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決勝トーナメント1回戦総括と準々決勝プレビュー

2006年06月30日 20時12分17秒 | サッカーワールドカップ
ベスト8が出揃ったドイツ大会もいよいよ大詰め。まずは1回戦8試合の簡単な感想を。

○ドイツースウェーデン
予想していた以上に内容に差があった試合だった。スウェーデンは今大会パフォーマンスを発揮することなく終わってしまった印象。ドイツはクローゼの出来が良すぎるくらい。しかし、ここまで相手に恵まれてきた感じもあるので、ここからが本番といったところ。

○アルゼンチン-メキシコ
メキシコはグループリーグとは違い、かなりの運動量でアルゼンチンを苦しめた。しかし、この試合はむしろアルゼンチンの出来の悪さが目に付いた。グループリーグで見られた余裕がなくなり、焦りにも似た感じを受けた。延長での勝利はかなり苦しんだ結果だったが、それでも勝ったことは次に繋がる大きな意味を持つ。

○イングランド-エクアドル
予想通りの好ゲームではあったが、決めたのはベッカム。なんだかんだ言っても、FK一本で試合を決めれる強味は大きい。パラグアイ戦に続いて彼のFKがチームを救った。エクアドルもチャンスは多分にあったが、決め切れなかったのは残念。ほんのわずかの力の差だが、その差を乗り越えることは非常に難しいのがサッカーだ。

○ポルトガル-オランダ
1回戦屈指の好カードが審判によって著しく歪められてしまい残念な結果となった。ネット上でこのレフェリングの何が問題なのかといった声を聞くが、その辺りが日本のサッカー文化の未成熟度と言えるだろう。オランダは若い選手たちが熱くなりすぎたことが敗因だが、それをコントロールできなかった監督にも責任はある。ファン・ニステルローイのコンディションは不明だが、経験のある彼を起用した方がよかった。CFのカイトがオランダの勝利を見逃した印象が強い。

○イタリア-オーストラリア
試合内容ではオーストラリアが勝ってもおかしくなかった。しかし、結果は結果。あのPKは厳しい判定だが、外で止めるかPKにならないような注意をすべきところだった。ここまでオーストラリアを躍進させたヒディングだが、この試合は延長戦かPK戦に賭けた印象だった。選手交代を1枚しか使わず、勝負所をもっと後と読んでいたのだろう。結果論から言えば読み間違えたわけだが、戦術的には妥当な判断だと思う。経験の乏しいオーストラリアが仕掛けるとすれば、延長後半15分くらいからあたりが精一杯だろうし。

○スイス-ウクライナ
120分仕掛けることなくPK戦で勝負を決めた。日本人の感覚では運の要素の強いPK戦よりも前に仕掛けた方がいいと思うが、そこは国民性や戦術の問題だろう。センドロスを欠いたスイスはこれまでと比べるとやや精彩を欠き、ウクライナも守備の意識が強かった。W杯のPK戦と言えば、大スターが外すイメージが強いが(イタリアのロベルト・バッジオとか)、予想通りにシェフチェンコが失敗。しかし、スイスは一人も決めきれずにウクライナが先に進んだ。スイスは無失点のままドイツを去った。

○ブラジル-ガーナ
簡単に言えば、浅いDFラインの裏をつかれて失点を重ねたガーナの弱さが目立ったわけだが、90分間ブラジル相手によくあのラインを維持したものだと感心する。ボールキープもシュート数もガーナが上回り、決定機も2回ほど作ったが、決め切れなかったのは決定力不足というよりブラジルの守備の力だろう。ブラジルの得点のうち、あとの2点はオフサイドに見えたが(特にアドリアーノのはどう見てもオフサイド)、この試合線審の目が悪かったということだろう。ただアフリカ勢が実力をつけたという声もあるが、今大会を見る限り明らかに後退している。強豪国がのきなみ予選敗退となったことが一因だが、確かに組織力などは成長しているもののチームの地力という点では物足りなさを感じた。グループリーグ敗退だったが、前回大会のナイジェリアが今まで見た中で最強のアフリカ代表チームだったが、それに迫るチームを今回見れなかったのは残念だ。

