![]() | 嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 3 死の礎は生 (電撃文庫 い 9-3) 価格:¥ 620(税込) 発売日:2007-12-10 |
これでもかと言うくらい激しく壊れまくったキャラクターのオンパレードではあるが、壊れてない人間が真っ当なのかと言うとそんなわけもない。極端過ぎるのは間違いないが、所詮は誰も多かれ少なかれ壊れてはいる。自覚のあるなしはともかく。
みーくんが戯言使いよりも真っ当なのは、読んでいて不快にならないのは、甘えていない点だろう。過去の惨事によってどうしようもなく壊れたのは確かだとしても、まーちゃんを守るためには甘えていられない。ビターチョコレートのふりをして甘ったるかった”戯言”とは違い、味は上等でなくともビターはビターだ。
結末が明快ではなく、含みを残しているのが気になるが、悪戦苦闘を絵に描いたようだった2巻に比べると本書はかなり良くなった。西尾維新の表現センスで入間人間のストーリーなら最高なのだが、無いものねだりをしても仕方が無い。今後救いようがあるとつまらないし、無いと悲惨だしでどっちに転んでも読み続けるべきか悩むシリーズではあるのだが、それでも他にないものが明確にある作品なのは確かだ。それだけで十分に読む価値がある。