ジーコジャパンのドイツW杯での結果は、2敗1分け。それでも正直なところ、戦前の予想より良かったし、健闘だったと思う。クロアチア戦、ブラジル戦では日本らしいサッカーもある程度できたし、ブラジルから先制点を奪ったことは非常に素晴らしい出来事だった。
4年前、ジーコが代表監督に就任して以来、私は一貫して批判し続けた。アジアでは結果を残し、最低条件と言われたW杯出場を決め、そのW杯でもフランス大会に比べれば内容のある結果を残したけれども、ジーコに対する評価は非常に低いままその任期が終わる。
昔、まだJリーグ発足前、日本代表はアジアの中でも弱いのが常識だった。アジアの強豪の前ではなす術もないどころか、強豪と呼べない国に対してもなかなか勝てない時期が続いた。転機はJリーグ発足とオフトだった。あまり報道もされなかったダイナスティカップ制覇に続いて、地元開催のアジアカップで、予想もしなかった優勝を遂げた。
カズ、ラモス、高木、井原、柱谷、松永、都並。オフトの下、彼らが新しい1ページを作ろうとした。オフトは、トライアングルやアイコンタクト、プレスなど現代サッカーの基本を教え込み、その結果、アメリカW杯出場を賭けたドーハでの2次予選に進出。9部9厘手中にしたかと思われたW杯切符を、よもやの失点で逃してしまい、ほんのわずかの差で本大会出場を逃した。このわずかの差は、経験の乏しさが原因であり、オフトの代表監督としての経験不足もさることながら、やはり選手たちの経験不足は明白で、終了間際の時間稼ぎができないなどが如実に明らかになった。
ファルカンを経て、加茂が代表監督に就任。今度こそと期待された日本代表だが、ホームアンドアウェイで開催された2次予選に苦しみ、加茂の電撃解任と岡田監督就任の荒療治の末にイランとの3位決定戦を制して初のW杯進出を決めた。ただし、日本の実力が上がっての進出ではなく、参加国数が24から32に増え、アジア枠も2から3.5に増えたことによる出場権獲得であり、むしろアジア内での実力は相対的にオフトジャパンより低くなったとも思える結果だった(惜しい3位から上位2国と差のある3位へ)。
ユース世代の台頭、アトランタ五輪でのブラジル戦勝利と、Jリーグが出来て新しい芽が息吹いてきた日本代表にトルシエが監督就任。試合における駆け引き(選手交代など)は決して一流ではなかったが、若手の育成には高い手腕を発揮した。シドニー五輪でもそこそこの成果を残し、日韓W杯で地の利があったとはいえグループリーグ突破という大きな結果を残した。
中田、小野、稲本、宮本、楢崎ら最強世代を中心に代表チームを作り上げたが、監督としてのアクの強さもあってファンの支持が高くはなかった。しかし、中村俊輔をメンバーから外すなど妥当な采配ぶりはもっと評価されて良かっただろう。
トルシエのあとを受けてジーコが監督となった。代表はもちろんクラブチームでも監督としての実績はない。彼は、中田、中村、小野、稲本の黄金の4人を中盤に据えるなどファンに受ける指揮をした。アジアでは、アジアカップ、W杯予選と十分な結果を残した。かなり幸運に恵まれた部分もあったが、運も実力のうち。ただそれは監督の手腕というよりも選手の実力からすれば当然の結果ともいえ、それをジーコの実績に結びつけるのは疑問に思う。
最強世代は文字通り最強であり続けた。ジーコになって、代表チームの成長は、各選手の成長に負うところが大きかった。特にトルシエに外された中村俊輔の成長は目を見張るものであり、日本代表を支える中心選手までなった。しかし、若手の台頭はほとんどなく、伸び悩む姿が目立った。谷間の世代と言われたアテネ五輪世代はもちろん、その下の世代もWユースで結果を残してもそれがA代表に繋がってこない。
育成システムの充実した国であれば、A代表監督にそこまで負わせることはしない。だが、まだまだサッカー後進国である日本ではそうはいかない。結果としてジーコは、選手の育成においても、試合の戦術においても、監督として十分な力量を発揮することはできなかった。