○スペイン-フランス
今大会これまでのベストマッチと呼んでいいだろう。ベテラン揃いのフランスが運動量を惜しまずにプレイして優勝候補にも挙げられたスペインを粉砕した。決勝トーナメントでは中盤の潰し合いが多く、ゴール前のプレイが少なかったが、この試合は中盤もゴール前も見せ場が多かった。試合を決めたのはこの試合が最後となるかもしれなかったジダンのプレイ。一方、スペインはまたも決勝の舞台さえ踏めずに去ることとなった。実力は誰しもが認めるところだが、勝ち切れなさには精神的な弱さがあるのだろうか。

で、いよいよ準々決勝。こちらのプレビューも。

★ドイツ-アルゼンチン
準々決勝のベストカード。勢いに乗る地元ドイツとブラジルの対抗馬アルゼンチンの対決。W杯では勢いは非常に大切。地元の利もあり、実力以上の内容でここまで勝ってきているドイツ。一方、グループリーグでは最高の内容だったものの、メキシコ戦は精彩を欠いたアルゼンチン。決勝で顔を合わせてもおかしくないカードだが、勝ちあがれるのはどちらか1チーム。ドイツはクローゼの出来が秀逸。守備の堅いアルゼンチンでも失点は免れないだろう。ドイツは初戦にこそ2失点したが、その後は無失点で来ている。アルゼンチンがこれを崩せるかどうかが試合の鍵となる。メキシコ戦のような内容では得点するのは難しいが、地力では高い攻撃力を誇る。
ドイツは2点は取れると思う。アルゼンチンがそれを上回れるかどうか。ドイツの守備力は決して高くはない。アルゼンチンが攻撃的なサッカーを自信を持って発揮できるかが課題だ。失点を恐れずにどんどん攻めに出ればアルゼンチンの勝利、守備的になればドイツの勝利と予測する。で、予想は、期待を込めて3-2でアルゼンチンの勝利。

★イタリア-ウクライナ
決して好調ではないイタリアだが、相手は初出場のウクライナ。両チームともくじ運に恵まれ、比較的楽な相手との戦いが多く(イタリアはグループリーグの対戦順に恵まれた)、実力以上の成績とも感じられるが、それもW杯。イタリアは守備陣にケガ人や出場停止などで人材を欠くが、伝統の守備力は健在。ウクライナはシェフチェンコを擁するものの決して攻撃力が高いわけではなく、イタリアの守備を崩すのは難しいだろう。
運良く得点できればPK戦までもつれる可能性もあるが、1-0でイタリアと予想。PK戦まで行けば、ウクライナが自信のある分優位と思うけど。

★イングランド-ポルトガル
イングランドも決して好調ではないが、苦しいながらも勝利してきた。オーウェンを欠き、得点能力はかなり厳しい状況だが、守備力は高い。ポルトガルはいい形でグループリーグを勝ち上がったが、1回戦のオランダ戦で退場者2名を出すなどこの試合に向けた状況は決していいとは言えない。しかし、チームの勢いはポルトガルにあると見る。ベテランのフィーゴは元気だし、むしろ苦境に立たされてチームは団結しやすいだろう。C・ロナウドのコンディションにもよるが、得点能力は決して低くない。
予想は2-1でポルトガル。イングランドが勝つには何か新しい起爆剤が必要だ。ウォルコットの出場などあれば、流れが変わる可能性もあるが、ポルトガルの勢いが勝っていると予測する。

★ブラジル-フランス
前々回のフランス大会の決勝の顔合わせ。ブラジルは本調子からは程遠いと言われながらも、ここまで余裕の勝利で勝ち上がった。ロナウジーニョの出来の悪さは気にかかるが、それでもタレントは豊富だ。ロナウドの調子が上がってきた点もいい材料。フランスはベテラン勢の健闘でスペインを撃破する波乱を起こした。彼らがブラジル戦でも同様のパフォーマンスを発揮できるかと言えば難しいと思う。体力、精神力などを考えれば、早い時間に先制し、なんとかブラジルを封じ込めるしかなさそうだが、それでもかなり厳しい戦いになるだろう。
2-0でブラジル。残念ながら現時点での力の差は間違いなくそれくらいある。気になるのはアンリの出来の悪さ。彼が爆発でもしない限り、得点するのも難しそうだ。ロナウジーニョが機能しなくても勝てるブラジルと、アンリが悪いと勝つ見込みのなくなるフランスの差とも言えることだが。


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