笑顔浴

優しい時間

馬鹿にするな

2015年06月05日 | Weblog

「私にとって六月と言えば、枇杷の収穫です。

10年前に亡くなった父が裏山から持ち帰った野生の苗が、

庭先で大きくなって実をつけてます。

鳥が見つけて半分は食べてしまうので残念ですが」

という話をして、出席をとる。

「あなたにとって、6月と言えば?」

 

A君が「梅雨」と返事したあと、誰かが「ちゅゆ」と、真似した。

何人かが笑って だんだん誇張されて、騒がしくなった。

そして、B君が「ちゃんと言え、日本語を話せ!」と続けた。

A君は不自然な笑顔で、黙って言われるままで・・・

 

どうしようか迷った。

何人かの学生にとっては和やかな空気だ、このクラスのスタイルなのか。

でも <いじる>交流が、私はどうにも気にくわない。

そのへんに私の<鱗>があるらしい。

 

以前にも何度が似たような会話を経験して、まあいいかと見逃してきた。

今日、意思表示をしなければ、私も認めてることになり

次にも遭遇すると考えて 決めた。

「それ、おかしいよ。 梅雨と言う日本語を理解したくせに、日本語を話せって、ひどくない?」

「ハイ、スイマセン」

笑い声や雑談が一瞬で消えた・・・

「・・・・」

「ハイ、スイマセン」

「私は不愉快」

「ハイ、スイマセン」

 

見せたことのない不機嫌な表情で、

聞かせたことのない厳しい語調で 訴えたから驚かせたと思う。

お笑い芸人が相方を馬鹿にするのを、大人も子供も笑って楽しんでいるんだもの

B君がクラスメイトのうけをねらったことも想像できる。

 

A君がどんな気持ちでいるか考えてと、小さな子供なら諭すところだが

二十歳前の学生は、わかっているからこそ反発する。

長くなると「勝手に言ってろ」と拒否されるので、さっと引く。

 

B君だけじゃなかったのに、申しわけなかったと反省していたら

ありがたいことに、プリントをC君が配ってくれた時、数が不足した。

B君が「足りんよ~」と手を挙げてC君に伝えた。

「B君、プリントの番号は8ですか?それとも9?」と確認中に

Dさんが「8のプリントをください」と取りに来た。

「あれ、B君のじゃなかったの、・・優しい」

「アリッス」

「優しい~」「優しい~」「優しい~」とやんちゃなメンバーが私の声色でいう。

彼らも、B君に何か声をかけたかったのだと想像した。

「アリッス」

 

 

A君、困ったら我慢しないで相談においで。

このメッセージが彼に伝わりますように。

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする