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NFL Wild Card Playoffs Review Part II

2006年01月09日 18時28分23秒 | アメリカンフットボール
☆Carolina Panthers 23-0 New York Giants

Carolinaが用意したゲームプランが完璧に機能した試合だった。ラン主体の非常に保守的なオフェンスと、RB Tiki Barberのランを封じ込めるディフェンス。ドライブの継続以上に、ボールコントロールに徹した攻撃は忍耐力が必要だが、それを見事にやってのけた。ケガをおしての出場となったRB DeShaun Fosterが攻撃の軸となり、151ヤードのランを稼いだ。また、序盤はWR Steve Smithへのスクリーンパスを多用するなど、リスクの少ないプレイコールが目に付いた。
こうしたCarolinaの保守的な攻撃を可能にしたのは、守備陣がGiantsの攻撃を封じたからだ。特に注目していたTiki Barberをほぼ完全に止めたことは賞賛に値する。Giantsの攻撃は彼のランやレシーヴの中からリズムを作るスタイル。彼のキャリーが少なければ少ないほど攻撃は機能しなくなる。
第一クォーターはある意味単調な展開。Carolinaのボールコントロールに徐々にGiantsディフェンスが焦れていき、第二クォーターにCarolinaに先制TDを許す。それでもまだGiantsにチャンスはあったが、前半終了間際スペシャルチームのミスでターンオーバーを許し、楽にFGを決められてしまう。これでツーポゼッション差。こうなるとますますCarolinaのボールコントロールが生きてくる。
後半、ついにQB Eli Manningがインターセプトを喫す。プレッシャーを受けながら無理して投げ込んだのが原因だった。Carolinaはこれを一気にTDに結び付け、事実上試合を決した。Giantsは続く2回のドライブをインターセプトで失い、最後はManningのファンブルロストで完封負けとなった。Giantsはトータルヤード132ヤードという惨憺たる結果で、タイムオブポゼッションでは、実に25分30秒の差が付いた。またエースWR Plaxico Burressはレシーブ回数ゼロだった。
HC John Foxの作戦勝ちの一言で片付けられる試合だが、Giants側のゲームプランが機能しなかったとも言える。正直、現時点でのManningのQBとしての能力はお世辞にも高いとは言えない。確かにチームの好成績を導いたのはオフェンスであったが、その中心は彼でなくRB Tiki Barberだった。Barberを軸とした攻撃をプランしていれば、ロースコアの展開でも十分戦えたのではなかったか。
CarolinaはQB Jake Delhommeが忍耐強いプレイを見せた。ボールセキュリティが重要な試合だったが、その課題をきっちりとこなした。次の対戦はChicago。Carolinaと同じフットボールを目指しているチームだ。タフで厳しい試合になるだろう。Delhommeはこの試合以上にしぶとく戦えるかが鍵を握る。


☆Pittsburgh Steelers 31-17 Cincinnati Bengals

Cincinnatiのわずか2プレイ目、QB Carson Palmerの負傷でこの試合は本来の展開から全く別のものとなってしまった。代わったQB Jon Kitnaは健闘したものの、Pittsburgh守備陣とのパワーバランスで不利となり、Pittsburgh攻撃陣に余裕が生まれ、無理なパスをする状況とならず、狙っていたCincinnatiのターンオーバーが不発に終わった。
いきなりのロングパスを通して、Palmerの面目躍如を見せ付けた途端の負傷で、来シーズン開始までアウト。勝ち負けに関わらず、彼がBradyやManningと並ぶようなQBと成長する可能性を引き出す経験を積む舞台となると思われただけに、非常に残念だ。膝の負傷と長いリハビリは、若い天才QBの将来にも影を落としかねない。
エースQBの負傷の中でもCincinnatiはよく戦った。特に前半はPittsburghの守備がプレッシャーをあまり与えなかったこともあり、いいドライブを見せリードして折り返した。ただ、QB Ben Roethlisbergerに対してプレッシャーを与えられなかったことが、Pittsburghのオフェンスに余裕を与えた。RB Willie Parkerのランはヤードはさほど出ていないもののボディブローのようにCincinnatiディフェンスを苦しめた。
後半、いいドライブからFGのチャンスを得たCincinnatiだが、スナップミスで追加点を奪えず、ついに逆転を許す。こうなるとモメンタムはPittsburghのものとなり、スペシャルプレイまで飛び出してどんどん点差が広がっていった。焦るKitnaはこのあと二つのインターセプトを喫し、試合を決した。
返す返すもPalmerの負傷が全てだった。それだけ彼の存在が大きかったとも言える。ゲームプランの上でも、精神的な面でも、彼の不在が両チームに計り知れない影響を与えることとなった。彼がいれば、Pittsburghも余裕を持てず、攻守両面でもっと厳しい状況が生じただろう。彼がいれば、Cincinnatiも苦しい場面でも希望を持って戦えただろう。Roethlisbergerが無理してパスを投げざるを得ない場面をついに作ることができなかったのも、Palmerの不在が原因だった。モメンタムを引き寄せるビッグプレイもPalmerなら成し遂げたかもしれない。そんな思いを残す試合となってしまった。
Pittsburghは次戦Indianapolisと。優勝候補本命ではあるが、付け入る隙がないわけでもない。Roethlisbergerの真価が問われる一戦となるだろう。


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