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地獄の黙示録

2016年08月22日 17時54分21秒 | 映画


久しぶりにDVD鑑賞。

戦争映画の名作にして狂気を表現した映画作品。
監督のコッポラ曰く、「これは戦争映画にあらず!映画という戦争だ!!」と言ってました(笑)。

ストーリーはジョセフ・コンラッドの小説「闇の奥」をベースにして、ギリシャ神話のオディプス王やアーサー王と聖杯などの
モチーフを織り交ぜつつ、聖書のメタファーも多数あり、見る者を選ぶかなり難解な映画作品ですね。

そもそも一度、戦争後遺症で祖国に帰還しながらも、サイゴンに舞い戻ってくる主人公のウィラード大尉。。。
彼の心情はいかなるものだったのか・・・もう彼の戻る場所は無くて、戦場が彼を唯一、受け入れてくれる場所なんですね。
だから彼は仕事は何でも良かったはず、戦場に戻りさえすれば・・・
そして彼に与えられた極秘指令は、同じアメリカ陸軍のカーツ大佐を「私情を捨てて抹殺する事」だった。

この作品の面白いところは、ウィラードがカーツの事を知れば知るほど自分と重ね合わせていくところです。
物語が進むにつれ、ウィラードは自分の内面と対峙していきます。
カーツの帝国でカーツはウィラードにこう言います。
「私は気がかりだ」「息子が私の行動を理解できるかどうか」「もし、私が殺される運命にあるのなら」
「誰かをやって息子にすべてを伝えてほしいのだ」「私が行い、君が見たすべてを」
「君が私を理解するなら」「君がやってくれ」

本来は同じアメリカ軍人と言えども敵とみなして「私情を捨てて抹殺」するのが目的だったが。
ウィラードはカーツを理解したのでカーツが自分に何を期待しているのかが分かった。
カーツ大佐はウィラード大尉に私を殺してくれと・・・

カーツ殺害後にランスと一緒に巡視艇に戻った時には二人の顔のペイントが流されていたのは印象的です。
ペイント=自分のパーソナルを隠す手段なので本来の自分自身に戻ったのか
私情ありありの理由でカーツ(王)殺しを行って何かが変わったのか。。。この辺の考察は面白いですね。

久しぶりにディープな作品でした(笑)。