ドイツW杯で、同組の中でブラジルを除くと、オーストラリアにもクロアチアにも十分に勝つチャンスはあった。初戦のオーストラリア戦は、勝ち負け以前に日本のサッカーができなかったことが問題だった。オーストラリアのサッカーは高い身長を生かしたロングボール主体のものになると予測できたのに対応できなかった。また精神面でも十分なフォローがなされていなかったのは明白だろう。クロアチア戦は、引き分ければブラジル戦の勝利が必要という展開が予測できたにもかかわらず、後半勝負にでることができなかった。引き分けという結果で数字の上でわずかな可能性を残すよりも、負けてもいいから勝ちにいく姿勢を出すことが求められていた場面だったにも関わらずそうした動きがほとんどなかった。
最強世代が年齢的にもピークを迎えた今回、この成績に終わったことは非常に残念だ。この4年間に積み上げがほとんどなく、更に戦術的に勝負勘のある監督でもなかったせいで、日本はチャンスを指をくわえて見過ごしてしまった。
4年後、今回のメンバーの多くが30歳を越える。サッカーでは30を過ぎると年齢的に厳しいという見方ができる。一方、彼らに変わる若手の台頭はほとんど目立っていない。厳しいことを言うようだが、今回のメンバーが次回のW杯代表中心メンバーになるようだと、今以上の実力になることはありえない(少人数ならいいが)。もう技術的体力的に成長の余地はほとんどない。4年後を見据えるということは、現在24歳以下の選手を中心にチームを組み立てていくことが要求される。そこまで展望を持って代表メンバーを鍛えられるかどうかが鍵となるだろう。
新監督について、日本人監督待望論もあるようだが、厳しいハードルだが、日本国内だけでなく海外の代表やクラブチームで結果を残して初めて、その資格があると思っている。日本人でなくても、それなりの実績は欲しい。
その上で、もう一つ願望としては、日本らしいサッカーの構築をして欲しい。日本人の文化、体格、精神に合ったサッカー。それが生み出されて初めてサッカー後進国からの脱却と言えるだろう。サッカーは勝ち負けだけで測るものではなく、プレイのひとつひとつに表出される国民性にこそ価値があるのだから。
4年前、ジーコが代表監督に就任して以来、私は一貫して批判し続けた。アジアでは結果を残し、最低条件と言われたW杯出場を決め、そのW杯でもフランス大会に比べれば内容のある結果を残したけれども、ジーコに対する評価は非常に低いままその任期が終わる。
昔、まだJリーグ発足前、日本代表はアジアの中でも弱いのが常識だった。アジアの強豪の前ではなす術もないどころか、強豪と呼べない国に対してもなかなか勝てない時期が続いた。転機はJリーグ発足とオフトだった。あまり報道もされなかったダイナスティカップ制覇に続いて、地元開催のアジアカップで、予想もしなかった優勝を遂げた。
カズ、ラモス、高木、井原、柱谷、松永、都並。オフトの下、彼らが新しい1ページを作ろうとした。オフトは、トライアングルやアイコンタクト、プレスなど現代サッカーの基本を教え込み、その結果、アメリカW杯出場を賭けたドーハでの2次予選に進出。9部9厘手中にしたかと思われたW杯切符を、よもやの失点で逃してしまい、ほんのわずかの差で本大会出場を逃した。このわずかの差は、経験の乏しさが原因であり、オフトの代表監督としての経験不足もさることながら、やはり選手たちの経験不足は明白で、終了間際の時間稼ぎができないなどが如実に明らかになった。
ファルカンを経て、加茂が代表監督に就任。今度こそと期待された日本代表だが、ホームアンドアウェイで開催された2次予選に苦しみ、加茂の電撃解任と岡田監督就任の荒療治の末にイランとの3位決定戦を制して初のW杯進出を決めた。ただし、日本の実力が上がっての進出ではなく、参加国数が24から32に増え、アジア枠も2から3.5に増えたことによる出場権獲得であり、むしろアジア内での実力は相対的にオフトジャパンより低くなったとも思える結果だった(惜しい3位から上位2国と差のある3位へ)。
