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2011年8月に読んだ本

2011年09月01日 20時39分37秒 | 本と雑誌
8月の読書メーター
読んだ本の数:6冊
読んだページ数:1603ページ
ナイス数:72ナイス

雷撃☆SSガール (講談社BOX)雷撃☆SSガール (講談社BOX)
「羽月莉音の帝国」と構造は一緒。「羽月」の1、2巻頃より読みやすく感じたのは、著者に慣れたせいもあるかも。物語性なんて付け足しで、著者の描きたいことを存分に描こうとする姿勢は魅力的。「羽月」より上っ滑りなところを感じるが、デビュー作だけにそれは仕方ないか。ただひとつだけ著者が語らない視点がある。「家畜でいるのは楽なのですよ」(☆☆☆☆)
読了日:08月03日 著者:至道 流星
ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち (メディアワークス文庫)ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち (メディアワークス文庫)
ミステリに限らずロジカルな思考というのは、数多くの可能性をひとつひとつ消していって浮かび上がってくるものだと思うが、ここにはそれが全くない。必要なディティールまで削ぎ落して小説の体をなしていない。ライトノベルだからキャラクターさえ存在していればいいのかね。そのキャラクターも魅力的だとは言い難いけれど。今年一番の大外れ。残念。(☆☆)
読了日:08月03日 著者:三上 延
新参者新参者
東野圭吾を読むのは18冊目となるが、これまでしっくりこなかった「理」と「情」のバランスが日本橋を舞台とすることでようやくスッと腑に落ちた印象。小説の究極の形を感じさせてくれた一冊。(☆☆☆☆☆☆☆☆)
読了日:08月10日 著者:東野 圭吾
番狂わせ 警視庁警備部特殊車輌二課番狂わせ 警視庁警備部特殊車輌二課
パトレイバーの名を借りたサッカーうんちく本。というか酒場で親父がサッカー語ってるだけという感じも。100%の趣味本だよね。でも、それもまた押井らしく感じるところが押井らしさ。個人的にはサッカーは戦術だけでは語れないので創造的なプレーに期待して見ている。スポーツの戦術を語るならアメリカンフットボールがベストだし。と、読んだ者まで熱く語りたくなる小説かもしれない。(☆☆☆☆)
読了日:08月17日 著者:押井守
ひだまりスケッチ (6) (まんがタイムKRコミックス)ひだまりスケッチ (6) (まんがタイムKRコミックス)
優れた日常系って日々の些細なエピソードを積み重ねて儚い「時」を表現している。この6巻はまさにそんな感じ。
読了日:08月30日 著者:蒼樹 うめ
コピー用紙の裏は使うな!―コスト削減の真実 (朝日新書 37)コピー用紙の裏は使うな!―コスト削減の真実 (朝日新書 37)
一見、当たり前のことだけれど、それが出来てないのが現実。コスト意識は日本では低いように感じる。単に企業の中のことではなく、あらゆる面でコスト意識は大切なのに学ぶ機会が乏しいような。「木を見て森を見ず」もコストの話だけではなく、最近つとに感じることだね。(☆☆☆☆)
読了日:08月31日 著者:村井 哲之

読書メーター




ヴァナ・ディールに入り浸った夏。まったく本を読めず。9月は、とは思うけれど、さてどうやるやら。

これまで「空気系」についてブログで何度も述べていたが、ひだまりスケッチ6巻を読んで初めて、「空気系」は時の儚さを描くものだと気付いた。
もちろん「空気系」の元祖と言える『あずまんが大王』がリアルタイムと同時に進行し丸3年かけてキャラクターたちを卒業させた点は評価していた。『うる星やつら』に代表される「終わらない夏休み」系が主流である中であえて時間軸を置いて展開させたことは作品の魅力となった。『よつばと!』では超スローペースに時間が進行するが、それも著者の狙いとなっている。
日常の些細なエピソードを積み重ねる「だけ」でストーリーらしいストーリーを提示しないのが「空気系」の特徴である。しかし、そうした日常の繰り返しこそが「時」を描けるのかもしれない。優れた「空気系」作品は意識的に時間経過を描いているものが多い。『らき☆すた』はこなたたちが高校を卒業しても変わらなく続いている。『ARIA』は主人公の成長というテーマを描いた。意図は正反対だが、「終わらない夏休み」に安住してはいない。
一方で、アニメ版の『ひだまりスケッチ』はあえて時間軸をランダムにした。アニメにおける「空気系」では「時」というテーマを前面に出すとちょっと重い印象を与えるかもしれない。実際、『Aチャンネル』がそうだった。アニメでは「空気系」は軽さこそが魅力に感じるだけに、コミックと同じような演出は難しいと言えるだろう。
『ARIA』はコミックス全12巻を3期4クール分で完結させた。『ひだまりスケッチ』も6巻が発売されそこにTVアニメ4期目の告知が記されていた。「空気系」の空気感を伝えるためには圧縮ではなく緩さこそが必要なのだろう。それだけ時間を掛けてこそ伝わるものがある。なんとも贅沢な話だ。

そんな、時間を掛けて伝わるものを計算に計算を重ね緻密に構成することで1冊の本で描き出したのが『新参者』だった。殺人事件というメインテーマを擁しながら、「日常の謎」系のような連作短編で成り立っている。ひとつひとつのエピソードも際立っているが、全てのピースが揃って描かれる全体像も決してミステリ的に優れているわけではないのに強く惹かれるものがある。
読み手に著者の技量を感じさせずに、それでいて恐るべき技量を以て書かれた作品。日本のミステリの最高峰の作品のひとつと言って過言じゃない。

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2011.08.31 つぶやきし言の葉

2011年09月01日 02時15分15秒 | Twitter