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螢・納屋を焼く・その他の短編

2014年12月20日 23時09分04秒 | 書籍



本日読み終わりました。
まぁ~情緒的な面白い作品集でしたね、まだ村上春樹っていう特出した作家性は感じないものの
ストーリーは意外性と情緒性があってとっても印象的な短編集でした。

「螢」
長編の「ノルウェイの森」の原型ですね。
僕と彼女と親友の物語、って言っても僕の14~15年前の思い出が軸として語られる。
うーん、なんて言うのだろうか・・・確かに完成されていない作品。
大学生で寮生活で昔の女性と再会してデートを重ねていつの間にかいなくなっていた・・・
そして僕の思いは螢を放つことで彼女の思い出とつながっていく・・・

かなり中途半端な印象です、春樹もそのことは感じていたのでしょう・・・
「この作品をもっと広げられないものか?」
そういって出来上がったのが「ノルウェイの森」でしたら流石です。

「納屋を焼く」
村上春樹の作品ではかなり古い作品(1983年)ってなっていますが古臭さを感じません。
ストーリーは題名の如く、他人の納屋を勝手に焼くっていう犯罪者の奇妙な話(笑)
でもなんでしょうか・・・話の内容にグッと入り込んでしまう。
現代的にはちょっと引く話なのかもしれません。

「踊る小人」
架空の世界の架空の人物が主題の話。
凄いファンタジーの世界に引き込まれる・・・って言うか、象を作る仕事って何なの?(笑)

「めくらやなぎと眠る女」
うーん、よく分からない話ですね、高校時代の話が印象的ですが現代進行形の話とのつながりがよく分からない・・・
この作品から良くも悪くも村上春樹の作家性が出てきているのじゃないのかな?

「三つのドイツ幻想」
うーん、難解ですねぇ~ちょっと理解するのに頭を使う印象です。


村上春樹の短編集を3冊読んでみましたが、一番の高評価は「中国行きのスロウ・ボート」でした。

次は長編に挑戦しようと思います、候補は「1Q84」あたりを・・・