感銘を受ける作品はそうそうないと思う。
多分、一冊か二冊ぐらいかも・・・正直な感想です。
でもこの作品は超名作だと思います・・・