ユース世代の台頭、アトランタ五輪でのブラジル戦勝利と、Jリーグが出来て新しい芽が息吹いてきた日本代表にトルシエが監督就任。試合における駆け引き(選手交代など)は決して一流ではなかったが、若手の育成には高い手腕を発揮した。シドニー五輪でもそこそこの成果を残し、日韓W杯で地の利があったとはいえグループリーグ突破という大きな結果を残した。
中田、小野、稲本、宮本、楢崎ら最強世代を中心に代表チームを作り上げたが、監督としてのアクの強さもあってファンの支持が高くはなかった。しかし、中村俊輔をメンバーから外すなど妥当な采配ぶりはもっと評価されて良かっただろう。
トルシエのあとを受けてジーコが監督となった。代表はもちろんクラブチームでも監督としての実績はない。彼は、中田、中村、小野、稲本の黄金の4人を中盤に据えるなどファンに受ける指揮をした。アジアでは、アジアカップ、W杯予選と十分な結果を残した。かなり幸運に恵まれた部分もあったが、運も実力のうち。ただそれは監督の手腕というよりも選手の実力からすれば当然の結果ともいえ、それをジーコの実績に結びつけるのは疑問に思う。
最強世代は文字通り最強であり続けた。ジーコになって、代表チームの成長は、各選手の成長に負うところが大きかった。特にトルシエに外された中村俊輔の成長は目を見張るものであり、日本代表を支える中心選手までなった。しかし、若手の台頭はほとんどなく、伸び悩む姿が目立った。谷間の世代と言われたアテネ五輪世代はもちろん、その下の世代もWユースで結果を残してもそれがA代表に繋がってこない。
育成システムの充実した国であれば、A代表監督にそこまで負わせることはしない。だが、まだまだサッカー後進国である日本ではそうはいかない。結果としてジーコは、選手の育成においても、試合の戦術においても、監督として十分な力量を発揮することはできなかった。
ドイツW杯で、同組の中でブラジルを除くと、オーストラリアにもクロアチアにも十分に勝つチャンスはあった。初戦のオーストラリア戦は、勝ち負け以前に日本のサッカーができなかったことが問題だった。オーストラリアのサッカーは高い身長を生かしたロングボール主体のものになると予測できたのに対応できなかった。また精神面でも十分なフォローがなされていなかったのは明白だろう。クロアチア戦は、引き分ければブラジル戦の勝利が必要という展開が予測できたにもかかわらず、後半勝負にでることができなかった。引き分けという結果で数字の上でわずかな可能性を残すよりも、負けてもいいから勝ちにいく姿勢を出すことが求められていた場面だったにも関わらずそうした動きがほとんどなかった。
最強世代が年齢的にもピークを迎えた今回、この成績に終わったことは非常に残念だ。この4年間に積み上げがほとんどなく、更に戦術的に勝負勘のある監督でもなかったせいで、日本はチャンスを指をくわえて見過ごしてしまった。
4年後、今回のメンバーの多くが30歳を越える。サッカーでは30を過ぎると年齢的に厳しいという見方ができる。一方、彼らに変わる若手の台頭はほとんど目立っていない。厳しいことを言うようだが、今回のメンバーが次回のW杯代表中心メンバーになるようだと、今以上の実力になることはありえない(少人数ならいいが)。もう技術的体力的に成長の余地はほとんどない。4年後を見据えるということは、現在24歳以下の選手を中心にチームを組み立てていくことが要求される。そこまで展望を持って代表メンバーを鍛えられるかどうかが鍵となるだろう。
新監督について、日本人監督待望論もあるようだが、厳しいハードルだが、日本国内だけでなく海外の代表やクラブチームで結果を残して初めて、その資格があると思っている。日本人でなくても、それなりの実績は欲しい。
その上で、もう一つ願望としては、日本らしいサッカーの構築をして欲しい。日本人の文化、体格、精神に合ったサッカー。それが生み出されて初めてサッカー後進国からの脱却と言えるだろう。サッカーは勝ち負けだけで測るものではなく、プレイのひとつひとつに表出される国民性にこそ価値があるのだから。
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